【医師監修】つわりは早くていつから?生理予定日前の吐き気の原因と軽減方法
妊娠初期に感じる症状は人それぞれですが、中には「生理予定日前から吐き気があった」というように、生理予定日より前の妊娠超初期からつわりのような症状を感じたという人も。つわりによる吐き気の症状はいつから出始めるのでしょうか。
つわりはいつから始まるの?
妊娠による症状の中でも「つわり」は有名ですよね。つわりは妊娠するといつごろから出始めるものなのでしょうか。
妊娠5、6週からのことが多い
一般的につわりの症状が現れはじめるのは「妊娠5~6週ごろ」と言われています[*1]。ちなみに、妊娠していなかったら次の生理の始まるころが、妊娠4週に当たります。
なお、つわりの症状の多くは一過性で、妊娠12~16週ころには自然に治まるといわれています[*1]。
なかには生理予定日前に始まる人も
しかし、つわりが起こる時期は個人差が大きく、中には妊娠1ヶ月(妊娠3週まで)の俗に「妊娠超初期」と呼ばれるころに、なんらかの兆候を感じる人もいるようです。
着床していても、一般的な妊娠検査薬が使えるようになる前で、基礎体温も非妊娠時と同じ変化しか見られない時期なので、妊娠の可能性がある女性はささいな体調変化も気になるのでしょう。
つわりの始まりの頃の様子については以下の記事を参考にしてください。
つわりの症状はどんなもの?
つわりではどのような症状が出てくるのでしょうか。
胃腸などの不調が起こる
つわりの症状は多彩で個人差が大きいのですが、「吐き気」や「嘔吐(おうと)」といった症状が現われることが多く、ほかに「唾液の増加」や「食欲不振」なども起こります。
妊娠するとつわりが起こる原因
妊娠するとつわりが起こるのは、一体なぜなのでしょうか。
ホルモン分泌の変化など
つわりの原因はまだ明らかになっていませんが、「妊娠による急激なホルモン変化」の影響が大きいのではないかと言われています。
その他の代謝の変化、精神的変化なども発症に影響すると言われており、つわりは妊娠に伴う心身のさまざまな変化によって生じるもののようです。
妊娠超初期や初期の吐き気対策
多くは一過性のものとはいえ、吐き気が続くのはなかなかつらいものです。そこで妊娠超初期や初期などの、おもにつわりによる吐き気を軽減する方法をいくつかご紹介します。
少しずつ食べる
吐き気は胃酸が増えると出やすくなります。甘いものや脂っこいものは胃酸を増やしてしまうので食べすぎは避けましょう。また満腹になるまで食べてしまうのも、胃酸の分泌増加につながります。
1回の食事で大量に食べるのではなく、何回かに分けて少しずつ食事をとる「分割食」にすることで、吐き気が軽減されやすくなるでしょう。
口に入れやすい食べ物を常備する
つわりの症状は早朝の空腹時によく起こるといわれています。朝起きた時、すぐに食べられるものをベッドサイドに準備してから就寝したり、通勤時や外出時でも口に入れやすい飴やガム、グミなどを持ち歩いたりしておくとよいでしょう。
ビタミンB6摂取を意識する
ビタミンB6は果物(柑橘類を除く)、魚、鶏肉や、ジャガイモのようなでんぷん質の野菜などに多く含まれるビタミンです。米国産科婦人科学会(American Congress of Obstetricians and Gynecologists:ACOG)ではいくつかの研究報告を元に、妊娠中の吐き気や嘔吐に医師の処方によるビタミンB6の補充治療を推奨しています[*2]。ただし、日本では一般的ではなく、ほとんど行われていない治療です。
つまり、ビタミンB6を豊富に含む食品を意識して食べると、吐き気防止につながる可能性があります。なお、ビタミンB6は妊娠初期の赤ちゃんの発育(とくに脳神経の発達)にも必要な栄養素です。
ただし、「意識して摂取する」と言っても、妊娠中に自己判断でサプリメントを摂取することは今の日本では勧められていません。サプリメントは薬と違って厳格な品質管理が義務づけられているわけではありませんし、サプリメントに含まれるほかの成分との相互作用や過剰摂取などのリスクも考えられます。
まずは、食事のメニューを工夫するなど食べ物からの摂取を意識するようにしましょう。
ビタミンB6は以下のような食品に多く含まれています。
ビタミンB6を豊富に含む食品
肉、魚:赤身肉、鶏肉、マグロ、カツオなど
いも類や野菜:じゃがいも、さつまいも、にんにく、ピーマン、かぼちゃ、ししとう、あさつき、モロヘイヤ、ブロッコリーなど
柑橘類以外の果物:バナナ、アボカドなど
つわりがひどくてどうしても食べられない場合などは、医療機関に相談して医薬品を処方してもらうか、必要な成分のみを含んだサプリメントを摂取するようにしてください。
吐き気以外に出やすい妊娠超初期、初期の症状は?
つわりが始まるのは妊娠5、6週のことが多いようですが、なかにはもっと早い時期から感じ始める人もいるようです。
ただ、生理予定日より前の妊娠超初期は、妊娠検査薬を使うには少し早すぎるので、それが本当に妊娠による吐き気なのかはまだわかりません。妊娠によって引き起こされる吐き気以外の症状もチェックしておきましょう。
妊娠すると出やすい症状
妊娠超初期~初期に現れることがある症状には、吐き気のほかに以下のようなものもあります。
●全身の倦怠感(だるさ)
●頭痛
●眠気
●唾液の増加
●食欲不振
●食べ物の好みが変わるといった嗜好の変化
●腟からの少量の出血
●微熱が出る、熱っぽい
●胸が張る、乳首が痛い
●気分の落ち込み、イライラ
●便秘
●肌荒れ
●腰痛
●おなかの張り、痛み
妊娠すると上記の症状がすべて出るということではなく、どんな症状が現われるか、また、その症状の程度は、人によってさまざまですし、中には症状がほとんどない人もいます。つわりがなくても異常ではないので、安心してください。
兆候があれば妊娠検査薬で検査を
生理の遅れや上記のつわりの症状など、妊娠の兆候があった場合はまずは市販の妊娠検査薬でチェックをしましょう。妊娠検査薬は通常、生理予定日の約1週間後から正確に判定できるとされています。
妊娠検査薬で結果が陽性だった場合は、超音波検査で子宮内の妊娠を確定させるために医療機関を受診しましょう。
なお、つわりの症状が悪化し、栄養障害や脱水などの症状が現われると「妊娠悪阻(にんしんおそ)」という治療が必要な状態になってしまいます。水を飲んでも吐いてしまい、何も食べられていないといった極端な症状が現われている場合は、早めにかかりつけの医師に相談してください。
まとめ
妊娠初期や超初期に現われる妊娠の初期症状には個人差があり、症状だけで妊娠しているかどうかは判断できません。そして、妊娠初期は赤ちゃんの重要な器官がつくられる時期です。妊娠の可能性があるなら、まずは妊娠検査薬を使用し、陽性の場合は早めに医療機関を受診するようにしましょう。
(文:山本尚恵/監修:太田寛先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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