#古坂大魔王のモヤズバッ! Vol.23 夫の実家で同居中。角を立てずに義父母に意見を伝えるにはどうすればいい?
お笑い芸人や音楽プロデュース、テレビ番組のMCなど、多忙な毎日を送りながら、2児のパパとして育児に奮闘する様子をSNSで積極的に発信している古坂大魔王さん。同じように育児や夫婦関係のことで悩んでいるパパ・ママのお悩みに、ズバッと切り込みます。
今回のお悩み
ぽんきちさん(33歳/医療・福祉/専門職)
夫の実家で暮らしているのですが、自分の子どもへの思いと義母の希望が合わないことがあります。角を立てずに自分の思いを通しつつ、義父母と上手くやっていくにはどうしたらよいでしょうか?
古坂さんの回答
年齢も価値観も違うから難しい
これはすごく難しい問題ですね。まず、育った環境も価値観も大きく違う他人と一緒に暮らすというのは、とても難しいことです。好き合って一緒に暮らしているカップルや夫婦でさえ揉めるのは普通のことですし、大好きな我が子とでさえも揉めます。
まして成人して家庭を持ってから親世代と暮らすというのは、実の親子であっても感覚が大きく違ってくるので、揉めることが多いと思います。実際に、親子二・三世代で一緒に暮らしていて揉めごとがないという家の話は、なかなか聞かないのではないでしょうか。
世の中には経済的に苦しくても、子育ての手助けが望めなくても、トラブルを避けるために実親とも義理親とも一緒に暮らさないと決めている人もいます。それほど、別居していれば仲良くできても、同居すれば仲違いすることはよくあることなのです。
さらに守るべき大切な子どもの問題が絡むと、より事態は深刻になります。それは、世代により子育ての常識が大きく違うからです。たとえば、昔は抱っこすると「抱き癖がつくからダメ」なんて言われていましたが、今では否定されています。
ただ、昔は迷信だらけだったとも言い切れません。僕たちの親世代が「風邪をひいた子をお風呂に入れてはいけない」と言っていたのは、昔の家は隙間風がひどく暖房もなくて湯冷めをしたから。今では気密性の高い家に暖房があるのが普通ですから、冬でも家のなかが寒いということはあまりありません。
また、どうしても金銭面や労働面での貢献度によって力関係が生じてしまうこともありますよね。たとえば、義父母に子育てや家事、金銭面で援助してもらうと、本当は伝えてしかるべき意見でもなんとなく言いづらくなったりします。
旦那さんから伝えるのがベスト
ですから、「角を立てずに自分の思いを通しつつ、義父母と上手くやっていく」というのは、両方がとてもやさしくて人格的に優れていても、難しいことだと思います。直接はっきりと希望を言えば理解してもらえないかもしれないし、トラブルになるかもしれません。
ただ、ひとつだけ角を立てずに、自分の意思を伝える方法があります。それは義父母の実子である旦那さんに、代わりに穏やかかつはっきりと伝えてもらうことです。
ただし、ぽんきちさんの主張が一般的なものである必要があります。もしも、ぽんきちさんの子育てに関する価値観や考えが独特な場合、旦那さんや義父母が「こちらのほうが一般的な考え方だ」と反対してくる可能性も否めません。
また旦那さんがちゃんと子育てしていて、ぽんきちさんの主張を理解している必要があります。旦那さんがよくわかっていないと、本当は問題があっても「それくらい大したことじゃないでしょ」「それくらい許してあげてよ」などと言われてしまったり、義父母を説得できなかったりします。
それらの条件をクリアしていて旦那さんが義父母に伝えてくれるとしたら、なるべく困った状況を見かけたときにリアルタイムで言ってもらうのが一番です。あとで言ってもらう形だと、「妻に言わされている」と受け取られるリスクがあるからです。
たとえば、義父母が自分の口で噛んだ食べ物をお子さんにあげようとして困っているのだとしたら、食事の場面に旦那さんが居合わせるようにして、「今は大人が噛んだものをあげるのは不衛生だとわかっているからやらないで」と伝えることができるでしょう。
僕としては、これがもっとも角が立たない方法だと思います。旦那さんが難しければ、旦那さんのきょうだい、そのほかの近しい親戚を味方につけて伝えてもらうのでもいいんじゃないでしょうか。
最悪のパターンから最善へ
けれども、実の子に言われても、まったく聞いてくれない義父母もいるでしょう。最悪の場合は、怒り出すこともあるかもしれません。親子ケンカに発展することもある。それは、誰だって長く当たり前だと思ってきた慣習を変えることは難しいからです。
また、同時に年齢を重ねれば重ねるほど、新しい価値観を理解しづらく、受け入れづらくなりがちだからでもあります。意地悪をしようというわけではなく、まったく理解できないというケースがあるんです。
さて、ちょっと話はズレますが、僕はよく最悪のパターンをシミュレーションします。たとえば、「もしも仕事がなくなったらどうするか」ということです。どこの町で暮らすのか、家賃はいくらまでなら大丈夫か、どう節約するか、とか。そして、それよりマシなパターンから最善を考えていくんです。
今回の相談内容の場合なら、旦那さんが義父母側についてしまって、ぽんきちさんも納得できずに離婚してしまうのが最悪のパターンですよね。それよりも少しマシなのが、義父母との同居を解消して旦那さんとお子さんだけと一緒に暮らすパターンです。さらにマシなのは旦那さんとぽんきちさん、旦那さんと義父母は少し揉めるかもしれないけど、しっかり話し合って、なんとか折り合いをつけるというパターンです。それよりいいのは、旦那さんに積極的に間に入ってもらい、上手く納めてもらうパターンですね。
ぜひ、どんな可能性があるのかをよく考え、まずはパートナーである旦那さんとじっくり話してみてください。急に早口でまくし立てたりするのではなく、時間と回数をかけて相談するのがおすすめです。上手く収まることを願っています!
今回の結論!
古坂大魔王さんプロフィール
1973年7月17日生まれ。青森県出身。1992年にお笑い芸人「底ぬけAIR-LINE」でデビュー。現在は、芸人、音楽プロデューサーのほか、文部科学省・CCC大使、総務省・異能vation推進大使を務めるなど、マルチな才能を活かして活躍中。2児の父。NHK Eテレ『すくすく子育て』をはじめ、多数のバラエティ・情報番組に出演中。プロデュースするピコ太郎の公式YouTubeチャンネル内に幼児向けコンテンツ「ピコスタキッズ」を開設した。
ピコ太郎のYouTubeチャンネル『-PIKOTARO OFFICIAL CHANNEL-"PIKO ST KIDS"』
Twitter @kosaka_daimaou
(取材・文:大西まお、撮影:天田輔[インタビュー]、佐藤登志雄[タイトル・結論]、編集:マイナビ子育て編集部)