【医師監修】妊娠超初期は腰痛が起こる?妊娠の兆候と痛みへの対処法
まだ妊娠が確定しない時期、いつもと違う体調変化があると「もしかして妊娠の兆候?」と気になる女性は多いようです。生理前の時期に腰に痛みがある、重だるい感じがするといった場合、妊娠の可能性はあるのでしょうか? 今回は「妊娠超初期の腰痛」の特徴や対処法などについて、お伝えします。
生理予定日前の腰痛は妊娠が原因?
「妊娠による腰痛」の可能性もある
「妊娠によって腰痛が起こる」ことはよくあります。ただ、「妊娠していない場合に、生理前に腰痛が起こる」ことも珍しくありません。
ともに、その時期に起こるホルモン分泌の変化などによって、腰痛を起こす可能性はあります。
妊娠初期に腰痛が起こる理由
妊娠すると、初期から「リラキシン」というホルモンが分泌されるようになります。このホルモンには、子宮が大きくなっていくことやお産に備えて「関節をゆるめる」働きがあります。
リラキシンは普通、妊娠3ヶ月ごろから分泌され始め、その影響で骨盤の前方にある「恥骨結合」や後方にある「仙腸関節」がゆるんで、骨盤が不安定になると言われています[*1]。そのため、妊娠中は腰痛を起こしやすくなるのです。
また、妊娠初期は、子宮への血流が増え筋肉が伸びるので、子宮を支える靭帯や膜が引っ張られます。これにより腰痛を感じる人もいるかもしれません。妊娠初期は精神的に不安的になることも珍しくありませんが、心理的なストレスが腰痛を起こすこともあります。
このようにいろいろな要因が重なって、妊娠のかなり早い時期から腰痛を感じ始める人も中にはいるかもしれません。
生理前に腰痛が起こる理由
生理が開始する3~10日前ごろに心と体の不快な症状が出る場合があり、これを「PMS(月経前症候群)」といいます。
PMSによって「腰痛」が起こることもあります。PMSでは、ほかにも、「下腹部痛」「頭痛」「胸の張り」「むくみ」などの身体的症状、「イライラ」「集中力の低下」「眠気」「落ち込み」「不安」などの精神的症状などが見られます。
PMSが原因の腰痛だった場合は、生理が始まると症状は軽くなるか、治まります。
妊娠による変化や症状はいつから?
妊娠したことによって体に何か変化がある場合、それはいつごろから起こる可能性があるのでしょうか。
生理予定日以降が一般的
妊娠している場合、個人差はありますが、「生理予定日を過ぎたころ」からさまざまな体の変化を感じる人が出始めるようです。生理予定日は、妊娠していた場合、「妊娠4週の初日」にあたります。
中でも吐き気や食べ物の好みの変化といった消化器症状がでる「つわり」は、妊娠5〜6週から症状を感じ始めることが多いようです。
また、生理が止まることで妊娠に気づく人も多く、基礎体温を記録している場合は「生理が来ないまま高温期(高温相)が17日以上」続いていれば、妊娠の可能性を考えていいでしょう。
ただし、生理予定日前に起こる兆候も
生理予定日(妊娠4週)というのは、受精卵が子宮に「着床し終わったころ」にあたります。子宮の壁に完全に埋もれた受精卵は、のちに胎盤になる「絨毛」という組織を根のように伸ばして、成長していきます。
実は、生理予定日前には正常な妊娠の場合でも、「少量の性器出血」がみられることがあります。これは「着床出血」と呼ばれています。
名前の通り、受精卵が子宮に着床することで起こるもので、着床出血は「生理予定日かその数日前」から起こる可能性があります。
なお、人によっては、着床出血があるとき、腰痛などの症状を伴うこともあります。
妊娠初期の腰痛は、どんな症状?
妊娠初期に現れる腰痛の症状には、何か特徴はあるのでしょうか。
腰からおしりにかけて痛むことも
痛みの感じ方は人それぞれです。また、妊娠による腰痛とPMSによる腰痛を痛みの種類ではっきり区別することもできません。
ただ、その理由から考えると、妊娠初期の腰痛では、
・腰からおしりにかけての痛み
・生理時のような腰痛
・脚の付け根の痛み
などを感じやすいかもしれません。
湿布は使っていい? 妊娠初期の腰痛の対処法
湿布は専門家に相談してから
腰痛などでよく使う湿布にも薬剤は含まれており、皮膚からその一部は吸収されます。
湿布に含まれる薬剤、とくに鎮痛剤の中には少量でも赤ちゃんに大きな影響があるとわかっているものがあります。ただ、妊娠中であっても問題なく使えるものもあります。
妊婦さん自身が妊娠中にも安心な湿布を選ぶのは大変なので、妊娠の可能性があるなら、湿布であっても、あらかじめ薬剤師や産婦人科医に相談してから使用することをおすすめします。飲み薬の場合も同様です。
こんなときは受診して
・ひどい腰痛があるとき
・発熱や排尿時の違和感、性器からの出血など、腰痛以外の症状もあるとき
・腰痛が続いているとき
などでは、早めに受診してください。
受診の際は、妊娠の可能性があることを必ず伝えてくださいね。
腰痛のホームケアと予防法
軽い腰痛なら、以下のような薬に頼らない方法も試してみてください。
・ホットタオルやカイロで腰を温める
・ストレッチやヨガで血行を促す
・ウォーキングなどで適度に体を動かす
なお、腰痛を予防するためには、以下のような点に注意しましょう。
・普段から正しい姿勢を心がける
・なるべく腰に負担をかけない
・日常的に適度に運動する
妊娠中の腰痛について、詳しくは下記の記事も参照してください。
腰痛以外で妊娠超初期に起こる症状は?
少量の出血や吐き気、腹痛など
妊娠期間は初期・中期・後期に分けられますが、初期の中でも「生理予定日より前」の期間を、俗に「妊娠超初期」といったりします。
この時期にみられる可能性がある症状には、腰痛以外にも、
・少量の出血(着床出血)
・吐き気
・腹痛
など、さまざまなものがあります。くわしくは下記の記事を参照してください。
まとめ
妊娠超初期とPMSによる症状が現れる時期は、両方同じ生理予定日前で、しかもどちらもとても似ています。その腰痛が妊娠超初期の症状かPMSの症状かを判断することは難しいのです。まずは妊娠検査薬が使用できる時期を待ち、試してみるといいでしょう。
(文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます