【助産師解説】ウーロン茶のカフェイン含有量!妊婦はどのくらい飲んでもOK?
妊娠中のカフェイン摂取について、助産師が詳しく解説! ここでは、ウーロン茶のカフェイン含有量と母体や赤ちゃんへの影響についてお伝えします。1日に飲んでもいい量など、ぜひチェックしてください。
妊娠中のカフェインはNG?母体と赤ちゃんへの影響
妊婦はカフェインNG! NGではないけど避けるべき!……などなど、妊娠中のカフェイン摂取についてはさまざまな声が聞かれると思います。実際には、妊娠中のカフェイン摂取はどうなのでしょうか?母体や赤ちゃんへの影響など、詳しく解説します。
カフェインが人体にもたらす影響とは
カフェインとは、コーヒー豆や茶葉、カカオ豆などに含まれている天然の食品成分の一つです。カフェインと聞いてもっとも多くイメージされるのはコーヒーだと思いますが、他にもチョコレートやお茶類にも含まれます。ウーロン茶もカフェインを含むお茶のひとつですね。
カフェインは、適量であれば頭が冴えて眠気を覚ます効果が期待できるとされています。一方で、過剰に摂取した場合は、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気などの症状を引き起こす恐れがあることがわかっています[*1]。
ただし、カフェインに対する感受性には個人差があるので、適量とされる摂取量でも悪影響が出る人もいます。
妊娠中の摂取による母体と赤ちゃんへの影響は?
では、妊娠中のカフェイン摂取による影響には、どのようなことが考えられるのでしょうか?
妊娠中にカフェインを過剰に摂取すると、胎児の発育阻害や出生児の低体重、早産や死産と関連する可能性が研究により示唆されています。また、妊娠中は血液からカフェインが消失するまでの時間が通常より著しく長くなるため、通常より人体への影響も大きくなりやすいと考えられています。
このような理由から、世界各国の機関が妊娠中のカフェイン摂取に関して制限することを勧めています。なお、世界保健機関(WHO)では「コーヒーを1日3~4杯まで※」、英国食品基準庁などでは「1日200mgまで」、カナダ保健省などでは「1日300mg未満」となっています[*1]。
つまり、妊娠中のカフェインは厳禁ではありませんが、リスクを避けるためにも摂取量にはいつも以上に注意する必要があると言えますね。
※コーヒーのカフェイン含有量は100mlあたり60mg。コーヒー1杯を120ml(レギュラーカップ)とした場合は、72mg/杯のカフェインが含まれる計算。
妊娠中にウーロン茶はどれぐらい飲んでもOK?一日の目安
上記を踏まえたとき、具体的に妊婦はウーロン茶をどれぐらい飲めるのでしょうか? ウーロン茶に含まれるカフェインの量と、1日の上限量について見ていきましょう。
ウーロン茶のカフェイン含有量は?
ウーロン茶のカフェイン含有量は、100mlにつきおよそ20mgです。これは、コーヒーに含まれるカフェイン量のおよそ1/3に値する量です。
他の主なカフェイン含有飲料と比較すると、以下のようになります[*1]。
<主なカフェイン含有飲料の、おおよそのカフェイン濃度>
飲料名 | カフェイン濃度 | 浸出方法 |
---|---|---|
ウーロン茶 | 20mg/100ml | 茶葉15gを、90℃のお湯650mlで0.5分 |
コーヒー | 60mg/100ml | コーヒー粉末10gを、熱湯150mlで |
紅茶 | 30mg/100ml | 茶葉5gを、熱湯360mlで1.5~4分 |
緑茶(せん茶) | 20mg/100ml | 茶葉10gを、90℃のお湯430mlで1分 |
妊娠中に飲めるウーロン茶の量は?
海外の機関等の勧告では、健康な妊婦の1日のカフェイン摂取上限を200~300mgとしています[*1]。これを基準とすると、妊娠中にウーロン茶を飲む場合は、500mlペットボトル2~3本が上限ということになります。
ただし、濃度は使われる茶葉の量や浸出方法によって変わってきますし、カフェインに対する感受性には個人差があります。また、ウーロン茶以外にもカフェインを含む飲み物を飲んだ場合は、そちらで摂取した分も加えて考える必要があるので、注意が必要です。
非妊娠時や授乳時はどれぐらいが目安?
妊娠中はもちろん、授乳中もカフェイン摂取は気になる問題のひとつですよね。また、妊娠や授乳をしていなくてもカフェインの過剰摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そこで、授乳中と非妊娠時のカフェイン摂取目安についてもまとめてみました。ぜひ参考にしてください。
非妊娠時、授乳時の目安量について
海外の主なリスク評価・管理機関等の勧告をまとめた場合、非妊娠時と授乳中のカフェイン最大摂取量の目安はおおよそ以下のようになります[*1][*2]。
・健康な成人
習慣的なカフェイン摂取では、1日に400mg以内※
※欧州食品安全機関ほか
・授乳中の女性
1日に200~300mg未満※
※200mg以下:欧州食品安全機関など、300mg未満:カナダ保健省
・健康な子供・青少年
1日に2.5~3mg/kg(体重)以内が目安とされています。年齢ごとのおおよその目安量は、以下のようになります※。
※3mg/kg(体重):欧州食品安全機関、2.5mg/kg(体重):カナダ保健省
また、カナダ保健省のデータによる年齢別の最大摂取量は以下になります。
4~6歳 | 45mg未満/日 |
7~9歳 | 62.5mg未満/日 |
10~12歳 | 85mg未満/日 |
13歳以上の青少年 | 2.5㎎/kg(体重)未満/日 |
ウーロン茶に換算するとどれぐらい?
では、ウーロン茶の場合は具体的にどれぐらいの量になるのでしょうか?
健康な成人であれば500mlペットボトルで4本、授乳中の女性では500mlペットボトルで2~3本が上限の目安となりますね。
ただし、浸出方法や感受性の個人差を考えても、妊娠中同様に飲みすぎないに越したことはありません。
まとめ
妊娠中は血液からカフェインが消失するのが通常より遅くなります[*1]。妊娠中は1日に200~300mgを超えない量のカフェイン摂取にとどめることが望ましいとされています。ウーロン茶には、100mlにつきおよそ20mg程度のカフェインが含まれるので、上限を参考にして飲みすぎないよう注意しましょう。また、メーカーや種類によって濃度が変わることもあります。今はカフェインレスのウーロン茶を売っているところがあるので、探してみてもいいかもしれません。
(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:清水茜先生)
※画像はイメージです
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます