
数年間、会話なしの夫婦。“コミュ障”の夫は目も合わせず、面倒くさそうで…<子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、同い年の夫についてのお悩みです。「嫌われたくないのでグッと我慢をしています」というその訳は……。

数年会話がない夫。普通の夫婦のように会話がしたい。
この数年、主人との会話がほとんどありません。
生活を共にするうえで必要な会話はしますが、雑談のようなたわいもない会話はありません。私が話しかけても主人は面倒くさそうにし、目も合わさないので、こちらから話しかけることも徐々になくなりました。もともと話す人ではなかったのですが、コミュニケーションが面倒くさいそうです。
何度か改善したいと話し合いをしましたが、主人は改善する気はないようです。私だけでなく、子どもや私の両親などにも自分から話しかけることはないので、本当にコミュ障なのだと思います。ただ、私は普通の夫婦のように会話を弾ませたいのでいつも悲しい思いをしています。でも、何度も言って嫌われたくないのでグッと我慢をしています。
(39歳・女性・専業主婦)
■家族構成:自分39歳、夫39歳、長女9歳、次女7歳
■お困り度:★★★★★★★☆☆☆

夫さんと会話がほとんどないことでお悩みなのですね。自分からは話しかけないというだけでなく、相談者さんから話しかけても面倒くさそうにされるというのは、とても悲しく思えてしまって当然だと感じました。夫さんにとってはコミュニケーションが面倒くさくて、たわいもない会話をしたいお気持ちはないのですね。それが分かっただけでも、何度か改善のための話し合いをした意味はあったと思います。ただでさえ会話をしたがらない夫さんと話し合いの場を持っただけでも、よく頑張られたと感じました。
会話がほとんどなくなったのはこの数年と書いてくださいましたが、それ以前は少しはたわいもない会話ができていたのでしょうか。当時、何か会話がなくなるきっかけになるようなことや、夫さん側の状況の変化などがあったでしょうか。特にきっかけ等はなく数年前から会話がなくなったのだとしたら、それまでは夫さんも少し無理をして会話をするよう頑張っていた部分もあったのかもしれませんね。
また、お子さんや相談者さんのご両親にも自分からは話しかけないとのことですが、夫さんのご両親やご友人など、それ以外の方々にも同じような接し方なのでしょうか。元々そうなのであれば、やはり相談者さんに要因があるのではなく、本当に話すのが面倒なだけという、夫さん側の資質なのだと考えられますね。その場合、夫さんご自身が困らない限りは、会話が弾むようなご関係になるのは難しいと思います。
とはいえ、コミュニケーションは会話のみによって行われるものではないため、夫さんとのコミュニケーション全体を諦める必要はないかと思います。
もしも夫さんが「会話」という形のコミュニケーションを面倒に思うだけで、家族の様子を見ていることや一緒に過ごすこと自体は苦痛ではないのなら、相談者さんとお子さんたちで楽しそうに会話しているのを聞いていてもらったり、一緒にその場を共有してもらったりすることはできるかもしれませんね。それもひとつの家族のコミュニケーションの形には充分なり得るかと思いますので、会話以外の方法を探っていけると良いのではないでしょうか。
「何度も言って嫌われたくないのでグッと我慢をしています」とのこと、会話を強いないよう、夫さんのお気持ちや資質を尊重した適切なご対応をなさっていると感じます。また、「嫌われたくない」ということは、相談者さんは夫さんのことがちゃんとお好きで、良い部分もたくさんご存じなのだとお見受けします。会話が弾まなくて悲しいお気持ちも大切にすると同時に、他の点での夫さんの良さを再認識したり、言外のコミュニケーションを模索してみることで、状況は変わらなくても相談者さんが少し楽になれるかもしれません。
(文:臨床心理士 たかだちかこ/うららか相談室)