原因不明の出血が4ヶ月続いた4歳女の子。きっかけはお風呂で遊んでいたおもちゃだった/親が知りたい子供の危険
身近なものが子どもの安全を脅かすことがあります。しかし、前もって知っておくだけで防げる事故もあります。今回は「カプセル入りのスポンジおもちゃ」で起こった事故事例をお伝えします。100円ショップなどでも見かける身近なおもちゃですが、小さな子どもでは遊び方によって思わぬ事故につながることが……。
100円ショップで売られているおもちゃが原因の事故
Aちゃん(4歳・女の子)は入浴中に「カプセル入りのスポンジおもちゃ」で遊んでいました。これは、お湯に入れるとカプセルが溶け、中から小さなスポンジ状のおもちゃが出てくるものでした。
4歳女の子が陰部から出血、病院に行くも「原因不明」
Aちゃんが毎日のように入浴中にスポンジおもちゃで遊び始めてから2ヶ月が経った頃、異変が……。
Aちゃんの保護者は、Aちゃんの下着に少量の血のようなものが付着していることに気づきました。医療機関を受診しましたが出血の原因はわかりませんでした。
Aちゃんは出血のほか、外陰部からの分泌物による皮膚のただれ、陰部からの強い臭い、血尿のような症状に悩まされます。その後も原因の特定のためにいくつかの医療機関を受診しましたが、やはり原因不明のままでした。
症状が現れてから4ヶ月後、MRIに写ったものは
その後、産婦人科での診察やMRI検査により、レントゲンでは分かりにくかった膣内のスポンジおもちゃが見つかりました。Aちゃんに出血の症状が現れてから原因が特定されるまで実に4ヶ月が経っていました。
Aちゃんは原因の特定からさらに1ヶ月後、全身麻酔による手術を受け、スポンジおもちゃは摘出されたということです。
膣内からおもちゃが見つかるまで、時間がかかった理由は?
今回、原因となったスポンジおもちゃはレントゲンには写りにくいのが特徴です。Aちゃんの保護者も、Aちゃんの体内におもちゃが入った瞬間を見ていなかったこと、Aちゃんが4歳と幼く診察が難しかったことも原因の特定に時間がかかった理由と考えられています。
幼児の膣に異物が入るとどんな危険が?
幼児の膣はとても狭く、普段の生活で異物が入ってしまうことは多くはありません。何らかの理由で異物が入ってしまった場合、自然に出てくるとは限らず、診察や処置が必要になることがあります。もし膣内に何か入ったと疑われるときは、様子を見すぎず、受診することが大切です。
長い期間膣内に異物が入っていると不正出血、陰部のただれ、臭いの強いおりもの、腹痛、血尿などの症状が出ます。[*1] [*2] 膀胱と膣のあいだに穴が開いてしまう「膀胱腟漏(ぼうこうちつろう)」など、重い病気になってしまうリスクもあります。[*1]
スポンジおもちゃによる事故を防ぐには?
今回の事故の原因となったカプセル入りのスポンジおもちゃは、Aちゃんのケースのように膣のほか、鼻や耳などに入れると詰まって取り出せなくなるリスクがあります。また、口の中に入れて喉に詰まってしまうと、窒息の危険もあります。
スポンジ入りのおもちゃは小さく、水を含むと膨らむので、年齢や遊び方によっては事故につながることがあります。おもちゃのパッケージに記載されている対象年齢を守り、遊ばせる場合には以下の点に十分注意しましょう。
大人の目の届くところで遊ばせる
もし、スポンジおもちゃで遊ばせる場合には、必ず大人の目の届くところで遊ばせるようにしましょう。必ず数を確認して子どもに渡し、遊んだ後は必ずすべてそろっているか確認してください。もし捨てる場合には、ゴミ箱などから子どもが取り出して遊ぶことがないよう捨て方にも気をつけましょう。保管時は、棚の上段など子どもの手の届かない場所に保管しましょう。
口や鼻、耳などに入れないよう言って聞かせる
スポンジおもちゃは、口、鼻、耳などに入れないようよく言って聞かせましょう。
今回紹介したスポンジおもちゃは、カプセルに入っているときは横22~24mm程度/縦7~8mm程度と、一般的なカプセル剤と近い大きさで、小さな子どもの口、鼻、耳といった体の開口部に入りやすいサイズです。耳の穴や鼻の穴に入れてしまうと取れなくなってしまうおそれがあります。また、中のスポンジは膨らむと4~5倍の大きさになり、口の中に入れると窒息する可能性があり危険です。
もし体内におもちゃが入ったら医療機関を受診する
どれだけ注意していても、子どもがスポンジおもちゃを体の中に入れてしまうリスクはゼロにはなりません。体の中に入った、あるいは入った可能性がある場合は、無理に取り出そうとせず医療機関を受診しましょう。むせる、咳き込む、息苦しそうなどの症状があれば、すぐに救急受診が必要です。
カプセル入りスポンジおもちゃは、一見無害に見えても、小さな子どもの体に入ると重大な健康被害につながるおそれがあります。今回の事例では、原因不明の症状が長期間続き、診断や治療までに多くの時間を要しました。異物によってはレントゲンに写らないこともあり、気づくのが遅れるケースもあります。
小さな部品や水で膨らむおもちゃは、遊び方しだいで危険性が高まります。保護者がリスクをしっかりと理解し、遊ぶときは必ず見守ること、異変を感じたら早めに医療機関を受診することが大切ですね。
(文・構成:マイナビ子育て編集部/監修:菅原 大輔先生)
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[*1] 国民生活センター「カプセル入りスポンジ玩具が幼児の体内に入る事故が発生! -原因不明の不調が約4か月続き、その後、全身麻酔で摘出-」
[*2] 三宅優一郎,高見澤 滋,好沢 克,畑田智子,服部健吾.診断に難渋した小児膣内異物の1例.日本小児外科学会雑誌.2018;54(6):1236-1239.
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