生後4ヶ月の赤ちゃんが顔面蒼白、おむつには犬にかまれた跡が。注意したい子どもと犬の事故【親が知りたい子供の危険⑧】
身近なものが子どもの安全を脅かすことがあります。しかし、前もって知っておくだけで防げる事故もあります。今回は「犬」が原因で起きた事故事例をお伝えします。普段自宅で犬と暮らしている家庭も、帰省などで犬を飼っている実家や知人宅にお邪魔する場合も、ぜひ知っておいてくださいね。
目を離したわずか15分の間に……「愛犬」が原因の事故
ある日のお昼、Aちゃん(0歳4ヶ月・男児)は双子の弟と一緒に、母親の実家のリビングに敷いた布団でお昼寝をしていました。二人が眠っていることを確認した母親は、一度リビングを離れます。そんなときに事故が起きたのです。
顔面蒼白のAちゃんを祖母が発見、おむつには犬にかまれた跡が
15分後、祖母がリビングで寝ている二人の様子を見に行くと、異変が……。
Aちゃんの顔が真っ青だったのです。
何事かと思いよく確認したところ、Aちゃんのおむつには犬にかまれた跡があり、睾丸や亀頭部から出血していました。Aちゃんはすぐに救急搬送されました。
Aちゃんをかんだのは室内で飼っていた小型犬だった
Aちゃんをかんだのは、祖母宅で飼われていたミニチュアダックスフンド(2歳・メス)。
犬など動物にかまれる事故ではその動物が嫌がることを子どもがしてしまいかまれることが多いですが、今回の事故ではAちゃんはまだ4ヶ月と幼く、Aちゃんの行動が原因でかまれたとは考えづらい状況でした。
犬はAちゃんのおむつの尿のにおいに反応し、かんでしまったと考えられています。
約9割が室内犬。温厚な犬種による死亡事故も
今回、Aちゃんをかんだ犬は室内で飼われていました。国内の室内犬の割合は高く、令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査によるとその割合は91.4%と、犬を飼う家庭のほとんどが室内で飼育していることが明らかになっています。[*3]
小型犬だから、温厚な犬種だから大丈夫ではない
Aちゃんをかんだのは小型犬のミニチュアダックスフンドでした。また、過去には0歳10ヶ月の女児が祖父母宅の室内で放し飼いにされていたゴールデンレトリバーにかまれ、死亡する痛ましい事故も起きています。[*4]
「小型犬だから大丈夫」「温厚な犬種だから大丈夫」というわけではないのです。
短時間でも子どもと犬が接触できる環境での放置は避ける
まず、短時間であっても子どもと犬が簡単に触れ合える環境での放置は避けることが大切です。Aちゃんの事例のようにリビングの床に布団を敷いた状況だと、犬は簡単に子どもと接触できてしまいます。子どもと犬だけの状況にならないようにしましょう。
もし子どものそばを離れる場合は、赤ちゃんの場合はベビーベッドに寝かせる、犬をケージに入れるなどして、犬が赤ちゃんのいる場所へ容易に入れないようにしましょう。
食事中や寝ている犬にむやみに触らない
犬にかまれないためには、犬の嫌がることをしないようにしましょう。食事をしているとき、寝ているとき、遊んでいるときにむやみに触ったり邪魔したりすると、かまれるリスクがあります。
普段から犬を飼っている家庭なら子どもも犬もお互いに慣れているかもしれません。しかし、年末年始や夏休み時期の実家への帰省、知人宅への訪問など、子どもも犬も慣れない状況で過ごす場面も出てきます。その場合は思わぬ事故につながることのないよう、気を付けたいですね。
(文・構成:マイナビ子育て編集部/監修:五藤 良将 先生)
この記事は、日本小児科学会の「Injury Alert(傷害速報)」を元に作成しています。
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[*1] 日本小児科学会 Injury Alert(傷害速報)「No.002 犬による外陰部外傷」
[*2] 日本小児科学会 Injury Alert(傷害速報)「犬による外陰部外傷(No.02犬による外陰部外傷の類似事例1)」
[*3] 一般社団法人ペットフード協会「令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査」
[*4] 産経新聞「生後10カ月の女児、ゴールデンレトリバーに噛まれ死亡 東京・八王子」
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