
1日のカフェインの量の目安は?飲み物の含有量をまとめてご紹介【管理栄養士監修】
コーヒーやお茶など、身近な飲み物に含まれるカフェイン。眠気を覚ます作用などで知られますが、摂り過ぎも良くないと言われますよね。とはいえ、コーヒーやお茶をまったく飲まないのも難しいもの。カフェインの問題は過剰摂取なので、どのくらいの量にすればよいのかをしっかり押さえて、カフェインを含む食品を上手に取り入れていきましょう。
カフェインは何にどのくらい含まれる?

カフェインは主に飲み物に多く含まれています。何にどのくらい含まれているのか、比較してみましょう。
カフェインとはどんな成分?
カフェインはコーヒー豆や茶葉、カカオ豆などに含まれる天然の成分です[*1]。普段の食生活では、主にコーヒーやお茶からカフェインを摂取していることが多いのではないでしょうか。
カフェインにはマイナスのイメージが強いですが、適切に摂取すればプラスの効果があるともいわれます。たとえば、眠気覚ましなどの覚醒作用、運動時のパフォーマンス向上などです[*1,2]。食後に飲んで気持ちを切り替えたり、作業の合間にホッと一息つきながらコーヒーやお茶を楽しむのは、これらの効果を活用していることになるといえますね。
カフェインのデメリットについては、このあと詳しく見ていきましょう。
カフェインが多い飲み物は?

カフェインを含む主な飲み物の含有量を比較してみましょう。100mⅼあたり、コーヒーは60mg 、紅茶は30mg、煎茶、ほうじ茶、烏龍茶は20mg含まれています[*3]。意外にもコーヒーよりカフェインが多いのが玉露です(※)。
<コーヒー・お茶のカフェイン量>[*3]
飲料名 | 含有量 |
---|---|
コーヒー | 60mg/100ml |
インスタントコーヒー | 80mg *顆粒2g(スプーン1~2杯)あたり |
紅茶 | 30mg/100ml |
煎茶 | 20mg/100ml |
ほうじ茶 | 20mg/100ml |
烏龍茶 | 20mg/100ml |
玉露 | 160mg/100ml |
※玉露…新芽に一定期間覆いをかけ、日光を当てずに栽培した茶葉から作られたもので、旨味や甘みが強い日本茶。
コーヒー:コーヒー粉末10gを熱湯150mlで浸出
紅茶:茶葉5gを熱湯360mlで1.5~4分浸出
煎茶:茶葉10gを90℃のお湯430mlで1分浸出
ほうじ茶:茶葉15gを90℃のお湯650mlで0.5分浸出
烏龍茶:茶葉15gを90℃のお湯650mlで0.5分浸出
玉露:茶葉10gを60℃のお湯60mlで2.5分浸出
コーヒーやお茶以外だと、ココアやコーラ飲料にはコーヒーの1/6程度のカフェインが含まれます。また、カフェインを添加したエナジードリンクは100mlあたり32~300mgと、含有量が多い傾向があるので注意したいですね。
<その他の飲み物のカフェイン量>[*1,3]
飲料名 | 含有量 |
---|---|
ココア | 10mg/ピュアココア5g |
コーラ飲料 | 約10~13mg/100ml (製品により異なる) |
エナジードリンク | 32~300mg/100ml (製品により異なる) |
このほか、眠気覚まし剤や一部の風邪薬、鎮痛剤などにも添加されています。
カフェインを含む食品

食べ物では、カカオ豆を原料とするチョコレートはカフェインを含みます。商品によって差がありますが、ミルクチョコレートは25g(板チョコで約1/2枚)あたり7mg[*4]、カカオ70%のチョコレートは25gあたり21mg[*4]程度を1つの目安とするとよいでしょう。
カフェインの上限量はどのくらい?
コーヒーや紅茶など日常的に摂取する飲み物や、チョコレートにも含まれているカフェインですが、摂取量の上限はあるのでしょうか? 過剰摂取した場合に生じるリスクについても解説します。
カフェインの摂取量の目安

カフェインは感受性や耐性の差に個人差が大きいことから、上限量(許容量)は設定されていませんが、目安となるものが海外で示されています。アメリカ食品医薬品局(FDA)では、健康な成人の場合、1日当たりに400mgのカフェイン摂取量であれば、健康への悪影響はないとしています[*2]。これをおもな飲み物に換算してみましょう。
<おもな飲み物のカフェイン400mgの目安>
■コーヒー……150mlのカップで約4.5杯
(200mlのマグカップなら3杯強)
■緑茶・烏龍茶……2リットル
■紅茶……1.3リットル
コーヒーは、使用するカップの大きさにもよりますが、毎食後に1杯飲む程度が適量といえるのではないでしょうか。緑茶、烏龍茶、紅茶は2リットル、ないしは1.3リットルと多いですが、夏場などは水分補給でこのくらい飲んでいることもあるかもしれません。カフェインを含む飲み物は食後や気分転換をしたいときに飲むようにし、夏場の水分補給にはカフェインを含まない麦茶などを選ぶのがおすすめです。
カフェインの過剰摂取のリスク
カフェインを過剰摂取した場合、中枢神経系の刺激による心拍増加やめまい、不眠、下痢や吐き気などの症状が出ることがあります[*2]。実際、カフェインを含有したエナジードリンクやサプリメントなどを多量に摂取した結果、カフェインの過剰摂取による健康被害を生じたケースが、国内外で複数、報告されています[*5]。適量であれば気分転換や眠気覚ましなどに有効なカフェインですが、摂取量が増えてしまうのは禁物です。
おもな飲み物のカフェインについて詳しくはこちら
妊娠中・授乳中は特に気を付けて

妊娠中はカフェインの影響をより受けやすくなるため、より摂取量に注意しましょう。妊婦さんがカフェインを毎日300mg以上摂取すると、出生時の低体重や死産・流産のリスクが高まる可能性があるとされています[*2]。また、授乳中の場合も、母乳を通じて赤ちゃんがカフェインの影響を受ける心配があるため、同様に摂取量を控えるのが望ましいでしょう。
妊娠中・授乳中は、1日のカフェイン量を200~300mgまでと考えてください[*2]。
ただし、300mgを超えたら直ちに胎児や乳児に影響がでるということではないので、過剰に心配しないことも大切です。摂り過ぎたと思ったら、次から減らすようにしていきましょう。
カフェイン量を調整するためのアドバイス
妊娠前にコーヒーや紅茶を日常的に飲んでいた場合、急に飲むのをやめるとストレスになりますよね。絶対に飲んではいけないというわけではないので、1日に飲む回数・量を減らしたり、デカフェやカフェインレスを取り入れるのが良いでしょう。
また、コーヒーの量を減らして牛乳や豆乳を足すと、カフェインが減るだけでなくカルシウムやたんぱく質が摂れるのでおすすめですよ。
注意していてもうっかりしやすいのが、コーヒーや紅茶などと高カカオチョコレートを一緒に毎日摂取すること。チョコレートにもカフェインが少量含まれるので、組み合わせに注意することも大切です。なお、エナジードリンクや眠気覚まし剤は、カフェイン含有量が多いので避けた方がよいでしょう。
妊娠中や授乳のカフェインについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
▶【医師監修】妊婦のカフェイン過剰摂取の影響とリスクとは?
▶授乳中のカフェインはどれぐらいまでOK?コーヒー、緑茶の量は?摂取基準と注意点【助産師解説】
まとめ
カフェインはコーヒーやお茶などに主に含まれる成分です。少量ですがチョコレートやココアにも含まれます。カフェインを添加したエナジードリンクや眠気覚まし剤などもあり、これらは特に含有量が多いので気を付けましょう。カフェインを過剰摂取することで健康被害が生じる危険があります。たとえば、日常的によく飲むコーヒーやお茶は、食後の一杯や休憩したいときの一杯として楽しめるといいですね。
(文:村上あゆみ 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]内閣府食品安全委員会:ファクトシート「食品中のカフェイン」
[*2]農林水産省:カフェインの過剰摂取について
[*3]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*4]日本チョコレート・ココア健康協会「チョコレート・ココアには「カフェイン」が含まれていると聞きますが、子供や妊婦が食べても大丈夫ですか?
[*5]国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所: 「健康食品」の安全性・有効性情報
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます