離乳食で赤ちゃんにたけのこはいつからOK?水煮やアレルギーは?【管理栄養士監修】
食感と香りがなんともおいしいたけのこ(筍)ですが、赤ちゃんにはあげられるものでしょうか。今回は離乳期のたけのこについて解説します。下処理の方法やアレルギーの心配など、知っておきたい知識とともに、離乳食レシピもご紹介します。
たけのこ、赤ちゃんは離乳食でいつから食べていいの?
・完了期の調理:あげるのであれば穂先のやわらかい部分を選び、薄く細かくきざむ
たけのこはどんな野菜?
たけのこの水煮や缶詰は1年中手に入れることができますが、生のたけのこの旬は3月から6月ごろまで。春から初夏にかけての時期に市場に出回ります。たけのこの水煮にはない、たけのこ特有の香りや食感が楽しめますね。
たけのこに豊富な栄養
たけのこには便量の増加を促す不溶性食物繊維のセルロースが豊富に含まれているほか、たんぱく質やカリウムといった栄養素も多く含んでいます。また、たけのこはアミノ酸の一種であるチロシン、アスパラギン酸などのうま味成分も豊富です。
離乳食のたけのこ、下処理・下ごしらえの方法
赤ちゃんに与えるのは難しいたけのこ。完了期以降に「ちょっと食べさせてみたいな」という場合は、しっかりと下処理・下ごしらえをしましょう。
基本の下処理・下ごしらえ
たけのこの先端を斜めに切り落し、皮だけに縦に切り目を入れます。米糠を加えたぬか水をたけのこがかぶる程度鍋に入れ、落としぶたをして皮のまま40~50分程度ゆがきます。ゆでたたけのこは、そのままゆで液が冷めるまで放置し、冷めたら皮を剥き、洗って料理に用います。
皮付きをぬか水で湯がくのはなぜ?
ゆで水は、水よりぬか水を用いたほうがあくが抜けやすいです。また、たけのこは皮のままゆでることで、皮に含まれる亜硫酸塩がたけのこの繊維を軟化させてくれます。
調理上の注意点
たけのこは時間の経過とともにえぐみが増し、硬くなるので購入後はすぐにあく抜きをします。たけのこを離乳食で使う場合は、硬く噛み切れない場合もあるので誤嚥に気をつけ、必ず細かくきざんで料理に使いましょう。
たけのこの離乳食、よくある疑問
次に、赤ちゃんにたけのこを食べさせるときのよくある疑問について、解説します。
たけのこの水煮はいつから与えてもよい?
たけのこの水煮も繊維が多く、噛み切ることが難しいため、離乳完了期ごろから料理に使い始めるのがよいでしょう。たけのこの水煮も生のたけのこと同様、初めて与える際には穂先のやわらかい部分から与えましょう。
生のたけのこを試す前に、あく抜きもしっかりとされているたけのこの水煮から試してみることもおすすめです。
白いつぶつぶは洗い流したほうがよい?
たけのこの水煮などに見られる白いつぶつぶは、チロシンというアミノ酸の一種です。水に溶けにくい性質を持つため、結晶となってたけのこの内部に残ります。
このチロシンは食べても問題ありません。むしろ、うま味の成分なので食べてみましょう。チロシンは脳の神経伝達物質の構成要素ですので、成長が著しい乳児期には欠かせない物質でもあります。
食べたいだけ食べさせてもいい?
たけのこに含まれる不溶性食物繊維は、腸の働きを活発にするため便秘解消に効果的ですが、摂りすぎると腸の働きが活発になりすぎて下痢や腹痛を起こすこともあるので注意しましょう。他の野菜を中心にとり、たけのこは多くなりすぎないようにしておくとよいでしょう。
たけのこのアレルギーはある?
アレルギーは多くの食品で起こりうるもので、たけのこでアレルギーが起こることもありえます。最初はまず少量にしておく方が安心でしょう。
なお、たけのこを食べた後に口の中がイガイガする、咳がでる、皮膚のかゆみがでるといったことがあります。これは、たけのこに含まれるアセチルコリンという物質がアレルギーに似たような反応を引き起こしていることが考えられます。アセチルコリンは「仮性アレルゲン」の一つで、これによって起こる症状は食物アレルギーとは別なものです。仮性アレルゲンの場合は一度なったからといって毎回起こるわけではありません。
たけのこの離乳食レシピ! 完了期
離乳食に使うのはなかなかハードルが高いたけのこですが、1歳過ぎぐらいになったら穂先を少しだけ使ってみてもいいでしょう。
<離乳完了期のレシピ>中華風おじや
材料(1回量)
・にんじん 10g
・たけのこ(穂先) 10g
・ピーマン 5g
・しいたけ 5g
・鶏ひき肉 5g
・ごはん 60g
・ごま油 小さじ1/2
・水 50g
・顆粒中華だし 1g
・トマトケチャップ 小さじ1/2
作り方
① にんじん、たけのこ、ピーマン、しいたけを細かくきざむ
② 鍋にごま油を熱し、①と鶏ひき肉をやわらかくなるまで弱火で炒める
③ ②にごはん、水、顆粒中華だしを加えてふたを閉じ、ごはんがやわらかくなるまで煮る
④ 最後にトマトケチャップで味をととのえる
まとめ
春の訪れを感じさせるたけのこ料理は、旬を感じさせるためには食卓に並べたい食材の1つですよね。旬を意識した献立は子供にとっての食育の1つでもあり、豊かな感性を育むことにもつながります。離乳期から旬を意識した料理を取り入れることはとてもおすすめです。
しかし、たけのこは繊維が多く、赤ちゃんが噛み切ることが難しい食材のため、無理に離乳期に与える必要もありません。与える際には、誤嚥を防ぐためにも必ず穂先のやわらかい部分を細かくきざみ、料理に使いましょう。
(文:茅野陽 先生、監修:川口由美子 先生)
※挿入画像はイメージです