
最大の味方は「自分」? ネガティブな気持ちを解消するとっておきの方法|こどもへの接し方に悩んだら #4
子育ての悩みで煮詰まってしまった時、ネガティブな気持ちを発散したいと思っても、発散する場所や相手が見つからないと言うこともありますよね。そんな時におすすめなのが、もう1人の自分を意識することだそうです。

和歌山大学教育学部教授 米澤好史先生は、こどもの愛着障害の第一人者であり、保育園・幼稚園、小中高校など幅広い現場に触れながら、親や教育者・支援者へ“愛着の問題”解消のアドバイスを行なっています。
前回に続き今回は、ママ・パパが「自分自身を癒す効果的な方法」について米澤先生の解説を、著書『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』(フォレスト出版)よりお届けします。
「もうひとりの自分」は あなたの強い味方
状況を客観視できるようになる
周囲の誰からも協力が得られず、発散できる相手も見つからないという場合は、あなたのなかに、もうひとりの自分を意識してつくります。
「そんなこと……」と思う方もいるかもしれませんが、自分自身を癒やすのに、とても効果があります。
自分のなかのもうひとりの自分は、いつでもあなたの強い味方だからです。
手紙やノートにメッセージを書いてやりとりしてもいいですし、こころのなかだけでやりとりしてもかまいません。
リアルな自分 「もうやってられないよ〜」
もうひとりの自分 「わかるよ〜」
という具合に、自分のなかのもうひとりの自分と対話をすることで、ネガティブな感情を消化していく方法です。
がんばった自分と褒めてくれる自分、弱音を吐く自分と励ましてくれる自分、グチをこぼす自分と共感してくれる自分……これも立派な関係性なのです。
もちろん、なんでも自分ひとりで解決すればいいということではありませんが、もうひとりの自分とやりとりをすることで状況を客観視できると、ネガティブな感情の連鎖に巻き込まれずに済むのです。
たとえば、「かまって」ばかり言うこどもについ怒ってしまって「ああ、またやっちゃった……」と罪悪感に落ち込んでしまうような場面でも、もうひとりの自分が「疲れているのかもしれないよ。ちょっと気分転換したほうがいいね」と言ってくれたらどうでしょうか?
もうひとりの自分の存在によって、自分を追い込むことなく、解決策を見つけられることもあるはずです。
「近い将来」をポジティブに思い描く

実は、“もうひとりの自分”として、「過去の自分から」「未来の自分から」という観点で、今の自分に語りかけることができます。
ただし、今までの自分の子育ては全部ダメだったんだとか、自分たちの将来もきっと無理に決まっているとか、過去や未来を否定してはいけません。
過去の嫌なことは思い出さずに置いておいて、近い将来を考えます。
自分についてもこどもについても、何十年も先のことは誰にもわかりません。ですから、今の“ほんのちょっと先”の未来を思い描いてみてください。
「今年は年長さんだけど、来年1年生になったら、もう少し自分の時間ができるかな。そうしたら、これをやってみようかな」
こんなふうに、煮詰まっている今の気持ちを別の方向へと向けることができる―これが近い将来を思い描くことの魅力です。
ほんの少し先の未来をポジティブに思い浮かべることで、今はまりこんでいるネガティブな気持ちから解放されます。
モノや場所との関係性を変えてみる

人との関係性だけでなく、モノや場所との関係性を変えてみるのも、気持ちのリフレッシュになります。
自分を取り巻く環境が変わると、あなた自身も変わります。あなたの意識や感情が変わるのです。
人間の感情というのは、とても繊細で、同時にとても柔軟です。そのため部屋の模様替えをしたり断捨離をしたりするだけでも、気持ちが大きく変わります。
風通しのよくなった空間で、新しい自分を発見することができるでしょう。
こどもの気持ちに寄り添いながらも、気持ちよくこどもとかかわるためには、「こころの余裕」がどうしても必要です。
このスペースは、意識しないとすぐに埋もれてしまいますから、こどものためだけではなく、自分のための余白をつねに少しだけ、つくっておく必要があるのです。
この記事は、米澤好史著『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』(フォレスト出版)より一部抜粋・再編集したものです。
書籍『発達障害? グレーゾーン? こどもへの接し方に悩んだら読む本』
