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2021年04月15日 08:15 更新

妊婦はシメサバを食べていい?生のサバで注意したいアニサキスとは【管理栄養士監修】

脂ののったサバをさっぱり食べたい時におすすめなのがシメサバ(しめ鯖)。妊娠中は酸味のあるものが口に合いやすいこともありますよね。ここ最近では手軽に調理済みのシメサバを購入できますが、妊娠中に安全に食べられるものなのか気になるところです。魚介類によくみられる食中毒の観点から情報を整理しておきましょう。

妊婦もシメサバを食べていい?

結論からお伝えすると、妊婦さんはシメサバを食べるのを避けるようにしましょう。

シメサバの調理方法とサバそのものの特徴を考えると、おすすめできない理由がご理解いただけると思います。

シメサバは加熱していない生のサバ

加熱しないで作るシメサバ

まずは一般的なシメサバの作り方を見てみましょう。



このように、シメサバは調理工程で1度も加熱がされていません。加熱されない生の状態は、食中毒菌やアニサキスなどの寄生虫が死滅せず残ってしまう可能性があります。

妊娠中はシメサバを含む生魚は避けて

シメサバを含め、生魚や加熱が不十分な魚を食べるリスクは食中毒の発生が多いことです。細菌性食中毒に腸炎ビブリオ[*1]やリステリア[*2]、そしてその他の食中毒にアニサキスなどの寄生虫が挙げられます[*3]。

シメサバに潜むアニサキス感染のリスク

シメサバでとくに注意が必要なのは寄生虫のアニサキス感染です。アニサキス自体は加熱調理または魚の中心部までマイナス20℃で24時間以上凍結することで死滅させることができます[*3]が、酢では死滅できません。それらの条件を外れてしまう場合にアニサキス感染の危険性が高まることを十分理解しておきましょう。

アニサキスとは

見た目の特徴としては、体調2~3cmの半透明白色で渦巻き状になって魚の内臓表面や筋肉の部分に多く見られます。

感染成立までの過程は、オキアミ、小魚、中魚と海産魚介類の食物連鎖のなかでサバなどの体内で幼虫まで生育したものをヒトが食べ、胃や腸から組織に侵入するとアニサキス症が起きます。

アニサキス感染の症状

アニサキスで起こる症状

アニサキスが寄生していた生の魚を摂取すると多くは数時間以内に激しい腹痛を生じます。その他に吐き気、嘔吐、蕁麻疹などの症状を伴うこともあり、その他の胃腸関連の病気と判別がつきにくいため必ず医療機関を受診するようにしましょう[*4]。

妊娠中のアニサキス感染によるリスク

アニサキスによる胎児への影響は今現在のところ解明はされていません。また、母体にも直接の影響があるかは示されていませんが、激しい嘔吐による脱水が心配です。

妊娠中のシメサバに関するよくある疑問

シメサバと同じ、サバを使った料理も食べてはいけないのか疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。また、その他に気をつけた方がよい種類の魚介類も知っておくと安心ですよね。それらをまとめていますので、ぜひ知識として持ち合わせておきましょう。

加熱したサバも食べないほうがよいの?

焼き魚の鯖

サバそのものは良質なタンパク質、DHA・EPA、鉄分、ビタミンD、ビタミンB2、ビタミンB12など胎児の発育や母体の健康維持に欠かせない栄養素を豊富に含んでいるため、十分に加熱調理したものは。積極的に食べていきたいですね。


妊娠中のサバについては以下の記事に詳しくまとめていますので、参考にしてください。
▶︎妊婦はさばを食べても大丈夫?

加熱するにしても管理には注意を

しかし、加熱調理済みのサバにもアレルギー様症状の発生に関して注意が必要なことがあります。生のサバを常温で放置したり、購入してから日にちが経過したものに“ヒスタミン”といわれる有害物質が形成・蓄積されてしまうからです。

顔(特に口の周りや耳たぶ)が赤くなる、蕁麻疹が出るなどが主な症状で、重症になることは少ないですが覚えておくといいでしょう。ヒスタミンは一度作られると高温・長時間加熱しても残ってしまうことが大きな特徴です。

購入したサバはすぐに冷蔵庫にしまうなど、管理に気を付けましょう。また、他にもサンマ、アジ、イワシ、カジキ等の魚からも発症した事例があるので、魚介類は全般的に保存状態に十分気をつけてましょう。

ヒスタミン食中毒については以下のサイトで詳しく解説されています。
▶︎消費者庁「ヒスタミン食中毒」

シメサバ以外にアニサキスのリスクが高い食べ物は?

魚介類でサバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマ、ホッケ、タラ、マスにアニサキスは寄生します。どれもポピュラーで食卓に上がる頻度も高いものばかりですよね。特に、刺身で食べるイカには同様の注意が必要なため、シメサバと同様に加熱処理がされていない魚類は、妊婦さんは食べるのを避けるようにしましょう。

まとめ

鯖味噌など魚料理がある食卓

古くからの日本の食生活の特徴として魚の生食は大変ポピュラーですが、妊婦さんにとっては寄生虫・食中毒感染の危険があり、購入してからの温度管理や十分な加熱が必要であることをお分りいただけましたでしょうか。妊娠中は、シメサバを含め刺身など加熱をしない状態で食べることは避けなければいけませんが、魚介類そのものは栄養が豊富です。ぜひ安全に食べられるように正しい知識を持っていってくださいね。

(文:関水芳江 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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