コップ飲みはいつから練習する? 開始のサインや方法を解説【管理栄養士監修】
離乳食が進んできたら、自分でコップでお茶を飲めるようになるのはいつかな? 練習をいつから始めたらいいのかな?と気になりますね。コップで飲めるようになるのは、経験を積み重ねた結果です。コップ飲みを始めるタイミングや練習方法について詳しく解説します。
赤ちゃんのコップ飲みはいつから?
赤ちゃんのコップ飲みをいつからトライし始めればいいのか、迷うママやパパは多いでしょう。コップで飲めるようになるには、口の機能が発達することが必要ですが、離乳食を食べたり、おもちゃをなめてみたりするなどの口を使う機会を通じて、徐々に機能が発達してきます。焦らずにその子に合わせてスタートさせましょう。
コップ飲みを始める時期の目安
水分摂取の機能は食べ物(固形物)よりも遅れて発達します。離乳初期の段階では、唇と顎を個別に動かすことができず唇で水分をすすれないため、横からこぼれてしまいます。
コップ飲みを始める目安としては、だいたい離乳後期(生後9ヶ月ごろ)です。このころになると、舌を左右に動かしたり、歯ぐきを使って食べ物をかみつぶせるようになりますが[*1]、コップ飲みは、唇・舌・顎をコントロールできるようになっていると、うまくできるケースが多いです[*2]。
ただし、月齢はあくまでも1つの目安にすぎません。コップ飲みができるかな?という口の機能の発達のサインを見て判断できるといいでしょう。
コップ飲み開始のサイン
コップ飲みにチャレンジできそうかどうかは、離乳食を食べているときにわかります。口角が左右によじれるような動きがあり、口の中で歯ぐきを使ったり、食べ物を左右に移動させたりする様子があれば、コップ飲み開始のサインといえます[*2]。
最初のうちは上手に飲めなくても大丈夫です。また、赤ちゃんのお口の発達度合には個人差があるものです。うまくできないから嫌がってしまう、ということもあります。そのときは無理をして飲ませないことが大切です。
コップ飲みの練習方法
練習しよう!と意気込んでしまうと、赤ちゃんへのプレッシャーも大きくなってしまうかもしれません。まずは、赤ちゃんがコップに興味があるか、水分を欲しがっているかをしっかり観察してから始めましょう。
まずはスプーンで練習
コップ飲みを始めるサインが確認できても、すぐにコップでうまく飲めるわけではありません。まずはスプーンで水分を口に取り込む練習をしてあげるのがよいでしょう。スプーンに水分をのせて、離乳食のように赤ちゃんのお口にスプーンを運び、赤ちゃんが唇を閉じてスプーンをとらえるようにします。こぼしながらになりますが、唇を閉じる練習になります。
コップを使った練習方法
スプーンで水分をすするのに慣れてきたら、コップを使った練習を始めていきましょう。
練習方法
① コップに多めの水分を入れる
② 大人がコップを持ち、赤ちゃんの口元に近づける
③ 飲み切る必要はなく、少しだけすすれればOK
最初は少しだけすすれるように、唇に近づけるところから始めればOKです。コップを傾けてしまうと鼻がふさがって嫌がってしまうかもしれないので、あまり傾けなくても飲めるように量は多めにするとよいですよ。
ステップアップの目安
最初はゴクゴクという飲み方ではなく、ピチャピチャと唇に水分が触れている程度です。飲めている量は少なく感じるかもしれませんが、繰り返していくと、息を吸うタイミングが合うことで「すする」ことができるようになります。
横からこぼれてしまったり、すすった水分が口から出てしまったりすることもありますが、練習途中なので問題はありません。まだうまくすすれないな、と思ったら、スプーンでの練習も並行して繰り返していくのがおすすめです。
大人がコップを持ってあげている状態で上手に飲めるようになったら、自分でコップを持って飲むステップに進みましょう。目安は特にありませんが、離乳食で手づかみ食べができるころになると、コップにも興味がでるきっかけになるかもしれません。
どのくらいでマスターする?
コップ飲みが完全にできるようになるまでにどのくらいの期間がかかるのか、気がかりかもしれませんね。しかし、そのような目安は特にありません。コップ飲みには手や口の発達だけではなく、周囲の環境などさまざまなものが関係するため、それぞれのお子さんによって変わってきます。すぐにできるものではないと考えておくといいでしょう。
コップ飲みのコツ
赤ちゃんの発育はそれぞれなので、「頑張りすぎない」ことが第一のポイントです。そのほか、次のようなコツがあるでしょう。
コップ飲みのコツ
●大人が焦らない
●赤ちゃんの興味を観察する
●たくさん飲むことを求めない
●スプーンですすることに慣れる
●コップは1つにこだわらず赤ちゃんに合ったものを試してみる
ついつい焦ってしまいますが、母乳やミルクを飲んでいれば、そこまで焦らなくてもいいですよ。
コップ飲みの練習時の注意点
コップ飲みの練習をするときは、次のような点に注意しましょう。
コップ飲みとストロー飲みは別
コップでうまく飲めない間、ストローを使って水分補給をすることもできますが、ストローで飲む動きとコップで飲む動きは異なります。ストローで飲む練習がコップ飲みにつながるとは言えません。あくまで別のものと考えましょう[*3]。
なお、ストローを大人と同じように唇を使って吸えるようになるのも、口の機能が発達してきてからです。口の機能が発達してスプーンやコップで水分が飲めるようになる前でも、ストロー飲みができる場合がありますが、このとき赤ちゃんは唇ではなく、おっぱいや哺乳瓶から母乳やミルクを飲むときのように、舌を使って水分を吸っています。
反対に、コップ飲みの練習をしているときに、ストロー飲みができなくても自然なことなので問題ありませんよ。
コップの練習か、ストローの練習か、どちらを先にすればいいのか?という疑問を持つ方も多いかもしれません。
コップから始めてもいいでしょう。ストローは唇をすぼめる力が必要になるので、コップが使えると自然とストローもとなることが多いです。
練習中の水分補給は?
赤ちゃんの水分補給は母乳またはミルクが基本です。水や麦茶などエネルギーがないもので胃の中を埋めてしまって、母乳やミルクが飲めなくなったり量が減ったりしては、必要なエネルギーが不足してしまいます[*1]。白湯(湯冷まし)やお茶での水分補給は練習程度と考えてください。まだ母乳やミルクを飲んでいて、コップ飲みがうまくできないときは、スプーンなどで少しずつこまめにあげるとよいでしょう。
赤ちゃんの水分補給の考え方
水分補給というと、ごくごく飲むことだけをイメージしがちですが、コップのふちに口をつけてちょっと水分をすするくらいでも水分補給になります。「口を潤す」くらいに考えてみてください。また、離乳食を食べることでもけっこうな水分を摂取します。水分補給が十分かどうかは、尿量が出ているか、元気でいるかなどを目安に考えましょう。
赤ちゃんの練習用コップの選び方
ここからは、コップ飲みの練習をする赤ちゃんに適したコップの選び方について、みていきましょう。
大きさ|小さいもの
コップは赤ちゃんのお口のサイズに合わせた小さいものがおすすめです。コップにこだわらなくても、おちょこや小さい器のようなものでもいいですよ。直径が小さいものを選びましょう。
また、材質によっても使いやすさが違ってきます。口当たりのやさしい素材のほうが飲みやすいこともあります。触覚には赤ちゃんによって個人差があるので、実際におうちにあるものでいろいろ試してみましょう。
深さ|飲むときに顎が上がらない
ペットボトルであったり、赤ちゃんの水分補給用の製品の中には、しっかり傾けないと飲めないようなものもあります。顎が上がると口が閉じられず、すするのが難しくなって流し込むように飲んでしまい、むせてしまうかもしれません[*3]。蓋つきの容器は外出時などに便利ですが、利用頻度には気を付け、日常ではすすって飲めるようなコップを選ぶようにしましょう。
デザイン|ステップに合わせて
使用するコップも徐々にステップアップさせるとよいでしょう。まず、小さいサイズのコップで水分をすすって飲むことに慣れて、赤ちゃんが自分でコップを持って飲むステップに進んだら、コップも変えてあげましょう。赤ちゃんの両手で持ちやすいサイズ、両手の持ち手がついているマグカップなどを選んでみてください。
自分でコップを持って飲むこともできるようになったら、赤ちゃんが好きな絵柄のコップにしてみるのもよいですよ。赤ちゃんが自分で楽しく水分補給ができるきっかけにもなるかもしれませんね。
まとめ
赤ちゃんにとって水やお茶での水分補給はまだまだトレーニングの段階です。たくさん飲めるようになるのは口の機能がしっかり発達してから。離乳食でのスプーンの使い方や食べ物の硬さの調整はもちろん、日常の遊びでのお口の使い方など、いろいろなものがつながって、「コップで飲める」ようになっていきます。また、水分摂取のために唇ですすることができるようにないると、ごはんをしっかり噛んで食べることにも反映していくかもしれませんね。子どもの様子を見守りながら、慌てずに取り組んでいきましょう。
(文:木下麗子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)
[*2]広島県歯科衛生連絡協議会:食べ方が気になる乳幼児を支援するための手引き
[*3]日本歯科医学会:小児の口腔機能発達評価マニュアル
編集部ピックアップ!赤ちゃんにおすすめのコップ
最後に、編集部が選んだ赤ちゃん用コップの商品をご紹介します。基本的には普通のコップで大丈夫ですが、小ぶりのものや取っ手付きのもの、赤ちゃんの興味をひくかわいいキャラクターが描かれているものを選んでみてはいかがでしょうか。参考にしてみてくださいね。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます