離乳食の献立の立て方|初期・中期・後期・完了期ごとに解説【管理栄養士監修】
離乳食が始まると悩ましいのが毎日の献立。何をどのくらいあげればいいのか、食材の種類や組み合わせなど、わからないことも多いですよね。今回は離乳食の時期別で献立の考え方のポイントや1週間分の献立例をご紹介します。
離乳食の献立で基本となること
離乳食の献立内容は段階によって変化しますが、それぞれの立て方を見ていく前に、全体的なポイントをまずは押さえておきましょう。
食材選び|主食・主菜・副菜を組み合わせる
離乳食に使用する食材は、主食(米、うどん、パンなど)、主菜(魚、肉、卵、豆類など)、副菜(野菜やきのこ類、海藻類など)を組み合わせていきます。食材を選ぶときには次の点を頭に置いておくとよいでしょう。
<選ぶときのポイント>
●鮮度がよいもの
●旬の食材
●赤ちゃんの食べやすい形状に加工しやすいもの
一方で離乳食に使うには注意したい食品もあります。
<避けた方がよいもの>
●加工食品
●ちくわなどの練り製品
●調理済み食品
これらの食品は塩分や油分が多いものも少なくありません。また、弾力があったり硬かったりと、赤ちゃんには食べにくい形状であることもあります。使用を控えるか、使用する場合には調味料を使わないようにしたり、食べやすくする工夫が必要です。
食物アレルギー|少しずつ試す
「卵や小麦は離乳食で使わないほうがいいの?」と思うかもしれませんが、アレルギーの可能性のある食品を与える時期を遅らせることで食物アレルギーを予防できるという科学的根拠はありません。離乳食ではさまざまな食品を経験することが大切なので、注意しながらアレルギーの可能性のある食品も試していきましょう。
■アレルギーの可能性のある食品を与えるときのポイント■
●初めて与えるときには、赤ちゃんの体調のよい日を選び、少量ずつで様子をみましょう。
●症状が現れたときにすぐに小児科を受診できるよう、平日の午前中を選ぶとより安心です。
関連記事▶離乳食アレルギーで出る症状は? 口の周りが赤い……よだれかぶれとの見分け方は?
離乳食初期(5、6ヶ月)の献立の考え方
離乳食初期は食べることに慣れるための期間です。口に食べ物を入れて飲み込む練習をしていきます。
初期の進め方|おかゆから野菜、タンパク質食品へ
1さじとは小さじ1杯(5g程度)くらいの「少し」という意味です。特に量の決まりはありませんが、最初からたくさんだとびっくりしてしまうので、少量を離乳食用のスプーンで少しずつあげましょう。
2.おかゆに慣れたらじゃがいもやかぼちゃなどの野菜を1さじずつ
新しい食品を与える場合には1さじずつ始め、赤ちゃんの様子を見ながら量を増やしていきます。野菜はじゃがいも、にんじん、かぶ、かぼちゃ、ほうれん草、トマトなど繊維の少ないものを選びます。
3.さらに慣れてきたら豆腐や白身魚などを
おかゆや野菜に慣れてきたらタンパク質食品もスタートし、食品の種類を増やしていきます。
■進め方の目安■
1日目~5日目:おかゆ1さじから徐々に2~3さじ程度まで増やします。
6日目以降:おかゆ3~5さじ程度+野菜ペーストを1さじずつから。
1ヶ月経ったころ~:少しずつタンパク質にもチャレンジし、主食(おかゆ)、野菜、たんぱく質の3種類を基本に考えます。
離乳初期では食事の目安量は特にありません。赤ちゃんの様子を見て進めていきましょう。
関連記事▶離乳食はいつから、どう始める?知っておきたい基本のポイントまとめ
初期の調理のポイント|加熱してなめらかに
●食材はすべて加熱する
●なめらかにすりつぶす(ペースト状)
●基本的に味付けはしなくてOK(無塩のだし汁や野菜スープは可)
赤ちゃんは大人と比べて食中毒の菌に弱いので、初期のころは特に、大人が生で食べる食材であっても加熱殺菌しましょう。また、加熱によってやわらかくするという目的もあります。
食べ物はなめらかなペースト状にします。離乳食を始めたばかりの時期の赤ちゃんは、まだ口の中で食べ物をかんだりつぶしたりできません。なめらかにすりつぶした食べ物を飲み込むことに慣れさせていきましょう。
関連記事▶離乳食の作り方|基本となる6つの調理法とおかゆやペーストのレシピ
なお、離乳食初期の進め方や調理については、以下の記事でより詳しく解説しています。
関連記事▶離乳食初期(生後5〜6ヶ月)の基本を解説!よくある悩み・疑問も
初期の1週間の献立例
6ヶ月ごろの献立例をご紹介します。このように少しずついろいろな野菜や肉・魚をとれるといいですね。あくまで一例ですので、組み合わせは作りやすいように調整してください。また、まとめて作って小分けに冷凍しておくと便利です。
授乳|母乳やミルクはこれまでどおりに
このころの赤ちゃんはまだまだ母乳とミルクから栄養を得ています。授乳は離乳食を始める前と同じリズムで考え、赤ちゃんが欲しがるだけあげましょう。離乳食を与えた直後も、量を少なくする必要はありません。
離乳食中期(7、8ヶ月)の献立の考え方
離乳食中期では食事の回数が2回に増え、食事のリズムをつけていきます。いろいろな味や舌触りを楽しめるよう、食材の種類を増やしていきましょう。
中期の進め方|午前と午後のリズムを
ただし時間はあくまでも目安なので固く考えすぎなくても大丈夫です。食事の時間の前にお腹が空いたなら、ごはんをあげてもまったくかまいません。たとえば、1回目の食事の量が少なかったら1日に3回食べるということがあってもよいのです。
1回あたりの目安量も増えますが、赤ちゃんの食べ具合を見て徐々に増やしていきましょう。
■1回あたりの目安量■
<主食>
全がゆ(5倍がゆ)の場合:50~80g
うどんの場合:35~55g
食パンの場合:15~20g
<野菜・果物>
20~30g
<タンパク質>
魚・肉の場合:10~15g
豆腐の場合:30~40g
卵の場合:卵黄1個~全卵1/3個
乳製品の場合:50~70g
中期の調理のポイント|豆腐くらいのかたさが目安
●豆腐くらいのかたさにする(やわらかく煮る)
●食材が増えてくるのでアレルギーに注意
●調味料の使用は風味付け程度に
初期のころはなめらかにつぶした状態のものを飲み込むだけでしたが、少しずつ舌を使って食べ物を動かしたり、つぶせるようになります。目安は豆腐くらいのかたさです。やわらかく煮たものであればペーストにしなくても食べられます。主食はうどんやパンなどを始めることができます。ただし小麦のアレルギーには注意しましょう。
味付けでは少量ならば調味料が使えるようになりますが、基本的にはだしの風味や食材の味を生かした調理がおすすめです。調味料を使用する場合は風味付け程度の使用とし、塩分の摂りすぎにならないようにしましょう。
じゃがいもやかぼちゃはやわらかく煮れば口の中でつぶれやすいので、2~5mm角程度にして崩しながら与えましょう。
にんじんやほうれん草もやわらかく煮えていればすりつぶさずに食べることができますが、じゃがいもなどと比べると舌でつぶしにくいので、初めは2mmくらいのみじん切りから始めるとよいでしょう。
離乳食中期の進め方や調理については、以下の記事でより詳しく解説しています。
関連記事▶離乳食中期(生後7~8ヶ月ごろ)のポイントを解説|よくある悩み・疑問も
中期の1週間の献立例
離乳食中期の1週間の献立の一例をご紹介します。バリエーションを持たせた内容にしているので、実際は同じものが何日か続いてもまったくかまいませんよ。
離乳食後期(9~11ヶ月)の献立の考え方
離乳食後期では1日の食事も3回になり、食事のリズムができてきます。
後期の進め方|3日~1週間のトータルバランスで
■1回あたりの目安量■
<主食>
全がゆ・軟飯の場合:全がゆ(5倍がゆ)90g~軟飯80g
うどんの場合:60~90g
食パンの場合:25~30g
<野菜・果物>
30~40g
<タンパク質>
魚・肉の場合:15g
豆腐の場合:45g
卵の場合:全卵1/2個
乳製品の場合:80g
この時期の好き嫌いは舌触りや固さなどが原因の場合もあります。焦らず、赤ちゃんの様子を見ながら進めていきましょう。
後期の調理のポイント|バナナくらいのかたさが目安
●指でつぶせるバナナくらいのかたさにする
●味付けは薄味を心がける
この時期には舌を使って食べ物を歯ぐきの上に移動させ、歯ぐきを使ってつぶすことができるようになっていきます。「歯ぐきでつぶせるかたさ」を食べ物で考えると、指でつぶせるバナナくらいを目安にするとよいでしょう。たとえば、やわらかい肉団子やつくねなども食べられるようになります。
味付けは引き続き薄味にします。薄味のものに飽きてしまい味の濃いものを欲しがるようなら、味付けにメリハリをつけ、味の濃いものばかりにならないようにしましょう。
なお、離乳食後期の進め方や調理については、以下の記事でより詳しく解説しています。
関連記事▶離乳食後期(生後9~11ヶ月ごろ)の基本を解説!よくある悩み・疑問も
後期の1週間の献立例
離乳食後期の1週間の献立の一例をご紹介します。参考のためにいろいろなメニューを入れていますが、大人の食事でもある程度同じ食材や料理が重なることがあるように、赤ちゃんの食べ慣れたものを用意してもOKです。
離乳食完了期(12~18ヶ月)の献立の考え方
離乳完了期では1日3回の食事のリズムを大切にしつつ、生活リズムを整えていきます。また、自分で食べる楽しみを感じていく時期なので、手づかみ食べなどを始めていきます。
完了期の進め方|手づかみ食べの練習を
■1回あたりの目安量■
<主食>
ご飯の場合:軟飯90g~ご飯80g
うどんの場合:105~130g
食パンの場合:40~50g
<野菜・果物>
40~50g
<タンパク質>
魚・肉の場合:15~20g
豆腐の場合:50~55g
卵の場合:全卵1/2~2/3個
乳製品の場合:100g
口に詰め込み過ぎたり、食べこぼしたりすることも多くなるので、ママやパパが気疲れしてしまうこともあるでしょう。
手づかみ食べしやすいメニューを取り入れたり、赤ちゃんの「やりたい!」を尊重できるような環境づくり(汚れてもよい服、片付けが楽になるような工夫)をすると、気持ちを楽にして見守れるかもしれません。
完了期の調理のポイント|肉団子くらいのかたさが目安
●歯ぐきでかみつぶせる肉団子くらいのかたさにする
●手づかみ食べしやすい形を取り入れる
●味付けは薄味を心がける
この時期には前歯も生えてくるので、前歯で噛み切ることもできるようになってきます。蒸したさつまいもや、やわらかく煮た野菜を赤ちゃんがつかみやすいスティック状に切って、手づかみ食べの練習をするとよいでしょう。
大人の食事からのとりわけもしやすくなりますが、味付は基本的に薄味にします。味噌汁だと倍量くらいに薄めたものが目安です。
なお、離乳食完了期の進め方や調理については、以下の記事でより詳しく解説しています。
関連記事▶離乳食完了期(生後12~18ヶ月)のポイントを解説|よくある悩み・疑問も
完了期の1週間の献立例
離乳食完了期の1週間の献立の一例をご紹介します。食事に慣れてくるころです。食べられるものでしっかり栄養を補いつつ、新しいものを少し入れられるといいですね。
まとめ
離乳食は段階によってさまざまな調理方法や注意すべきポイントなどがありますが、何よりも大切にしたいのは、赤ちゃんも親も穏やかな気持ちで楽しい食事時間を過ごすこと。献立内容も1日1日で考えず、3日や1週間と長い日数でバランスをみていけば大丈夫です。ご紹介した献立例はあくまで参考程度に考えてくださいね。家族で楽しく食事時間を過ごせるようにしましょう。
(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」によると、正しくは「離乳初期」や「離乳中期」となりますが、本記事ではわかりやすく「離乳食初期」や「離乳食中期」と表記しています。