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2021年06月22日 17:20 更新

産後の体型はいつ戻る?出産で変化したボディラインの戻し方【理学療法士監修】

出産という大仕事を終えた体は、体型も変化してしまいます。ある程度覚悟はしていても、ボディラインが崩れてしまうのは辛いですね。そこで産後の体型はいつ戻るのか、戻すためにどんなことをすればいいのかまとめました。

産後に体型が戻らないと感じる人は多い?

お腹を触る女性

妊娠前と比べて産後は体型が変化するという話はよく聞かれますが、実際のところ、どうなのでしょうか? また、どうして産後に体型が戻りにくいのでしょうか?

戻った人の方が多いが、戻らなかった人も

どのくらいのママたちは出産後、体型変化を感じたのでしょうか? そのあと元に戻った人が多いのか、戻らなかった人が多いのかも気になりますよね。そこで編集部でアンケートを実施しました。まずはその結果の概要をご紹介します。

「産後の体型変化に関するアンケート」
対象:出産経験のある女性
回答数:160

産後に体型が変わった人は過半数

産後に体型が変わった人は52.5%と、変わらなかった人47.5%をやや上回りました。産後に体型が変わる人はやはり少なくないようです。

産後に変わった体型が戻った人は少なくない


産後に体型が変わった人のうち、その後に体型が元に戻ったかどうかは、「8割程度は戻った」が37.7%と最も多く、妊娠前の体型に戻ったという人も20%以上いました。「2割から半分は戻った」人は26.9%、「戻らなかった」人は15.3%でした。産後に変化した体型がそのままとなってしまう人も一定数いるようです。

1年以上かけて体型が戻った人が多い

体型が戻った期間は「1年以上」が27.8%と最も多く、次いで「6ヶ月以内」が25%、「1年以内」22.2%。また、体型が「自然に戻った」人が62.5%、「運動を取り入れた」人が37.5%でした。「2、3ヶ月で戻さなければ」と焦る必要はないかもしれません。

ちなみに体型を戻すために取り組んだこととしては、「散歩・ウォーキングをした」という声が多く見られたほか、「栄養バランスに気を付けた」という声も複数ありました。

「すぐに体型を戻さなければそのままになってしまうのでは」と不安に思う人は多いでしょうが、アンケート結果からは、激しい運動や食事制限を行うというよりも、散歩などの軽い運動をしながら、ある程度の期間をかけて体型を戻していくのが現実的であることがうかがえます。

妊娠中に変化した体型が産後に戻らない理由

妊娠中の女性

産後に体型が戻らない理由はおもに2つあります。

ひとつは、妊娠中に脂肪が蓄積したから。出産でおなかから出ていく赤ちゃんと胎盤、羊水の重さは4㎏ほどです。妊娠前より増えた体重からこの分を引いた重さには、血液などの水分のほかに、脂肪が含まれます。妊娠中の体は皮下脂肪を蓄えて、赤ちゃんが急速に育つときに使う仕組みになっています。この蓄えた脂肪が腹部に残ってしまい、体型が変わることがあります

もうひとつの理由は姿勢の変化。妊娠中は重心が前に移動するため、背中が反った姿勢になりがちです。この姿勢の影響や、体力低下、授乳や抱っこなどによる負荷によって、産後は姿勢が変化しやすいのです。姿勢が崩れてしまうと体型にも影響します。

体型が元に戻る時期

お腹の皮のたるみ

産後すぐの体型の変化はショックかもしれませんが、ずっとそのままではありません。

戻るまでに半年くらいかかる

妊娠で大きくなったお腹は産後すぐには元に戻りません。大きくなった子宮が元のサイズになるまでに6週間ほどかかります。また、骨盤回りなど、出産のためにダメージを受けた靱帯などの結合組織や筋肉は、半年ほどかけて治癒します。

ただ、冒頭でご紹介したアンケート結果でわかるように、実際に体型が戻る期間は個人差が大きく、妊娠前の体型や皮下脂肪のつき方、ライフスタイルなどによって変わってくるので、一概にどれくらいとは言えません。目安として、体重は出産でおよそ5.5kg、産後2〜4ヶ月でさらに4kgほど減り、最終的に妊娠前より2〜3kg増えて落ち着く人が多いと言われています[*1]。

どの程度体型や体重が戻るかも個人差が大きいところです。早めに元に戻る人もいれば、完全には戻らない人もいます。産後の自然な体の戻りは概ね3ヶ月から半年くらい続き、その後落ち着いてくると考えましょう。

産後ダイエットは体の調子を見ながら

バランスの良い食事

上で説明したように体型の戻りは半年ほどで落ち着きますが、産後1年くらいはホルモンや靭帯などは変化し続けていきます。産後のダイエットは体に負担をかけないよう、無理なく行うことが大切です。少なくとも1ヶ月健診を受けて問題ないことがわかるまではダイエットは控えてください。その後も産褥期(産後6~8週)の間は体を休めることを優先しましょう。

また産褥期が終わったからといって、急に運動を始めたり食事制限をしたりするのではなく、まず少しずつ運動を始めて慣らしていきましょう。

授乳をしている場合、食事には特に注意が必要です。厚生労働省は、授乳中は摂取エネルギーを1日あたり350kcal増やすことを推奨しています[*2]。これはそばやうどんなどで軽い食事を1食分増やすのとだいたい同じカロリーです。タンパク質、ビタミン、鉄なども通常時の摂取量に上乗せしてとるよう勧められています。せめて脂質は減らしたいと思うかもしれませんが、魚に多く含まれるEPAやDHAは摂取したほうがよい脂質です。特定の食品に偏ることなく、幅広い食材、メニューから栄養をとることが大切です。

体型のことを考えて焦るよりも、まず食事をしっかりとって充分な睡眠時間を確保し、体が回復するのをサポートしましょう。産後すぐに行える「産褥体操」(さんじょくたいそう)も体の回復の助けになるのでおすすめです。

産褥体操の詳しいやり方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
【医師監修】産後のぽっこりお腹、いつもどるの? 運動してもいい?

産後の体型の戻し方

仰向けで膝を立てる女性

産後の体型を戻すために、ぜひ次のことを試してみてください。

隙間時間で行える簡単エクササイズ

産後の体が回復してきたのを感じたら、簡単で毎日続けやすく、負荷の小さいエクササイズを始めましょう。

ちなみに、腹筋の筋トレで一般的な、寝そべって上体を起こす運動は腹直筋を鍛えるものですが、産後に腹直筋を鍛えると、出産によって緩んでいる骨盤底筋に負担をかけてしまい、尿漏れなどのトラブルにつながることもあります。おすすめは腹横筋(お腹の脇にあるインナーマッスル)を鍛えるエクササイズです。

腹横筋を鍛えるエクササイズ

産後にまずトライするエクササイズとしては、仰向けになって行うものがやりやすくてよいでしょう。腹横筋と骨盤底筋に働きかける運動です。

①仰向けに寝そべり膝を立てた姿勢で、軽くあごを引く。
②その状態で、腟をおへその方に引き上げる意識をしながら「はぁ〜っ」と呼吸の音がするように息を吐ききる。
③これを10分くらい繰り返す。

このとき、呼吸に注意していください。息を吐いたときにお腹が膨らんでくるようだと、正しい方法で行えていません。お腹がリラックスした状態から息を吐くようにします。息を吐いているときに自然にお腹がへこむのを感じられるのが正解です。慣れてきたら、1日3回(合計30分)に増やすなどしてもよいでしょう。

リラックス効果も得られるヨガ

ヨガは深い呼吸をしながら体を動かすので、ストレス解消やリラックス効果があります。特に産後ヨガは産後の心身の調子を整えるポーズが中心となっており、運動不足解消だけでなく、産後トラブルの予防にもなります。産後ヨガの教室に通えば気分もリフレッシュできます。自宅で動画を見ながら取り組むこともできるので、隙間時間にやってみてもよいでしょう。

正しい姿勢を心がける

赤ちゃんを抱っこする母親

妊婦さんはバランスをとるために腰を反らした姿勢になりがちですが、産後も抱っこや授乳など産後の育児動作で、悪い姿勢がそのまま続いてしまうことは少なくありません。

抱っこの正しい姿勢は?

お腹を突き出し、赤ちゃんをお腹の上に乗せて抱っこすると、インナーマッスルやお尻の筋肉を使わないため、体型の崩れ・腰・背中・首の痛みにつながります。片方の腰の上に赤ちゃんを乗せて引っ掛けるような抱き方も、骨盤の左右差を生み、痛みにつながります。

抱っこのときは次の4つを意識しましょう。

・お腹を突き出さず、上に伸びるようにまっすぐ立つ
・脇を締める
・肘は90度に曲げる
・赤ちゃんを肘の近くで支える

赤ちゃんの位置を高くして抱っこするのが正しい姿勢を保つポイントです。

抱っこ紐の場合は、体格にあったものを選び、正しく装着します。装着したとき赤ちゃんの位置が下がりすぎていると、体幹を不自然に後ろに傾けた姿勢になってしまうので注意しましょう。

授乳のときも姿勢に気を付ける

授乳の際は背中を丸めた姿勢になる人が多く見られます。授乳をするとき猫背になっていたら、授乳クッションなどを使って楽に正しい姿勢で授乳できるようにします。

ただし、まだ赤ちゃんが小さいと授乳クッションだけでは高さが足りず、猫背になってしまうことも。赤ちゃんの高さに合わせてママがかがむのではなく、ママの乳頭の高さに赤ちゃんを合わせるようにしましょう。クッションの上や下にバスタオルなどを重ねて高さを調節するのがおすすめです。

床に座って授乳する際も、正座を崩した割り座や足を組む座り方ではなく、あぐらをかくか正座で座り、左右非対称の姿勢にならないようにしましょう。

授乳時の姿勢については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。
【助産師解説】写真で学ぶ授乳姿勢!パターン別授乳姿勢と4つのポイント

できるだけ規則正しい食生活を

食事は内容だけでなく、食べるタイミングも大切です。ある調査では、体重が戻ったママは戻らなかったママよりも、1日の食事の回数や時間帯を規則正しくしていた割合が高かったそうです[*3]。さらに、朝食を毎日食べる、薄味を心掛ける、就寝3時間前までに夕食を食べる割合も高くなっていました。

産後の慌ただしさから不規則な食生活が身についてしまうと、産後太りの原因にもなってしまいます。薄味の食事を規則正しくとることが産後の体型を戻す近道と言えるでしょう。

まとめ

伸びをする女性

妊娠中、約10ヶ月かけて変化した体は、産後もゆっくり時間をかけて元に戻ります。焦らずに体をしっかり休めてバランスのとれた食事を規則正しく食べ、正しい姿勢を意識して体の戻りをサポートしましょう。簡単にできる体操や気分転換になる運動も加えてみてください。忙しい産後は日常の中でできることから、自分のペースで体型戻しを始めていきましょう。

(文:佐藤華奈子/監修:近藤可那 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]『病気がみえる Vol.10 産科』メディックメディア、p.366
[*2]日本人の食事摂取基準2020年版 Ⅱ 2対象特性「妊婦・授乳婦」
[*3]木村涼子:産後10か月女性の体重復帰と母乳率、食習慣及び美容意識の関連、東北文化学園大学看護学科紀要4(1)(2015)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、理学療法士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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