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2021年04月19日 10:43 更新

妊婦の食事にツナは大丈夫? 摂れる栄養素と食べ方のポイント【管理栄養士監修】

缶詰のツナは、おいしくて手軽に使え、調理の時短にもなる食材ですね。妊娠中も活用したいものですが、妊婦さんが食べてもいいのでしょうか? ツナ缶の良い点や食べる際の注意点などについてまとめました。

妊婦もツナ缶は大丈夫! ツナでとれる栄養素

妊娠中は、お母さんの健康や赤ちゃんの発育に影響するなどの理由から、注意が必要な食材がいくつかあります。ですが、ツナ缶は妊婦さんが食べてもまったく心配のないものです。厚生労働省でも、ツナ缶は魚介類や加工品の中でも「特には注意が必要でないもの」の一つとしています[*1]。

また、ツナ缶にはお母さんだけでなく、おなかの赤ちゃんの成長に必要な栄養素が豊富です。たとえば、タンパク質、鉄分、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB12などの栄養素のほか、妊娠中は特にたくさん摂りたいDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、アラキドン酸といった必須脂肪酸も含まれています。

妊娠中もしっかり摂りたい「たんぱく質」

ツナ缶のイメージ
Lazy dummy

たんぱく質は生き物の細胞の主な成分であり、筋肉、皮膚や臓器など私たちの体を形作っているほか、酵素やホルモンなど体の機能を調節する働きがあって、とても大切な栄養素です。そのため、おなかの赤ちゃんの体がぐんぐん成長していく妊娠中期以降になると、妊娠前よりも多くのたんぱく質が必要になります。

ツナ缶は、水煮でも油漬でもたんぱく質が多く含まれているので、家庭での献立にもぜひ活用するといいですね。

妊娠中の貧血予防に役立つ「鉄分」

私たちの体内の鉄分は、約70%が血液の赤血球中のヘモグロビンとして、酸素を運ぶ大切な働きをしています。鉄分が不足すると酸素を運ぶ量が低下するため、体がだるい、息切れがする、顔色が悪くなる、疲れやすくなる、などの症状が見られるようになります。これを鉄欠乏性貧血といいます。妊娠中は血液循環量が多くなり、それにともない鉄分を多く必要とするため、鉄欠乏性貧血になりやすいのです [*2]。

そこで、鉄分を多く含む食品を摂ることが大事になりますが、ツナ缶には鉄分も含まれているので、日ごろからツナ缶を食べることで貧血の予防にもつながります。

赤ちゃんに好影響の「DHA」

DHAのイメージ
Lazy dummy

妊娠中は、良質の脂質を摂ることも大切ですが、なかでも必須脂肪酸と呼ばれる脂質が特に重要です。必須脂肪酸は、動脈硬化を予防したりLDLコレステロールを減らしたりなど、健康な体のために大切な働きをしますが、私たちの体内では作ることができません。そのため、食べ物から摂る必要があります。

この必須脂肪酸の中でも、n-3系脂肪酸と呼ばれるものの一つ、DHAは、赤ちゃんの神経組織や目の網膜の材料となるため、それらが順調にできていくために不可欠となります。また、DHAなどのn-3系脂肪酸が不足すると、早産や低出生体重児のリスクにもなるので、とても重要な栄養素です。

DHAは魚の脂に豊富!

DHAは魚に多いことが知られていますが、特に脂質が多い魚介類に含まれています。塩鮭やマグロ、ぶり、さばなどは、100gほど食べるとn-3系脂肪酸の1日の目安量(1.6 g[*3])をほぼクリアできます。

ツナ缶に含まれるn-3系脂肪酸は種類によって異なりますが、油漬のものは比較的n-3系脂肪酸が多く含まれているので、ツナ缶の中の油も一緒に調味料のようにして使うといいかもしれませんね。

魚介に含まれる水銀、ツナ缶は大丈夫?

栄養豊富で体にいい魚ですが、なかには水銀の影響が心配なものもあります。その点、ツナ缶は妊婦さんが心配なく食べられます。

妊婦が注意したい魚介の水銀

妊婦のイメージ
Lazy dummy

お寿司をはじめ、日本人は魚を食べる機会が多いですが、妊婦さんが魚を食べるときに、注意しなければいけないのが、水銀の量です。魚の体には自然界に存在する水銀が取り込まれているため、妊娠中に食べ過ぎると、おなかの赤ちゃんに水銀が影響することがあるとわかっているからです。

マグロの種類の中でも、ミナミマグロ(インドマグロ)、クロマグロ(本マグロ)、メバチマグロには水銀が多く含まれています。そこで厚生労働省では、これらのマグロのほか、水銀の含有量が多い魚を「妊婦が注意すべき魚介類」として、妊婦さんに1週間に食べる回数や量に注意するよう呼びかけています[*4]。

ツナ缶は水銀のリスクが低く安心

同じマグロの仲間でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶については、水銀含有量が低いことから、厚生労働省は「特には注意が必要でないもの」としています。ですから、妊娠中でもツナ缶は安心して食べることができます。

ツナ缶は、マグロ(キハダマグロなど)を原料とするもののほかに、カツオを原料とするものがありますが、いずれも水銀を多くは含みません。

魚と水銀について、詳しくはこちらも参考にしてください。
▶︎ 厚生労働省「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」

妊娠中のツナ缶の食べ方のポイント

このようにツナ缶は心配なく食べられる食品です。ただし、バランスのいい食生活のためにも、お母さんの体重コントロールのためにも、ツナ缶の種類を選び、食べ過ぎないようにしましょう。

カロリーが気になるのならノンオイルのツナ缶がおすすめ

ツナの入ったサラダのイメージ
Lazy dummy

おいしく手軽で保存もきく便利なツナ缶ですが、油漬のツナ缶はカロリーが高めですから注意しましょう。

そこで、ツナ缶は食べたいけれど、カロリーが気になるという人は、ノンオイルの水煮にしたツナ缶を選ぶといいですよ。水煮のツナ缶は、油漬に比べるとカロリーが1/3[*5]くらいです。

まとめ

マグロには水銀の含有量が多いものもありますが、加工品のツナ缶は水銀が影響する心配もなく、食べても安全です。たんぱく質やビタミン類、必須脂肪酸などが含まれて栄養もありますから、水煮のツナ缶を常備しておき、気軽に活用するといいですね。

(文:村田弥生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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