【医師監修】おしゃぶりで寝かしつけ!選びのポイント7つ&人気おしゃぶり4選
寝てほしいタイミングで赤ちゃんがなかなか寝てくれない……そんな寝かしつけの時におしゃぶりが役立つこともあります。おしゃぶりの正しい使い方や使う時のコツ、そしておしゃぶりを選ぶ際のポイントなどをエビデンスに基づき紹介します。
- おしゃぶりは寝かしつけに役立つってほんと?
- おしゃぶりで安心し、寝る前のぐずりが軽減される
- おしゃぶりにSIDS予防効果があるという説も
- 寝かしつけのおしゃぶり選び、7つのポイント
- ポイント①:赤ちゃんが好むものを探す
- ポイント②:分解できないタイプを選ぶ
- ポイント③:全体が口に入るサイズはNG
- ポイント④:洗いやすいおしゃぶりを選ぶ
- ポイント⑤:スペアをいくつか用意
- ポイント⑥:哺乳瓶の乳首をおしゃぶりとして使用NG
- ポイント⑦:期限が過ぎたら新しいものに交換
- 寝かしつけのおしゃぶりで要注意な3つのケース
- 依存|おしゃぶりに頼り過ぎない
- 歯並び|遅くとも「2歳半まで」にはやめさせる
- 乳頭混乱|母乳育児なら使い始めの時期を要検討
- まとめ
- \厳選/赤ちゃんの「寝かしつけ・夜泣き」関連記事
- \厳選/赤ちゃんの「おしゃぶり」関連記事
おしゃぶりは寝かしつけに役立つってほんと?
おしゃぶりすると赤ちゃんが泣き止んだり、ぐずりがなおったりする効果が期待できます。それはなぜなのでしょうか。
おしゃぶりで安心し、寝る前のぐずりが軽減される
赤ちゃんは大人のように、自分の気持ちをうまくコントロールすることができません。そのため眠たいのにうまく眠れないなど、思うようにいかないことがあると、泣いたりぐずったりしてしまうのです。そんなとき、おしゃぶりをすると赤ちゃんが泣き止んだり、ぐずりがなおったりすることがあります。
なぜおしゃぶりをすると赤ちゃんは泣き止むのか。その理由はおしゃぶりを「吸う」動きにあります。赤ちゃんの口元に指を持っていった時、ちゅうちゅうと強く吸い込まれた経験のある人もいるでしょう。これは「吸啜(きゅうてつ、またはきゅうせつ)反射」という、赤ちゃんに生まれながらに備わっている反射によるもの。
これにより赤ちゃんはママのおっぱいや哺乳瓶の乳首など、口に入ってきたものを無意識に強く吸い込むのです。中には生まれてくる前、ママのおなかの中で指しゃぶりをする姿を見せる赤ちゃんもいますが、これも吸啜反射によるものです。
このように「吸う」ことは赤ちゃんにとって自然な本能であり、吸啜によって赤ちゃんは安心や心の落ち着きを得ていることがわかっています。
赤ちゃんの寝ぐずりは大人にとってもストレス
赤ちゃんの心が落ち着き、泣き止みやすくなることは赤ちゃん自身だけでなく、ママやパパなど子育てに関わる人たちにとっても、うれしいことといえます。赤ちゃんが泣くのは普通のことですが、あまりにも泣き止まないことが続くと、周囲の大人はストレスがたまってしまいます。そんなときにおしゃぶりで赤ちゃんの心を落ち着けられれば、ママやパパの育児ストレスの軽減につながるでしょう。
おしゃぶりにSIDS予防効果があるという説も
そのほかにも、おしゃぶりには、赤ちゃんが突然命を落としてしまう原因不明の病気、「乳幼児突然死症候群(SIDS)」を予防する可能性もあるといわれています。
SIDSは、赤ちゃんが眠っている間に突如亡くなってしまう病気です。窒息などの事故とも違い、赤ちゃんには何の予兆や既往歴もないままに突然命を落としてしまうのがSIDSで、日本では乳児期の死亡原因の第4位となっています[*1]。
SIDSにはまだまだわからないことが多いものの、「1歳まではあおむけに寝かせる」「できるだけ母乳で育てる」「たばこをやめる」などにより、ある程度の発症が防げるといわれています[*1]。それらに加え、赤ちゃんが眠い時に「おしゃぶりをくわえさせることでSIDSの発生を抑えられる可能性がある」と、アメリカの小児科学会は発表しています[*2]。
ただし、おしゃぶりがSIDSの発生を抑制する詳しいメカニズムはわかっていません。また、日本ではアメリカほどおしゃぶりが使用されていないのに、アメリカよりSIDSの発生率が低いと言われており、本当におしゃぶりにSIDSの予防効果があるかについてはもう少し検証が必要なようです。
寝かしつけのおしゃぶり選び、7つのポイント
さて、利点と注意点を理解したうえで「おしゃぶりを使ってみよう」と決めたとしても、たくさんの種類がありすぎて、どれを選べばいいのか困ってしまうかもしれません。おしゃぶりは、どんなポイントに注意して選べばよいのでしょう。
ポイント①:赤ちゃんが好むものを探す
おしゃぶりにはさまざまなサイズがあり、さらに乳首部分の形状もさまざまです。どの商品もそれぞれ赤ちゃんの口に合わせた設計になっていますが、どれを選ぶかは赤ちゃんの好みによって異なります。ちょっと大変ではありますが、赤ちゃんの好みに合ったものを見つけるまで、できるだけさまざまな種類のおしゃぶりを試してみましょう。
ポイント②:分解できないタイプを選ぶ
数あるおしゃぶりの中には洗いやすさなどを考慮して、プラスチックの座板(シールド)と乳首部分を取り外せるようになっているものもあります。取り外して分解できるということは、その分パーツが小さくなり、赤ちゃんが誤飲してしまう危険性が高まるといえます。おしゃぶりを選ぶ時は分解できないタイプのものにしましょう。
ポイント③:全体が口に入るサイズはNG
誤飲を防ぐという意味ではもうひとつ、おしゃぶり全体の大きさもチェックしておきましょう。おしゃぶりは基本的に赤ちゃんが飲み込めない大きさになっていて、万が一の誤飲を防ぐようになっていますが、口の大きさには個人差があります。赤ちゃんがおしゃぶり全体を口に入れることができないサイズのものかどうか、またシールドに通気孔があり、万一誤飲した場合でも空気が通るようにデザインされているかどうかを購入の際、確認する必要があります。
ポイント④:洗いやすいおしゃぶりを選ぶ
おしゃぶりは赤ちゃんが口に入れるもの。神経質になりすぎる必要はありませんが、定期的に洗って清潔を保つことが大切です。そのため洗いやすい形状や素材かどうかをチェックしておくのも、おしゃぶり選びのポイントといえます。
普段、電子レンジによる消毒を利用している場合は電子レンジ消毒が可能なものを選んだり、汚れがたまりやすそうな部分がないかどうか確認したりなど、なるべく洗浄・消毒のしやすいおしゃぶりを選ぶとよいですね。
ポイント⑤:スペアをいくつか用意
肝心な使いたい時に見つからない、すぐに洗えない場所で赤ちゃんが床に落としてしまったなど、必要な時に限っておしゃぶりが使えないことが多々あります。そうした事態をあらかじめ想定し、おしゃぶりは複数用意しておくことをおすすめします。
ポイント⑥:哺乳瓶の乳首をおしゃぶりとして使用NG
まれに哺乳瓶の乳首をおしゃぶりとして使用するケースが見受けられますが、これはやめてください。赤ちゃんが吸い込む力は意外と強く、哺乳瓶の乳首をおしゃぶり代わりにすると乳首が赤ちゃんの口にすっぽりハマり、窒息してしまうことがあります。悲しい事態を招かないためにも、本来と別の用途で使用することはくれぐれも避けましょう。
ポイント⑦:期限が過ぎたら新しいものに交換
おしゃぶりに使用期限があることはあまり知られていないかもしれません。おしゃぶりは時間の経過や使用頻度により劣化します。そのため、一部のメーカーでは、おしゃぶりに使用期限が明記されています。使用期限の記載がある場合はそれを守りましょう。
また、使用期限前でも時々はゴムの色が変わったり、破れたり、破損していないかを確認してください。そして劣化や破損があった場合は新しいものに交換し、安全におしゃぶりを使用しましょう。
寝かしつけのおしゃぶりで要注意な3つのケース
赤ちゃんにとっても、ママやパパにとってもうれしい効果が期待できそうな「おしゃぶり」ですが、上手に使わないと思わぬ影響が出てしまうこともあります。選び方と同じぐらい、正しく使うことも大切ですよ。
依存|おしゃぶりに頼り過ぎない
たしかにおしゃぶりは、くわえるだけで赤ちゃんの心が落ち着く、とても頼りになる存在です。しかしそれゆえ、おしゃぶりに頼り過ぎてしまうという欠点があります。赤ちゃんが泣いていたら「なぜ泣いているのか」を考えず、まずはおしゃぶりを口に入れて泣き止ませようとしたり、ママやパパがおしゃぶりがないと不安になったりしてしまう「おしゃぶり依存」状態に陥ってしまうことがあるのです。
赤ちゃんは単にぐずっている場合もありますが、お腹が空いた、不快感がある、など原因があって泣いていることもあります。何かあるとすぐにおしゃぶりを使ってしまうという行為は、泣いたりぐずったりしている赤ちゃんをあやしたり原因を探ったりといった機会を奪うリスクもあるのです。
おしゃぶりだけに頼り過ぎず、赤ちゃんとのコミュニケーションもしっかり図っていきましょう。
★赤ちゃんが泣く理由の確認や対処について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎赤ちゃんが泣く理由・原因と対応
歯並び|遅くとも「2歳半まで」にはやめさせる
「おしゃぶりを使いすぎると歯並びが悪くなる」といわれることもあるように、おしゃぶりは正しく使用しないと歯並びや、かみ合わせに影響を与えることがあります。
日本で1歳6ヶ月~5歳までの子供、1,120名と4~5歳の子供432名についておしゃぶり、指しゃぶりと乳歯の噛み合わせとの関係を調べた2つの調査では、いずれの調査でも「おしゃぶりを長期に使用すると噛み合わせに悪い影響を与える」ということがわかっています。具体的には、おしゃぶりや指しゃぶりを長期にわたって続けると上顎前突(出っ歯)や開咬(上下の歯がかみ合わず開いた状態)が起こりやすくなるという結果が報告されています[*3]。
ただし、こうしたかみ合わせの異常は、適切な時期におしゃぶりをやめることができれば、子供の成長と共に改善されると言われています。おしゃぶりを使うなら、できれば2歳ころまで、遅くとも乳臼歯が生えそろう2歳半までには、やめさせるようにしましょう[*3]。
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★おしゃぶりと歯並びの関係について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎おしゃぶりは歯並びが悪くなるって本当? 使い方の注意点
乳頭混乱|母乳育児なら使い始めの時期を要検討
母乳育児の場合は、おしゃぶりを使用し始める時期もよく考える必要があります。
というのも、「おっぱいの乳首」と「おしゃぶりや哺乳瓶の乳首」とでは吸い方や吸うときの感触が異なります。赤ちゃんがママのおっぱいの乳首に慣れる前におしゃぶりを与えてしまうと、吸い方の違いに戸惑ってしまい、おっぱいから飲むのを嫌がる「乳頭混乱(にゅうとうこんらん)」が起こることがあるといわれています。
アメリカ小児科学会では「母乳育児がしっかりと確立されるまでは、おしゃぶり導入を遅らせるべき」としています[*2]、母乳育児の場合は、赤ちゃんがママのおっぱいに慣れたかどうか様子を見て、おしゃぶりを使い始める時期を検討するのがよいでしょう。
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★乳頭混乱について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎赤ちゃんの乳頭混乱について
まとめ
「おしゃぶり」には赤ちゃんの心を落ち着ける効果があり、それは寝かしつけにも役立ちます。ただしその効果を最大限に、かつ安全に利用するためには正しい使い方や注意すべきポイントを知っておくことが大切です。赤ちゃんだけでなく、ママやパパの気持ちもラクにしてくれる「おしゃぶり」。子育てで上手に使いこなしていけるとよいですね。
(文:山本尚恵/監修:丘逸宏先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」
[*2]「SIDS and Other Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2016 Recommendations for a Safe Infant Sleeping Environment」
[*3]「おしゃぶりについての考え方」小児科と小児歯科の保健検討委員会(平成17年1月12日)
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます
赤ちゃんの成長を考えて作られた、人気のおしゃぶり
赤ちゃんの成長を考えた設計でありながら寝かしつけにも役立つ、人気のおしゃぶりを紹介します。
ピジョン SkinFriendly(スキンフレンドリー)
座板に段差をつけることで肌との接触面を減らし、さらに大きな通気孔で口周りの通気性も◎。よだれかぶれしにくく、肌にやさしい工夫を凝らした独自設計のおしゃぶりです。「0~3ヵ月/S」「3~6ヵ月/M」「6~18ヵ月/L」の3サイズ展開。
ピジョン FunFriends(ファンフレンズ)
SkinFriendly同様、座板の段差など赤ちゃんの肌にやさしい独自設計に加え、デザインにもこだわったおしゃぶりです。豊富なデザインで、赤ちゃんの成長に合わせて楽しめます。
NUK(ヌーク) おしゃぶり キャップ付 ジーニアス
ドイツのメーカーが赤ちゃんのお口の健康と発達を考えて作ったおしゃぶり。授乳時の乳首にそっくりな形で、上あごにぴったりフィットします。「0~6ヶ月」「6~18ヶ月」の2サイズ展開。
コンビ teteo(テテオ) おしゃぶり 入眠ナビ
おやすみ時向けに設計されたおしゃぶりです。赤ちゃんの口から外れにくい、薄型・軽量・コンパクト設計。頬へのくい込みをやわらげ、あとがつきにくい形状になっています。おでかけに便利なプチケースも付いていて、電子レンジでの消毒が可能です。「S/0ヶ月~3ヶ月ころまで」「M/2・3ヶ月~10ヶ月ころまで」「L/8ヶ月~18ヶ月まで」の3サイズ展開。
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