もし更年期障害になったら、誰かに相談する? 相談した? 経験者の3人に1人は「誰にも相談しなかった」
更年期障害は、女性の閉経にともなうさまざまな体調不良です。生活に支障が出るほど症状が重い人もいれば、比較的症状が軽く済む人もいます。もし自分が更年期障害に悩まされることになったら、誰かに相談することができるでしょうか? 今回は、これから更年期を迎える人、すでに迎えた人のリアルな声をまとめました。
更年期障害、誰に相談する? 誰に相談した?
生理(月経)がある女性がいずれ迎える「閉経」。その前後5年、トータル10年間を「更年期」といい、時期としては45~55歳ごろと言われています。女性ホルモンの分泌量の変化に伴い、体にさまざまな不調があらわれますが、その中でも日常生活に支障をきたすレベルの症状を「更年期障害」といいます。
今回は、更年期障害を経験したことのない人に対して「もし更年期障害の症状が出たら誰かに相談するか」を、そして更年期障害を経験したことのある人に対しては「更年期障害の症状について誰かに相談したか」を聞きました。
もし「更年期障害」の症状が出たら、誰に相談すると思いますか?
1位…配偶者・パートナー(60%)
2位…医療機関(38%)
3位…親・兄弟姉妹/友人(37%)
5位…同僚・上司(14%)
6位…子ども(10%)
7位…わからない(7%)
8位…誰にも相談しない(4%)
9位…その他(1%)
まだ更年期を迎えていない人に、「もし更年期障害の症状が出たら、誰に相談すると思うか(複数回答)」を尋ねたところ、「配偶者・パートナー」と答えた人が60%いました。これは、ほかの選択肢に比べて突出した数字になっています。また、「親・兄弟姉妹」と「友人」が37%、「医療機関」が38%と同じくらいの割合でした。
困ったこと、悩んでいることは、もっとも身近で生活を共にしているパートナーに相談すると考えるのが自然な流れなのかもしれませんね。配偶者・パートナーに相談すると同時に、医療機関にも相談すると答えた人も多く見られました。
では、それぞれその選択肢を選択した理由をご覧ください。
配偶者・パートナーに相談
●自分の近状をよく知っていて、おそらく一番負担をかけることになる相手だから。(31歳/学校・教育関連/専門職)
●同世代の友人には知られたくない。恥ずかしい。(38歳/アパレル・繊維/販売職・サービス系)
●イライラしていても更年期障害だからと理解しといてもらいたいから。(43歳/建設・土木/事務系専門職)
上記以外にも、配偶者・パートナーに相談する理由として多かったのは、「理解してほしいから」というもの。
更年期には、ホットフラッシュ(のぼせ・発汗・ほてり)に代表される身体の変化に留まらず、イライラや落ち込みやすいなどの気持ちの変化もあらわれます。今までは許せたことにもつい怒ってしまったり、自分の感情に振り回されてしまったりすることもしばしばです。そんなとき、パートナーが更年期障害を理解してくれていたら、ケンカを避けられるかもしれません。
同様に、40歳以降の男性にも更年期障害があるため、夫婦で悩みの共有もできそうです。
友人に相談
●同じようなことを経験していると、ひとりだけじゃないと安心できそうだから。(39歳/運輸・倉庫/事務系専門職)
●年上の友人に体験談とかを聞きたいので。(43歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
●関係が悪化したら困るから。(32歳/団体・公益法人・官公庁/専門職)
友人が女性の場合、同性だからこそ分かり合えるという安心感があります。
同年代の女性なら、同じ時期に更年期障害の症状が出ていても不思議ではありません。悩んでいるのは自分だけはない、とわかるだけでもホッとしますね。すでに更年期を経験した先輩は、よき相談相手になってくれそうです。
また、更年期特有の気分の変化で友人関係が悪くならないよう、予防的に相談するという意見もありました。
では続いて、実際に更年期障害の経験がある人に、誰に相談したかを尋ねてみました。
「更年期障害」の症状について、誰に相談しましたか?
1位…配偶者・パートナー(38%)
2位…誰にも相談していない(しなかった)(29%)
3位…友人/医療機関(26%)
5位…親・兄弟姉妹(21%)
6位…子ども(12%)
7位…上司・同僚(8%)
8位…その他(1%)
前段の更年期障害を経験したことのない人に聞いた結果とは、少し異なっています。グラフで比較してみましょう。
更年期未経験者の60%が「配偶者・パートナーに相談すると思う」と答えたのに対し、経験者では38%にとどまっています。
また、同じく大きな差があったのは「誰にも相談していない(しなかった)」で、更年期未経験者は4%だったのに対し、経験者は29%にものぼります。経験者のうち3人に1人は、更年期障害にひとりで対処していることが浮き彫りになった形です。
そのほかにも、「親・兄弟姉妹」「同僚・上司」「友人」「医療関係者」ともに、未経験者の想像を下回る数値となりました。
では、「誰にも相談しなかった」「配偶者・パートナーに相談した」「医療機関に相談した」を選択した人たちの意見を見てみましょう。
誰にも相談しなかった
●相談しても解決しないし、話してもしょうがないと思うから。(54歳/専業主婦)
●私自身、兄妹がいないので、相談するなら親ですが「みんなが通る道だから」の一言で終わってしまうので、それ以来相談はしていません。(54歳/情報・IT/事務系専門職)
●辛さは誰にもわかってもらえないと思ったので、ひとりで耐えようと思い誰にも相談していません。(49歳/専業主婦)
●相談するほど深刻ではないと思ったから。(48歳/飲食/接客業)
●それほど重いわけではないと思っていたので。(54歳/学校・教育関連/講師)
誰にも相談しなかった理由は「相談しても仕方ないから」という声が多く聞かれました。相談してもなかなか周囲の理解が得られない、人に話しても治るわけではない……という諦めの心境に陥っていたようです。
逆に、「それほど深刻ではなかった」「症状が軽く、相談するほどでもなかった」という人もいました。
配偶者・パートナーに相談
●今まで頑張ってくれたから、ゆっくり過ごしてと言ってもらって楽になりました。(55歳/専業主婦)
●必ず終わりのあるものだから今は耐えるしかない、と言われ落ち込んだ。(59歳/専業主婦)
●夫に相談しましたがそこまで真剣に聞いてもらえず、さらに落ち込みました。(44歳/商社・卸/事務系専門職)
夫に話して理解やサポートを得られた人もいる一方、一番身近な存在にも関わらず十分に理解されなかったり共感してもらえなかったりで余計に気持ちが滅入ってしまった人もいたようです。
医療機関に相談
●婦人科で相談してホルモンの数値を測って適切な薬を処方してもらった。(51歳/医薬品・化粧品/事務系専門職)
●血圧上昇などもあったので、薬と漢方薬を処方してもらいました。(56歳/税理士事務所/事務系専門職)
●病院に行ったところ、運動やストレス解消が大事だと言われ、日々の生活に運動を取り入れ、また家事などを多めに家族に手伝ってもらったりして負担を減らしてもらった。(41歳/人材派遣・人材紹介/販売職・サービス系)
医療機関に相談したという人は、なんらかの役立つアドバイスをもらっています。約10年間という長期間の不調を乗り切るためには、相談できる専門家がいると安心できそうです。「お医者さんに言われた」と伝えれば、周囲の理解が得やすいというメリットもあります。
まとめ
今回のアンケートでは、更年期障害未経験者の考える相談相手と、経験者の実際の相談相手に差があることがわかりました。
症状が重いにもかかわらず「相談しても意味がない」と感じたり、相談しても相手に理解を得られなかった場合や、上手に説明できなかったりした場合は余計に落ち込みますね。しかし、「45歳から55歳ごろ」と言われるおよそ10年間の更年期をできるだけ快適に過ごすには、原因と対策を知ったうえで、よき相談相手がいるとよりいきいきと過ごせるかもしれません。
マイナビ子育て調べ
調査日時:2023年9月9日~13日
調査人数:366人(更年期障害を経験していない女性/30~49歳)
346人(更年期障害を経験したことのある女性/35~80歳以上)
(マイナビ子育て編集部)