
【専門家監修】じゃがいもを使った離乳食レシピ!男爵がいい?
食材ごとの離乳食レシピと調理のコツを、離乳食に詳しい管理栄養士の川口先生にお聞きするこのコーナー。今回のテーマは「じゃがいも」です。男爵とメークインではどっちが離乳食に最適? レンジ加熱の時間は? など、離乳食にじゃがいもを使う際の疑問にお教えいただきます。レシピはつかみ食べできる「おやき」です!
ほくほくとろり! じゃがいもを使った離乳食

じゃがいもは、柔らかいのでペーストにしやすく、くちどけもいいので、離乳食に最適な食材のひとつ。是非試してみてください。
じゃがいも、離乳食期ごとの目安(初期・中期・後期・完了期)
・離乳初期(5~6ヶ月)
しっかりゆでて、つぶしてからお湯で適度にのばし、とろっとしたペーストに。
・離乳中期(7~8ヶ月)
しっかりゆでたらスプーンで粗つぶしくらいに。
・離乳後期(9~11ヶ月)
つぶしたじゃがいもをまとめておやきのようにして。
・離乳完了期(12~18ヶ月)
薄切りにして、水にさらしたものを焼いてもOK。
いずれの時期も芽をしっかり取って、必ず皮をむき、薄緑色の部分を食べないように気をつけましょう。
皮は厚めにしっかりむく!


じゃがいもの芽や薄緑色の皮には、天然毒素(ソラニン、チャコニン)が含まれ、大人でも食中毒の原因となりえます。これらの毒素はゆでても取り除くことはできません。
離乳食や幼児食などの時期には特に注意して、芽を大きめに取り除く、緑色に変色している部分を取り除く、ということを心がけましょう。ピーラーなどで薄めにむくと、まだ緑の部分が残っている場合がありますので、皮は包丁でしっかり厚めにむけるといいですね。
なお、農林水産省ではじゃがいもの天然毒素摂取を防ぐため、以下の点にも注意するよう呼び掛けています[*1]。
・保存の際、光(日光、蛍光灯)に当てない
・小さい未熟なものは食べない
・苦みやえぐみのあるものは食べない
じゃがいもの種類は何がいい?
じゃがいもにはたくさんの種類があり、よくみかけるものには「男爵」と「メークイン」があります。
どちらの方が離乳食にむいているかというと「男爵」になります。キタアカリなどもこれに似ているので離乳食むきです。
男爵やキタアカリは、メークインよりもやわらかいので煮くずれしやすいのですが、これが離乳食には適度なとろみとなるので、
・つぶしやすい
・舌触りのパサつくものなどと一緒に煮物にすると食べやすくなる
といったメリットがあります。
対してメークインは、しっかりしているので崩れにくいのが特徴です。例えば、カレーやシチューなど煮るレシピで「じゃがいもの形を残したい」というときなどにはオススメです。離乳後期以降の煮込み料理などで、その食感を楽しめるといいですよね。
やらかくゆでてつぶすのは電子レンジでもOK
やらかくゆでるのは、もちろん皮ごと鍋でもOKですが、簡単なのは電子レンジ加熱です。その際は、1個あたり600Wで3分半~4分程度を目安として加熱するといいでしょう。
皮に付いた泥はラップで包む前に洗って、できる限り落としておきます。少し濡れたままでラップをした方が適度に水分がまわり、おいしくしあがりますよ。

加熱し終わったら手で皮をむくことができますが、このときにも、緑色の部分や芽の部分があればしっかり取り除きましょう。

つぶすときは離乳食のすり鉢を使ってもいいですが、ビニール袋などに入れて手でつぶしたり、ボウルでつぶしてもいいでしょう。
川口先生おすすめレシピ!チーズが香る じゃがおやき(9-11ヶ月~)

チーズの中でも脂肪分・塩分が少なく、高たんぱくなカッテージチーズを使って、手づかみしやすいじゃがいもおやきを作ってみましょう。
材料
・じゃがいも 約1/6個
・カッテージチーズ 大さじ1
作り方
① じゃがいもはやわらかくなるまでゆで、すりばち等でつぶします。
⓶ カッテージチーズと混ぜ合わせ、こねるようにまとめ、丸型などに成形します。
③ フライパンにうすく油を敷き、軽く焼き色がつく程度に両面焼きます。

じゃがいもは事前に火をとおしているので、さっとあぶるだけでOKです。また、ラップに1つずつ包んで冷凍すると便利ですよ。
じゃがいものとろみを上手に利用して
離乳食で大切なのは「とろみ」です。特に離乳初期・中期では、とろみをつけることで食べやすくなります。
水溶き片栗粉でとろみをつけることが多いかと思いますが、片栗粉の多くは「じゃがいものでんぷん」が原料です。片栗粉代わりにじゃがいもを入れて煮るだけでも、煮崩れて程よいとろみがつくこともあります。
「離乳食、食べないな」など思ったときには、是非じゃがいもを上手に使ってくださいね。
まとめ
ホクホクおいしいじゃがいもは、離乳初期から使用できます。ゆでる、焼く、煮るなど、オールマイティな野菜ですが、芽や皮には毒素があるので、しっかり取り除くことが大切です。今回ご紹介したおやきのように、手づかみで食べるレシピもおすすめですが、じゃがいもの特製を生かして「とろみ付け」の役目を担ってもらうのもいいです。離乳食のワザのひとつとして覚えておいてくださいね。
(文・写真:川口由美子先生)
※クレジットありイメージ写真:getty