烏龍茶のカフェイン量や1日の目安を解説!コーヒーなどとの比較も紹介【管理栄養士監修】
緑茶やコーヒーにカフェインが含まれているのはご存じかもしれませんが、烏龍茶(ウーロン茶)にも含まれているのか、気になるところではないでしょうか。烏龍茶のカフェイン量や体への影響、カフェインを含むほかの飲み物についてもご紹介します。また、妊娠中の女性や子どもはどうなのかもお伝えします。
烏龍茶にはカフェインが含まれる?
身近な飲み物である烏龍茶ですが、カフェインは含まれているのでしょうか。コーヒーや緑茶などと比べてみましょう。
烏龍茶とは?
烏龍茶は緑茶や紅茶と同じくチャノキの葉から作られています。これらのお茶の違いは茶葉の発酵を止めるタイミングです。緑茶は茶葉を発酵をさせない「不発酵茶」、紅茶は十分に発酵させる「発酵茶」ですが、烏龍茶はその中間にあたり、発酵の途中で止めて作られる「半発酵茶」です。
烏龍茶の中でも発酵度合いが緑茶に近いものから紅茶に近いものまで種類があり、焙煎の仕方もさまざまあるため、味や香りが幅広い飲み物のようです[*1]。
烏龍茶のカフェイン量
烏龍茶には100ml(浸出液)あたり20mgのカフェインが含まれています[*2]。これは茶葉15gを90℃のお湯650mgで30秒浸したものの数値ですが、これよりも茶葉が多かったり、浸す時間が長い場合はカフェインの量も多くなることが考えられます。また、タンニンも30mg含まれています。
黒烏龍茶の場合は?
黒烏龍茶とは、ポリフェノールの一種といわれるウーロン茶重合ポリフェノールを、一般的な烏龍茶よりも多く含んでいる烏龍茶のことで、味も通常のものより苦めになるようです[*3]。カフェインの成分を強化したものではありませんが、含有量は製品によって異なるので、気になる場合は成分表示で確認するのがよいでしょう。
コーヒーやお茶のカフェイン量との比較
烏龍茶のカフェイン量は他の飲み物と比べるとどうなのでしょうか。茶葉やコーヒー豆からできている飲み物にはカフェインが含まれますが、量の違いを見てみましょう。
<おもな飲料のカフェイン量>[*2]
飲料名 | カフェイン量 |
---|---|
コーヒー | 60mg/100ml |
インスタントコーヒー | 80mg *顆粒2g(スプーン1~2杯)中 |
紅茶 | 30mg/100ml |
せん茶 | 20mg/100ml |
玉露 | 160mg/100ml |
ほうじ茶 | 20mg/100ml |
玄米茶 | 10mg/100ml |
コーヒー:コーヒー粉末10gを熱湯150mlで浸出
紅茶:茶葉5gを熱湯360mlで1.5~4分浸出
せん茶:茶葉10gを90℃のお湯430mlで1分浸出
玉露:茶葉10gを60℃のお湯60mlで2.5分浸出
ほうじ茶:茶葉15gを90℃のお湯650mlで0.5分浸出
玄米茶:茶葉15gを90℃のお湯650mlで0.5分浸出
烏龍茶と比べると、インスタントコーヒーは4倍、玉露は8倍と多く、一方の玄米茶では半分と少なくなっていますが、いずれも一般的な淹れ方をした場合での数値になるため、実際の淹れ方によって変わってきます。
また、カフェイン量が少ないものでも、たくさん飲めば摂取するカフェインも増えてしまいます。いずれにしても飲み過ぎにも注意したいですね。
お茶やコーヒー以外でカフェインを含むもの
茶葉やコーヒー豆を使用した飲み物以外にカフェインを含むものもあります。これらもお茶やコーヒー同様、馴染みのある飲み物かと思いますが、飲み合わせも気にしていけたらいいですね。
<お茶やコーヒー以外でカフェインを含む飲み物>[*1,4,5]
飲料名 | カフェイン量 |
---|---|
エナジードリンク | 32~300mg/100ml (製品により異なる) |
ココア | 10mg/ピュアココア5g |
コーラ飲料 | 36~46mg/1缶355ml (製品により異なる) |
カフェインにはどんなリスクがある?
烏龍茶や身近な飲み物に含まれるカフェインですが、摂取することで体にどのような影響があるのでしょうか。
カフェインの過剰摂取によるリスク
カフェインには神経を興奮させる作用があります。過剰に摂取すると、めまいや心拍数の増加、興奮や不安、震え、不眠、消化器官への刺激により下痢、吐き気、嘔吐などをおこすことがあります[*4]。
適量のカフェインには効果も
過剰摂取のリスクがあるカフェインですが、適量摂取をすることで、頭が冴えて眠気を覚ます効果があるとされています[*5]。また、個人差はありますが、運動のパフォーマンスを上げる可能性があるともいわれています。
烏龍茶は1日どのくらい飲める?
烏龍茶のカフェイン量や、カフェインが体に与える影響についてお伝えしてきました。では、烏龍茶はどれくらい飲んでもいいのでしょうか。
毎日2リットルは避けた方が安心
カフェインの摂取量について、日本では基準や目安は明確に示されていません。アメリカの食品医薬品局(FDA)では、健康な大人で1日あたりカフェイン400mgまでであれば、健康に影響はないとしています。
これを烏龍茶にあてはめると、烏龍茶のカフェインの量は100mlあたり20mgなので[*1]、2リットルまで飲めることになります。汗をよくかくような暑い日であれば、1日に2リットルの水分を摂ることもあるでしょう。あくまでも目安量なので、たまにこれ以上飲むという程度あれば、問題ないと考えられます。
ただし、烏龍茶だけでなくコーヒーや紅茶、お茶など、他にカフェインを含む飲み物も飲んだりする場合には、トータルでの量を意識するようにしましょう。飲食物だけでなく、風邪薬などの医薬品にカフェインを含むものもあります。
カフェインの感受性は個人差が大きい
カフェインの感受性は人によって違います。カフェインを含む飲み物を飲むと眠れなくなったり、下痢をおこすなどカフェインに敏感な人は、できるだけカフェインの摂取量を減らす方がいいでしょう。
その他の飲み物のカフェインについて詳しくはこちら!
妊婦や子どもは烏龍茶を飲んでもOK?
妊娠中や授乳中は特にカフェインの摂取が気になるところですね。結論からいうと、妊婦さんや授乳婦さんが烏龍茶を飲んでも問題ありません。妊娠中や授乳中のカフェインの影響を確認しましょう。
妊娠中などのカフェインのリスク
世界保健機関(WHO)では、1日300mg以上の高カフェイン摂取の妊婦では、出生時の低体重、流産や死産のリスクが高まる可能性があるとして、リスク低減のため、妊娠中のカフェイン摂取量を減らすようにと注意を促しています。
授乳中についても同様です。カフェインは母乳から乳児に移行しますが、アメリカの疾病予防管理センター(CDC)では、1日300mg以下であれば、通常、乳児に影響はないとしています。
これは毎日300mg以上を摂り続けた場合にリスクがあるということなので、カフェインを摂り過ぎてしまったときは、次からは控えてとるようにするといいでしょう。カフェインを含む飲み物をまったく摂取してはいけないということではないので、心配しすぎないことも大切です。
烏龍茶は楽しむ程度がおすすめ
烏龍茶は100ml中に20mgのカフェインを含んでいるので[*1]、妊婦中や授乳中でも1.5リットルは飲めることになります。飲めない量ではないかもしれませんが、カフェインは烏龍茶以外からも摂取する可能性があるので、適量としては多いといえるでしょう。
リスクを抑えるためにもカフェインを連日300mg以上摂取することは避けたいので、カフェインの少ないものと組み合わせながら、楽しむ程度に飲むくらいにするといいですね。
妊娠中の飲み物について詳しくはこちら!
子どもは飲んでも大丈夫?
子どものカフェインについては、欧州食品安全機関(EFSA)では1日に体重1kgあたり3mg、カナダでは2.5mgを推奨摂取量とし、この量であれば悪影響はないだろうとしています。これは、たとえば体重20kgのお子さんの場合、1日あたり50~60mgのカフェイン量になり、烏龍茶に換算すると250~300mlです。
子どもが烏龍茶を飲んでもかまいませんが、日常的にがぶがぶ飲むことは控えておいたほうがよいでしょう。飲み過ぎてしまったと感じたときは、大人と同様に次からはカフェインの少ないものや、含まないものを飲むようにしましょう。
赤ちゃんの場合は?
赤ちゃんの水分補給は母乳やミルクが基本です。少量を一時的に飲ませてしまったからといって問題になることはほとんどありませんが、赤ちゃんはカフェインの感受性が高いので、日常的な水分補給の手段として烏龍茶を飲ませるのは控えましょう。
まとめ
烏龍茶はカフェインが含まれているので、あまり多量に摂取し続けると、カフェインの過剰摂取によるリスクが生じます。烏龍茶だけでなく、ほかのカフェインを含むものも飲み過ぎには注意をしましょう。カフェインを含まないものや、少ないものも組み合わせると安心かもしれませんね。
(文:二橋佳子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]農林水産省:aff 2022年4月号、味わいや香りもさまざまなお茶の種類
[*2]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*3]食品安全委員会:「黒烏龍茶」に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)
[*4]農林水産省:カフェインの過剰摂取について
[*5]内閣府:食品安全委員会ファクトシート「食品中のカフェイン」
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます