離乳食の冷凍保存|メリットやポイント、食材別テクニック、保存容器【管理栄養士監修】
離乳食は手間がかかる割には、赤ちゃんが食べる量はとても少ないですよね。時間効率よく、コスパを叶えるために、ママたちが実践しているのが「冷凍保存」。離乳食の冷凍保存についてのノウハウをご紹介します。
離乳食の冷凍保存のメリット
下ごしらえが多く、手間がかかる離乳食を毎回一から作るのは大変ですね。多くのママが離乳食をまとめて下ごしらえをして冷凍で保存。どんなメリットがあるのでしょうか。
時短になる
食材を下ごしらえした状態、もしくは加熱解凍すればすぐに食べられる状態で冷凍保存しておく一番のメリットは、時短ですね。
離乳食をつくるのも大変ですが、それを赤ちゃんに食べてもらうのも簡単なことではないはず。離乳食を用意する時間を短縮できれば、赤ちゃんは待たずに少しでも機嫌がよいタイミングで食べることができ、ママもイライラせずに食べさせることができるかもしれません。
たくさん作って、1回ずつ冷凍できる
離乳食開始時は特に、少しの量を毎回一から作るのは、調理しにくいものです。まとまった量であれば、下ごしらえもしやすくなります。1回分ずつ使い切る量で冷凍保存しておけば、食材を無駄に。しなくてすみますね。
食べる量に細かく対応できる
離乳食が進めば、食べる回数も量も増え、1回に食べさせたい食材の種類も増えていきます。 “もう1品欲しいな……”という時に冷凍保存したものをさっと用意できれば、栄養バランスもよくなるはず。食べ慣れた食材の作り置きがあって、それにもう1品プラスして作るなら新しい食材にもチャレンジしやすくなるでしょう。
離乳食での冷凍保存可能な期間は?
離乳食では、冷凍保存できる期間や方法が通常とは少し違います。簡単に説明すると、通常やっていることよりも少し衛生的に気を配るということです。細かくみていきましょう。
冷凍保存は1週間を目安に
離乳食を作り置きして冷凍すれば、一定期間保存がきくというメリットがあげられます。では実際、どれくらい保存が可能なのでしょうか。
赤ちゃんは細菌への抵抗力が弱いので、食材の鮮度が落ちる前に食べさせたいものです。冷凍した食材は1週間以内に使い切れると安心です。冷凍は一緒に冷凍しているものや、開け閉めの頻度などによっても状況が変わってきますので、冷凍庫の過信は禁物です。
冷凍日付を記入すると便利
冷凍する時に、パッケージに日付を記入すると管理しやすく、無駄なく使い切ることができるでしょう。冷凍庫に入れた日付とあわせて、食べきるとよい日付(期限)を記入するのもわかりやすいかもしれません。冷凍庫で古くなってしまったものがあれば、大人が消費できるといいですね。
離乳食を冷凍する際のポイント
離乳食は、なるべく衛生的に冷凍したいものです。離乳食を冷凍するときのポイントは3つあります。
1食分ずつ分けて冷凍する
1回の食事で食べられる分量ずつ冷凍するのがポイント。使う時にパッと取り出すことができ、食べさせる量も管理しやすくなります。食べ物の形状に合わせて、パッケージを選ぶのも上手な冷凍保存のコツですね。
フタや封はきちんと閉める
1食分ずつ小分けする容器や、仕切られた容器を使用する際は、フタ付きの容器を選びましょう。フタがないもので冷凍していると、食材が乾燥して酸化(劣化)しやすくなります。異物混入を防ぎ、容器を重ねることもできるので、冷凍庫の中をきれいに保つことができます。
袋タイプを使用する際は、封をするときになるべく空気を抜くことがポイントです。
食品が冷めてから冷凍庫に入れる
調理した食材を常温で置いておくと、雑菌が繁殖してしまうので、なるべく早く冷凍することが重要です。加熱直後のアツアツの状態から、粗熱がとれる(やや温かいと感じる程度や湯気がおさまる程度)まで冷めたら冷凍庫に入れるタイミングといえるでしょう。
熱いまま容器に入れてフタをすると、フタに水蒸気がつき雑菌の繁殖につながるので、必ず粗熱をとってからフタをして、冷凍庫に入れるようにしましょう。
離乳食の食材別冷凍テクニック
食材ごとの冷凍方法をお伝えします。コツを押さえれば、より便利に冷凍できますよ。
離乳食のごはん・おかゆの冷凍は1食分が便利
主食は毎回使うものなので、冷凍しておくと便利です。離乳食開始時はつぶしがゆ、その後は全がゆ、軟飯とステップアップしますが、毎食の主食を1食分ずつ冷凍保存すればとても楽になります。
基本的に冷凍する前は、しっかり冷ましてからラップで包んだり、容器にいれるといいのですが、ごはんだけは別です。炊き立てを蒸気ごと密閉してから冷ますと、解凍してもおいしく食べることができます。
うどんなどの麺類の冷凍は茹でてから
うどんなどの麺類は茹でてから冷凍保存ができます。カットしてから冷凍しておくと、すぐに使えて便利です。
食パンは大きさに切り分けて冷凍
食パンであれば適当な大きさに切り分けてラップに包み、密閉してから冷凍保存。使う時は凍った状態のままおろし金ですりおろすこともできます。
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離乳食の野菜の冷凍は下ごしらえを
よく使う野菜は、それぞれの時期に合わせた状態に下ごしらえをしてから、冷凍保存するとよいでしょう。野菜は大きく切ったものを茹でるとやわらかく仕上がるものが多いので、事前に大きく切って茹でてから、小さく切って冷凍しておくのがおすすめです。
肉や魚の場合
魚は茹で汁と一緒に冷凍しても
魚はゆでて冷凍してもいいですし、そのまま生のまま冷凍してもいいですが、ゆで汁は魚からでてくる貴重なだし(出汁)でもあります。生臭さがなければ茹で汁を一緒に少量いれて冷凍するのもおすすめです。
肉類は水分が飛びすぎないように注意
肉類は加熱してから冷凍すると水分が飛んで硬くなってしまうことがあります。ハンバーグのように練り込んでみたり、野菜と一緒に煮てから、煮汁ごと冷凍するとおいしく冷凍できます。フリージングテクニックではありませんが、冷凍バラ凍結してある市販のバラ凍結ひき肉は使い勝手がよい商品ですのでストックしておくといいですね。
だし・スープ類は製氷皿がおすすめ
だしや野菜スープなどの液体は、フタ付きの製氷皿がおすすめです。凍ったら取り出して冷凍用のジッパー袋にいれておくとどんどん作って冷凍していけるので便利です。
離乳食を冷凍することのデメリット
時短に便利な冷凍ストックですが、デメリットもあります。一番大きな点は「なんでも冷凍できるわけではない」ということでしょう。
水分の多い野菜は冷凍に不向き
すべての食材が冷凍できるというわけではなく、水分の多い食品は冷凍に向きません。ただ、トマトやきゅうりなどはピューレにすれば冷凍することができます。
食感が変わるものも
離乳食によく使うじゃがいもですが、冷凍すると食感が変わってしまいます。じゃがいもは茹でたあと熱いうちにマッシュにして冷凍するとよいでしょう。
また、豆腐は冷凍できません。豆腐は冷凍すると食感が変わり、スポンジ状になるので、離乳食には不向きなものになってしまいます。ただ、ペースト状に調理したものならば冷凍保存できます。
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冷凍で栄養素が変わる?
冷凍すると栄養素が変わるのではないかとご心配されることがあるかもしれませんね。
まず、野菜は収穫された瞬間からビタミン類などの一部の栄養などは少なくなっていきます。また、茹でたりすることで茹で汁のほうに出てしまうビタミンやミネラルもあります。
このように栄養素は、収穫時のまま食べることは不可能に近いものです。栄養は冷凍することでも減るものはありますが、冷蔵庫に保管していたり、茹でたりすることでも同様に置きます。
あまり細かいことは気にせず、むしろ買ったばかりのものを新鮮なうちに冷凍保存するのも選択の1つとしてとりいれられるといいですね。
冷凍に便利な保存容器・アイテム
製氷皿
おかゆやペースト状のもの、スープ、だし汁などの冷凍には、製氷皿が便利です。多くの製氷皿は1つの区画がだいたい大さじ1(15ml)になっているので、少量ずつ作る離乳食にはちょうどよい量です。低コストで人気。フタつきのものを使って、できたらジッパー袋に入れて保管していくといいでしょう。
冷凍保存袋(フリーザーバッグ)
ペースト状のものをそのままいれたり、製氷皿で凍らせたものをいれておいたり、ラップで包んだものをまとめて保管したりと、とても便利なアイテムです。
フリーザーバッグにペースト状のものを冷凍する場合は、袋を平らに薄くのばして空気をぬいて封をします。その後に使いやすい量に箸などでくぼみをつけるように印をつけて冷凍すると、使用時に、線にそってパキッと折れば、必要な分だけ取り出せます。
電子レンジ対応のフリーザーバッグを選ぶと、いざ使う時に袋のまま加熱できます。
おかずカップ
お弁当によく使われるシリコン製のおかずカップも活用できます。凍ったまま取り出しやすいのが特徴です。そのまま電子レンジで温めてもいいですし、繰り返し使えるので経済的ですね。同じ高さのタッパーに並べ、フタをして冷凍保存するとよいでしょう。
冷凍した離乳食の解凍方法
電子レンジか鍋で加熱
冷凍した食材は、食べさせるときに電子レンジか鍋で加熱解凍します。過度な加熱により、食感や旨みを損なってしまう場合もあるので、水分を少し足して加熱したり、時々かき混ぜたりして、目を離さないように加熱時間を調整しましょう。
電子レンジで解凍する場合のポイント
ラップはふんわりと
電子レンジで解凍する場合は、ラップをぴっちりかけると空気の逃げ道がなくなってしまい、ポン!と破裂することがありますので、ラップをかける時はふんわりとかけましょう。
解凍ムラに注意
加熱後はしっかり混ぜて、加熱のムラを防ぎましょう。電子レンジの機種などにより、解凍時間が異なることがあります。加熱後は全体をよく混ぜ、冷たいところがあったら10~20秒ずつ加熱してふたたびよく混ぜましょう。
自然解凍はNG
前述したように、赤ちゃんは細菌への抵抗力が弱いので、食べるものが雑菌に汚染されないように気を付けたいものです。自然解凍は、常温での保存時間が長くなるため、雑菌は繁殖しやすくなります。解凍する際は電子レンジや鍋を利用し、なるべく早く加熱をして食べさせるようにしましょう。
再冷凍はしないこと
一度解凍したものを、再冷凍するのも避けられるといいでしょう。こちらも雑菌の繁殖につながりますので、解凍する場合は使う量、食べる量のみとしましょう。
まとめ
食材の鮮度がよいうちに下ごしらえをして冷凍保存、使う分だけを取り出して適切に利用できれば、おいしい離乳食が手早く用意できます。冷凍するポイントをしっかりおさえておきたいですね。離乳食の冷凍保存を利用して、ママの負担を軽減できれば、赤ちゃんと接する時間も増えて、離乳食の幅も広げていけるでしょう。
(文:川口由美子 先生)
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