運動不足を遊びで解決! 学校でも家でもない、子どもの第三の居場所「進化した児童館」がスゴイ
放課後、お子さんはどのように過ごしていますか? 家でゲームやスマホばかり……と子どもの運動不足に悩むパパママも多いのでは。そんな中、遊びながら運動ができるプログラム、「JUMP-JAM(ジャンジャン)」を取り入れる児童館が全国で急増中!プログラムの熱気と、子どもに寄り添う“第三の居場所”の現場の様子をレポートします。
現代の子どもたちを取り巻く「運動不足」のリアル
我が子の放課後の過ごし方について、気になっているという親御さんが急増しています。「気がつけば家でゲームばかりしている」「近所に思い切り体を動かして遊べる場所がない」と、子どもの運動不足やコミュニケーション不足に悩む方に朗報! 今、地域の児童館が大きな進化を遂げているのです。
今回は、ナイキと一般財団法人 児童健全育成推進財団が開発した運動遊びプログラム「JUMP-JAM(ジャンジャン)」を取り入れている児童館を訪れ、職員さんにインタビュー。子どもたちの熱気あふれる様子や、最新の児童館情報についてお届けします。
毎月開催される「JUMP-JAMスペシャル」が大人気の西立川児童会館
お話を伺ったのは、東京都立川市にある西立川児童会館の東(ひがし)梢さん。東さんは地元のご出身で、ご自身も子どもの頃この児童会館に通っていたのだとか。
毎日子どもたちと接している東さんは、「転びやすい」「怪我をしやすい」といった、現代っ子ならではの体の使い方のぎこちなさを感じていたそう。何もないところで転んで骨にひびが入ってしまうなど、昔では考えられなかったケガも増えているといいます。
そんな折、東さんは「JUMP-JAM」のプログラム講習会にて子どもの運動習慣に関するデータを知り、衝撃を受けたといいます。
「1日に推奨される運動時間(60分)を満たしている子どもはどのくらいいるか」という調査の回答は、「男の子は50%、女の子は30%」※という驚きの結果に。
体育の授業や登下校を含めても、半分以上の子どもが運動不足に陥っているという現実に、「児童館は子どもが長い時間を過ごす場所なのだから、これはなんとかしなければ」と強い使命感を抱いたそう。
※参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
「楽しい」が運動になる! 話題のプログラム「JUMP-JAM」とは?
現代っ子たちの運動不足を“遊び”の力で解決しようと導入されたのが、「JUMP-JAM」です。この運動プログラムの特徴は、単に身体を動かすだけではなく、鬼ごっこなどの要素を取り入れた「誰もが楽しめるゲーム」であること。
2026年現在、東京都内を中心に北海道から沖縄まで全国265館の児童館に登録されており、今後も拡大予定です。
西立川児童会館は、2017年にスタートしたJUMP-JAMの第2期(2018年)から参加。運動ホールの入口には「JUMP-JAMボード」が掲示され、子どもたちはそこから、やりたいゲームを自分たちで選びます。
「西立川児童会館では、ドッジボールやバドミントンなどに加えて、普段の遊びの一つとして日常的にJUMP-JAMに取り組んでいます。
さらに月に1回『JUMP-JAMスペシャル』という日を設けており、この日は時間をたっぷり取って遊べるので、子どもたちも予定を調整して集まってくるほど大人気なんですよ」(東さん)
運動が好きな子はより活発に、最初は「やらない」と端っこで見ていた本好きの子も、楽しそうな雰囲気に惹かれて「これならできそう」と徐々に参加するようになっていくそうです。
学校では大人しい子が、児童館では大活躍できる魔法
JUMP-JAMが育むのは、体力だけではありません。子どもたちの「自己肯定感」や「リーダーシップ」を引き出す魔法の仕掛けがあります。それが「キッズリーダー」制度です。
キッズリーダーとは、当日行うゲームの選定や開始のアナウンス、ルールの説明、スタッフのサポートなどを行う役目。JUMP-JAMをみんなでより楽しめるよう、大人と一緒にプログラムを実施していきます。
さらに東さんをはじめとする職員さんたちは、学校で学級委員をやるような目立つ子だけでなく、あえて部屋の端っこにいるような大人しい子に「今日、キッズリーダーやってみない?」と声をかけるそう。
「ある日、キッズリーダーとしてみんなを立派にまとめていた男の子のお母さんにその話をしたら、『えっ! うちの子、学校では目立つことを嫌がるタイプなんですよ!』と驚かれていました(笑)。
学校という枠の中では発揮しきれない本来の自分を、児童館という自由な場所だからこそ出せるのだと思います」(東さん)
また、JUMP-JAMはゲームなので勝敗がつきますが、勝ち負けよりも「こういう作戦を考えたのがすごい」「負けても意見を出せたね」とプロセスをみんなの前で褒めることを徹底している職員さんたち。絶対に否定されないという安心感が、子どもたちの隠れた才能を開花させています。
「遊びの中で子どもにお手伝いや片付けを頼み、それができたら『すごいね!』と思い切り褒めるようにしています。すると、最初は見向きもしなかった子どもたちが、次からは自ら進んで道具を片付けてくれるようになるのです」(東さん)
中高生になっても「帰ってこれる」。子どもが安心できる居場所づくり
西立川児童会館のもう一つの大きな特徴は、“民設民営”であること。公立の施設と違い、職員の異動がありません。そのため、「いつ行ってもあの先生がいる」という絶対的な安心感が子どもたちを包んでいるのかもしれません。
「小学校を卒業した子が中学の制服姿を見せに来てくれたり、時には思春期の高校生がふらっと遊びに来て、下の子たちの面倒を見てくれたりします。わざわざ一度家に帰って着替えてから、遠くの中学校から遊びに来てくれる子も多いんです」(東さん)
学年も性別も違う子どもたちがごちゃ混ぜになって遊ぶ空間では、高学年の子が自然と下の子にルールを教えるといった「縦のつながり」が生まれています。参加する子の多くは小学生ですが、それ以外の世代も中高生世代の子が一緒に遊んでくれることも。
学校とは違う自分になれる場所だからこそ、子ども一人ひとりに向き合いたい、と東さんは考えているそう。
「子どもたちと接する時は、できるだけ『寄り添う』ことを大事にしています。事務的にならずに話を聞くことで、その子の背景が見えてくる。そうやって接していると、低学年のうちは少しナイーブで難しかった子が、6年生になる頃には見違えるように成長することもあるんです」(東さん)
女の子にもスポーツの楽しさを! 今後もプログラムの拡充を予定
西立川児童会館では、特に運動不足が顕著な「女の子」にもスポーツの楽しさを知ってもらおうと、今後もさまざまな取り組みを検討しています。
もちろん、男の子が新体操のリボンを回して遊ぶのも大歓迎! 珍しいスポーツの入り口を広く用意することで、「体を動かすって楽しい!」という純粋な喜びを子どもたちに提供しています。
もしお子さんが放課後の過ごし方に退屈していたり、運動不足が気になったりしたら、ぜひ一度近所の児童館を立ち寄ってみてください。そこには、パパやママもまだ知らない、“生き生きと輝く我が子”の居場所があるかもしれません。
▼運動遊びプログラム「JUMP-JAM(ジャンジャン)」
https://jump-jam.jp
(取材・文:マイナビ子育て編集部)
