【保活シーズン】保育園・こども園・幼稚園、どう選ぶ? 病児・病後児保育の利用の仕方は?
幼稚園(預かり保育を含む)、保育園やこども園の申し込み時期がやってきました。どんなことに気をつけて選び、申し込むといいのか、小児科医の観点から森戸先生に聞きました。
安全にのびのび過ごせる園を選ぼう
来年の春からお子さんを保育園やこども園、幼稚園に預ける方は、この秋が申し込み時期になりますね。春夏から情報収集をしていても、どんな園がいいのか、どんな優先順位で申し込むのか、まだ迷っている方も多いのではないでしょうか。
やはり、なるべく家から近い園がいい、いろいろ手間がかからず預けやすい園がいいと思う方もいるかもしれません。実際、子供の送り迎えは大変ですから、近くて便利であるに越したことはありません。けれども、大事な子供たちが半日から1日という長い時間を毎日過ごす場所ですから、心身ともに安全であること、のびのびと自主的に運動や活動をできることは大事だと思います。
先月、静岡県の認定こども園「川崎幼稚園」の園バスに置き去りにされた3歳のお子さんが亡くなるという、非常に痛ましい事件がありました。ごく一部ではありますが、出欠確認や定期的な点呼、誤嚥のリスクがある食事の見守り、窒息の恐れのある午睡時の呼吸チェック、プール時の監視者の配置などをきちんと行っていない園もあるため、繰り返し同じような事故が起こっています。
ですから、大事なお子さんを預ける園を選ぶ際には、実際に見学をして園の様子を確認し、方針などを聞いてみてください。偏った思想を持った園はリスクが高いので、避けたほうが無難だからです。例えば、自然派の園で裸足で泥遊びをするのはいいのですが、医療やワクチンに否定的だったりするとリスクがありますね。子供同士で移しあう病気ばかりではなく、土壌の中にも破傷風菌などがいるからです。
そのほか、『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』(猪熊弘子、寺町東子 共著/内外出版社)という書籍が参考になるので、ぜひ読んでみてください。
病児・病後児保育のリサーチも必須
入園したばかりの時期は、多くのお子さんが様々な感染症にかかります。ですから、万が一のために病児・病後児保育についても調べておくと安心です。本来、お子さんが病気の時は、保護者全員が問題なく仕事を休める社会であってほしいですが、現状はそうではありません。休める方もいるでしょうが、交代要員がいないから、クビになるから、収入が減るから……などの理由で休めない方もいるでしょう。
それに登園・登校停止になる感染症の場合は、お子さんが回復してからも休む必要があります。例えばインフルエンザなら、発症日を0日とし5日間かつ解熱の翌日から乳幼児は3日間(小学生以上は2日間)登園・登校停止です。結構、長いですよね。
病児保育には病気の急性期にも預けられ、病後児保育には急性期をすぎてから預けることができます。いずれも保育園のような施設型、ベビーシッターのような派遣型があり、自治体が運営しているもの、企業やNPOなどが運営しているものがあります。どの病児・病後児保育でも必ず事前登録や申し込みが必要ですから、お子さんが熱を出した時では間に合いません。前もって調べ、第一候補、第二候補を決め、複数のサービスに申し込みをしておくといいでしょう。
では、どんな病児・病後児保育がいいでしょうか。個人的には病院やクリニック併設の病児・病後児保育が最も安心だと思いますが、お子さんが元気だったり回復期だったりすれば、それほど心配はないかもしれません。料金は自治体運営の施設が安いですが、必ずしも空きがあるとは限りませんから、企業やNPOが運営している病児・病後児保育も確認しておくといいでしょう。
病児保育に携わる小児科医のアドバイス
私自身は病児・病後児保育に携わっていませんから、東京・渋谷区にある「マーガレットこどもクリニック」院長であり、「病児保育室フローレンス初台」の運営にも携わっている小児科医の田中純子先生に詳しくうかがってみました。
「施設の検索には、『あずかるこちゃん』というアプリのマップがとてもいいと思います。そして必ず各施設のWEBサイト、もしくは市町村のWEBサイトをみてください。施設によって、利用条件、事前受診の要不要、当日は利用連絡票をあらかじめ手に入れてからの予約なのか、連絡票は不要だけれど朝イチで提携医療機関の受診が必須なのか、予約はWEBか電話かなどが違うからです」(田中先生)
それぞれの病児・病後児保育によって運営が違うので、要件が様々なようです。やはり事前の下調べや手続きが大事ですね。
また、風邪などが流行する時期には病児保育室は利用希望者が殺到して、キャンセル待ちになることがよくあります。病児保育室だけではなく、自宅に保育者を派遣してもらえる民間サービスも登録しておくと流行期でも安心です。
「病児保育施設は、安価、他の子と一緒に遊ぶことができる、複数の大人の目がある、医療併設の場合には医師や看護師のサポートがあり安心といったメリットがあります。一方、ご自宅での保育では、環境が変わらないので子どもが安心して過ごしやすい、施設よりも運営時間が長い、他の子と接しないので感染の心配がないなどといったメリットがあります」(田中先生)
続いて、実際にお子さんを病児・病後児保育施設に預ける時の注意点についてもうかがいました。
「まずは利用方法をよく読んで、予約方法、必要な問診・物品について理解し、ルールに基づいて利用してください。服やタオルなどは普段お子さんが使い慣れているものを、食事は食べやすいものを用意してあげるといいと思います。送迎に時間がかかることもありますから、時間に余裕を持って行くといいでしょう」(田中先生)
自宅に保育者に来てもらう場合には、どんなことに気をつけるといいでしょうか。
「保育できるスペースの確保、必要物品の準備は必要です。またテレビの見させ方、昼寝に対する考え方などは家庭によって大きく違いますので、明確な希望がある場合には保育者に伝えておくことをおすすめします。ただし病児なので、体調面から普段と同じようにできないこと、安静時間を確保するためにテレビを利用するなど、最終的な判断は保育者にある程度お任せするのがよいでしょう」(田中先生)
保育園と同時に、病児保育についても調べておけば、春になって慌てなくて済みそうですね。ぜひいろいろと調べてみてください。
▶マーガレットこどもクリニック
▶病児保育フローレンス初台
(編集協力:大西まお)