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2026年04月19日 10:31 更新

「そんなの聞いてない」小1の壁の現実…入学後に、共働き家庭で本当に起きていたこと|学童・放課後・宿題のリアル

「小学生になれば少し楽になる」そう思っていたのに、現実は違いました。学童、放課後、宿題、働き方——想定していた通りに回らない毎日に戸惑う共働き家庭は少なくありません。実際の体験談から、小1の壁の“本当の姿”をひもときます。

小1の壁とは?入学後に多くの家庭で起きていること

(※画像はイメージです)

「小1の壁」と聞くと、学童や放課後の預け先問題を思い浮かべる人が多いかもしれません。
けれど実際に入学後、多くの家庭が直面するのは、1つの大きな壁というより、いくつもの小さな調整ポイントです。

この記事は、「全部を詳しく解決する」ためのものではありません。
今の悩みが“どこにあるのか”を見つけるための地図として、小1の壁の全体像を整理します。

小1の壁で実際に起きていること

小1の壁は、ひとつの問題が原因で起きるわけではありません。
入学を境に、いくつもの小さな変化が同時に起こることが、家庭の負担を大きくしています。

(※画像はイメージです)

生活リズム・働き方のズレ

入学直後は、短縮授業や午前授業が続くことが多く、給食が始まるまでの間は昼食の対応も必要になります。
また、学校行事や天候による急な休校・下校時間の変更など、予定が読みにくい場面も増えます。

その結果、

 仕事を早退・調整せざるを得ない
 周囲に迷惑をかけているようで肩身が狭い
 想像以上に仕事が回らなくなる

といった負荷を感じる家庭も少なくありません。

放課後・学童・留守番の問題

小1の壁として最も多く語られるのが、放課後の過ごし方です。

 学童に入れなかった
 学童には入れたが、子どもが「行きたくない」と言い出した
 公設と民間、どちらが合っているのか分からない

想定外だったという声が多いのは、「預け先は確保できたのに、子どもの気持ちがついてこなかった」というケースです。

また、学年が上がることを見据えて、「いつから留守番させるのか」「鍵を持たせていいのか」といった新しい判断も求められます。

宿題・学校生活・親の関わり方

入学後、親を悩ませるのは学習内容そのものよりも、「宿題や学校生活への関与の度合い」です。

 宿題に時間がかかりすぎる
 忘れ物や勘違いが多い
 親がどこまで口を出すべきか分からない

「今のうちにちゃんとやらせないと」と焦る一方で、関わりすぎることへの不安も生まれます。

子どもの心とストレスの変化

小学校入学は、子どもにとっても大きな環境の変化です。

 ルールの多い集団生活
 先生との関係性の変化
 友達関係の広がり

一見、元気そうに見えても、家で急に甘えが強くなったり、不安を口にしたりすることがあります。
これは「進学時ストレス」と呼ばれるもので、珍しいものではありません。

(※画像はイメージです)

保育士のための経験共有サイト『ホイクタス』の運営者で、以前は保育園長として多くの子どもたちを見てきた石井大輔さんは、進学してお子さんがストレスを感じたり自信を喪失していたりしたら、「保育士さんに迷惑かも」などと思わず、「ぜひ保育園に行ってみてください。子どもたちが『先生、遊びに来たよ』って言ってくれることで、保育園の先生はとても元気になるんですよ」とすすめます。

「保育園の先生にランドセルを見せに行くだけでもいいと思います。『かつてのあなたはここに確かにいて、そこでこれだけの人たちと出会ってきたんだ。小学校に行っても、成長を喜んでくれる人たちがここにいるんだ』と。それって大きな財産ですよね。財産なんて言葉を理解できなくても、子どもには伝わるはずです」
「保育士は、保育している子どもたちの『将来の姿』を目の当たりにする機会が多くありません。保育園にいるうちは、子どもの成長のためにいろいろな取り組みをします。小学校以降も出せる力をどうやって育んでいくかを考え、実践している園は多いです。でも、卒園してからどうなったかを知ることは、なかなかできないのです。
そんな中、卒園した子たちに会うことで、『あの頃こうだった子に、こんなことを働きかけたら、こんなふうに成長できたんだ!』という実感を得られます。だから、卒園した子どもたちと会えることは、嬉しいだけではなく、保育士のためにもなっているのです」
(石井さん)

先輩家庭のリアル(体験談)

(※画像はイメージです)

「うちだけじゃなかった」先輩家庭のリアル

先輩家庭の体験を見ていくと、小1の壁の感じ方は家庭ごとにさまざまです。

先輩ママ 後田とも子さん(仮名/36歳/広告サービス/東京都在住)
◆家族/夫(42歳、会社員)、長男(7歳)、長女(4歳)

長男の出産後、夫の転勤が決まり石川県に家族で引っ越し。自己都合による部署異動が認められ、石川県で職場復帰。
長女を授かり東京へ戻り、現在はフルタイム共働き。長男が小学校に上がるタイミングで昇進し、残業があるときは夫がワンオペ育児を実践中。

息子が小学校に入学して、まず最初に突き当たった壁は持ち物の管理でした。
授業や行事で必要となる持ち物が毎日のように変わり、その割に学校からのお手紙が非常に読みづらかったので、スケジュールを含めた管理が大変で……。

まだ管理に慣れていなかった頃、急に遠足の日程が変更になったことがあり、私がリュックを持たせ忘れて、慌てて学校に届けたこともありました。

さらに、息子はありとあらゆるものを失くしてしまうタイプで、そのリカバリーも本当に大変でした。

入学からわずか2週間後に黄色の通学帽子を失くし、あちこちを探しましたが見つからず、先生に代わりのものを用意してもらうことに。

お道具箱や学校から借りた本を持ち帰るはずなのに、手ぶらで帰ってくることもしょっちゅう。本人に聞いても「どこかでなくなった」と言うばかりでわからず、後日、学校に鉄道会社から電話がかかってきて、駅に置いてきてしまったことが発覚したというトラブルもありました。

学習面では、漢字学習が始まってからが一苦労でした。
一応学童で漢字の書き取りの宿題をやってくるものの、字が汚な過ぎて家で再度すべてやり直ししたり、事前に漢字ノートに薄く漢字を書いておいてなぞらせたり……。試行錯誤の繰り返しでした。
逆に、公文で先取り学習をしていた算数は得意で、字が汚い以外は困らず良かったです。

先輩ママ 羽田陽子さん(仮名/44歳/Web広告関連/神奈川県在住)
◆家族/夫(47歳、メーカー勤務)、長女(7歳)、次女(3歳)

メーカー勤務の夫と2008年に結婚し、フルタイム共働きで慌ただしく過ごす。書籍編集を経て、産前はWeb記事の企画、編集、制作業務に携わる。2016年に生まれた長女が、この4月から小学2年生に。

我が家の長女は、就学前に保育園ではなく幼稚園に通っていたため、仕事と学校生活の時間のやりくりについてはあまり悩みませんでした。
行事や面談などで仕事を休まなければいけない頻度も、入学前後であまり変わらなかったのですが、意外と大変だったのはこまごました生活の変化に対応すること。

教科書やランドセルをどこに置くか、宿題をどこでさせるか、それを夫婦のどちらが責任を持って見ておくか……。入学後に落ち着いて生活サイクルが回り出すまで、しばらくバタバタしました。

また、毎日の学校の用意をなんとか自分でしてもらおうと4月のうちは頑張ったのですが、これがどうにもうまくいかず、今は諦めて親がやっています。

もうひとつ困ったのが、細かいことですが、小学校からの連絡が紙だったりメールだったり、先生からだったりPTAからだったりとバラバラなこと。
どこで誰に何を連絡されたのかとても分かりづらく、これには今でも慣れません。もうすべて電子配信してほしい……と切に願っています。

先輩ママ 北山みなみさん(仮名/40歳/法律事務所勤務/静岡県在住)
◆家族/夫(35歳、公務員)、長男(7歳)、長女(5歳)、次男(3歳)

警察官の夫と2014年に結婚し、一度は退職。長男長女の出産を経て再就職後、次男を授かり転職し、現在はフルタイム共働き。夫の仕事上、休日や夜間に不在のことも多く、ワンオペ育児に奮闘する日もしばしば。両親は双方遠方のため頼りづらい。

長男が小学校に入学するまでは、子ども3人が全員同じ「認定こども園」に通っていたため、お迎えが一度で済んでいた我が家。

しかし入学後は、子ども園に加えて長男の児童クラブ(学童)へのお迎えが増えたため、「職場⇒お迎え2カ所⇒自宅」となり帰宅時間が遅くなってしまいました。

また、帰宅後も宿題の丸つけなど家庭での学習サポートが加わり、夕食の支度など今までできていたルーティンが回らなくなり……。

夕方に時間を割けない分、朝早く起きて夕食の支度まで済ませるようにし、少しでも早く仕事を上がれるように業務の調整もしましたが、とにかく時間が足りない!

さらに小学校の夏休み・冬休みなど長期の休暇は、学童に毎日お弁当を持って行く必要があって、かなりヘトヘトになりました。夫は夜勤もある仕事なので、忙しくてサポートが得られず、ワンオペの日々が続くと体力的にもきつく、私が体調を崩してしまったこともありました。

 スムーズに適応したように見えて、実は親が無理をしていた
 入学当初は大変だったが、数ヶ月かけて落ち着いた
 子どもの成長を通じて、親の関わり方が変わった

共通しているのは、「最初からうまくいった家庭はほとんどない」という点です。

専門家の見解は…?「小1の壁」との向き合い方

教育や子育ての専門家は、「小1の壁」を乗り越えるために、一度にすべてを解決しようとしないことを勧めています。

マイナビ子育てでは、斬新でユニークな指導法で話題の現役小学校教諭「ぬまっち先生」こと沼田晶弘さんに、「小1の壁」の原因と対策について取材。

沼田先生は「こういうと皆さん驚かれるかもしれないですが、まず前提条件として「小1の壁」なんてボクはないと思っています」と明言しました。

「環境が変わることで生じる問題は確かにあると思います。でも、新しい環境になじむまで時間が必要なのは当たり前のこと。保育園や幼稚園、こども園と小学校は違う場所ですから、わざわざ【壁】という言葉を使わず、その心構えをしておけばいいのではないでしょうか」

沼田先生は、「小1の壁」に直面する親の不安が大きくなる理由として、小学校に入ると子どもの学校での様子が見えにくくなることを挙げています。保育園・幼稚園では送迎時の対面や連絡帳を通じて日々の様子が共有されていましたが、小学校ではそれがなくなり、連絡帳も必要事項のみの伝達に限られるため、保護者は「大丈夫なのだろうか」という不安を抱きやすくなります。

実際、小学校入学直後は、保育園時代の感覚が抜けず、学校にも細かな報告や対応を求める保護者が少なくないといいます。しかし沼田先生は、日常のことは本来、子ども自身が親や先生に伝えるものであり、それこそが自立への第一歩だと指摘しました。

また、「忘れ物をしないように」という親心で準備をすべて整えてしまうことで、子どもは「自分でやる経験」を失ってしまいます。小学校では、多少の忘れ物は大きな問題ではなく、忘れたときにどう対応するかを学ぶこと自体が大切だと沼田先生は強調。小学1年生は、自立のスタートラインに立った段階であり、親も耐えながら見守る覚悟が必要だといいます。

家庭タイプ別に考えるヒント

フルタイム共働き家庭
 無理なく回る仕組みを最優先にする

時短・在宅勤務がある家庭
 役割分担や線引きを意識する

祖父母の協力がある家庭
 頼れる範囲と頼りすぎない範囲を整理する

どの家庭にも共通する「正解」はありません。

編集部メモ|「小1の壁」社会でも議論が進んでいる

「小1の壁」への対策として、小学校の開門時間を早める、学校での朝食提供といった新たな取り組みを試みている自治体もあります。
しかし一方で、実際の子育て世代からは「困っているのはそこではない」「教員の負担が増えるだけでは」といった声も少なくありません。
制度的な支援が進む一方で、家庭の中で起きているリアルな困りごととの間には、まだギャップがあります。

事前にできること/あとから見直せばいいこと

小1の壁は、入学前の準備だけで防げるものではありません。

* 入学前に考えておくと楽になること
* 入学後に「やっぱり変えよう」と見直しても間に合うこと

この2つを分けて考えることで、気持ちが軽くなる家庭も多くあります。

編集部まとめ|小1の壁に「正解」はない

小1の壁は、特別な家庭に起きる問題ではありません。
多くの家庭が、入学後に一度立ち止まり、試行錯誤しながら形を整えていきます。
「今うまく回っていない」と感じること自体、間違いではなく、 親子で新しい生活に慣れていく過程の一部です。親子一緒に少しずつ、社会という大海原に船を漕ぎだしていきましょう。

(マイナビ子育て編集部)

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