【助産師解説】新生児の夜泣きへの対処法は?いつまで続く?夜泣き止まない原因とは
生まれてすぐの赤ちゃんは眠る時間がこま切れで、3~4時間に一度は夜でも目を覚まして泣きます。これはいわゆる「夜泣き」とは少し性質が違います。新生児が夜に泣く原因と対処法について、助産師さんに解説してもらいました。
<体験談>新生児のころ、赤ちゃんは夜に泣いていた?
新生児の「夜泣き」はいつまで続く?
産後のママは疲れているので、せめて夜はぐっすり眠りたいですね。でも、赤ちゃんが泣くと、そうもいきません。そこで、赤ちゃんの泣く原因を知れば、対策が立てられるかもしれません。新生児にも夜泣きはあるの? そもそも夜泣きとはどういうもの? 赤ちゃんが夜に泣く原因をみていきましょう。
夜泣きは生後6〜11ヶ月ごろに多い
一般に「夜泣き」とは、空腹やおむつの汚れなど、はっきりした理由がないのに、赤ちゃんが夜間に目覚めて泣き続けることを指します。生後6~11ヶ月の赤ちゃんに特に多く見られ、早いと3ヶ月ごろから夜泣きをすることも。
「夜泣き」の医学的な定義はありません。睡眠の研究では、生後半年過ぎたあたりから質のよい睡眠がとれない「睡眠障害」があらわれることが知られており、夜泣きも睡眠障害のひとつという考え方があります 。
その要因として、体内時計・睡眠サイクル調節が未発達であることや、同室で寝るなどの育児環境、生活リズムなどが関係しているとみられています。
実は、新生児は「夜泣き」ではない
生まれたばかりの赤ちゃんには昼と夜の区別がなく、また、起きている間に泣いてばかりということも少なくありません。
生後1ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、昼夜に関係なく1回に2~3時間、1日に15~20時間ぐらい眠ります。これは、赤ちゃんの体内時計が未発達なためで、成長につれ、昼起きて夜は寝るという大人型の睡眠リズムに近づいていきます。夜に睡眠が集中し始めるのは、個人差はありますが生後3~4ヶ月頃からで、夜の睡眠が定着するのは1歳に近くなった頃です。
また、赤ちゃんは眠りのメカニズムも不安定です。
睡眠にはレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)があり、これを交互に繰り返しています。成人でおおよそ90~120分周期でノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返し、割合はおおよそノンレム睡眠8に対し、レム睡眠2です。
新生児はこれが50分周期で、脳が起きている状態のレム睡眠が約5割と長いうえ、大人と逆で寝入り端(ばな)にレム睡眠がきます [*1]。
こうしたことから、新生児はちょっとした刺激でも目を覚ましやすく、昼夜に関係なく、目を覚まして泣くことが多くなります。つまり、夜泣きというよりも「たまたま泣いたのが夜だった」と考えるのが自然でしょう。
生後3ヶ月を過ぎれば夜に長く寝るように
昼夜の区別がなく、夜でも昼でも泣いていた赤ちゃんも、1ヶ月検診を終えた頃から徐々に昼夜の区別がついてきて、生後3ヶ月を過ぎたころからは夜に長く寝ることができるようになってきます。
一方、生後半年ごろから見られる「夜泣き」の場合は、1歳を過ぎるころに落ち着いてきて、3歳になるとほとんど見られなくなります。
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赤ちゃんの夜泣きや睡眠について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎夜泣きはいつからいつまで? 新生児・乳児の夜泣き開始時期
関連記事 ▶︎月齢別赤ちゃんの睡眠の特徴 まとまって寝るようになるのはいつ?
赤ちゃんが泣き続けるときの対策は?
授乳もして、おむつも替えてさっぱりしたはずなのに、泣きやんでくれない……こんなとき、「こっちが泣きたいよ~」と思ったママも多いはず。赤ちゃんが泣き続ける理由がわからないとき、どんなことをしたらよいのか、いくつかの対策をあげてみます。
1. まずは授乳やオムツ交換などをためして
まずは、赤ちゃんが何をしてほしいといって泣いているのか、思いつくことを試してみましょう。定番の授乳やおむつ替えのほか、授乳して間もなければゲップを出させてみる、暑いようなら着ているものを変えたり、かけ布団を薄いものにするなど、不快感を取り除くようにします。
なお、新生児の場合は不快感や空腹など何の原因がなくても泣くことが多くあります。いろいろ試しても泣いている原因が見つからないことがあることは覚えておきましょう。
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赤ちゃんの泣きについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎赤ちゃんが泣きやまないときの4つの解決方法|新生児が泣く理由
2. お腹の中にいたときのような環境を作ってあげる
もうひとつ大切なのは、赤ちゃんに安心感を与えてあげることです。
中でも最も効果的な方法には「抱っこ」があります。赤ちゃんはママの声が大好きなので、やさしく声をかけながら抱っこしてみましょう。体を軽くゆらゆら揺らしたり、背中をさすったり、軽くぽんぽん叩いてみるなど、試すといいでしょう。
また、お腹の中にいたときに近い状態も安心感を与えられます。おくるみやバスタオルに包んで、手足が動かないようにして抱っこするのもよいでしょう。胎内で聴いていた音に近いといわれる、レジ袋をクシャクシャさせる音や、妊娠中によく歌っていた歌が効果的だったというママの話もよく聞きます。
3. 何をしても泣きやまないときは一度そばを離れてみる
思いつくことは全部やってみたのに泣きやまず、ママの心がイライラして、精神的に追い詰められてしまうときは、思い切って赤ちゃんを安全な状態で寝かせたまま、しばらくその場を離れてみます。
長時間泣かれたのでは、ママもへとへと、イライラしてしまいますので、少し気分転換して、気持ちを落ち着かせてみましょう。赤ちゃんから離れ、30分前後を目安に、テレビを観たり、飲み物を飲んだりしてリラックスしてから部屋に戻り、声をかけてあやしてみましょう。赤ちゃんも泣き疲れて眠くなっているかもしれません。
赤ちゃんが泣きやまないときの心構えと注意点
「何をしても泣きやまないのは、私の育児がへただから?」などと、自分を責めたりしていませんか? そんなことはありません。赤ちゃんが泣くのは、ママのせいでも、赤ちゃんのせいでもないのですから。
割り切る|赤ちゃんは泣くのが仕事、自分を責めないで
これまでの研究では、親の接し方に関係なく、赤ちゃんは生後2ヶ月までに「泣き」のピークを迎え、その後は徐々に泣く時間が減っていくことがわかっています。つまり、この時期は、何をしても泣きやまない、泣くのが仕事といってよいでしょう。
ですから、泣きやまなくても自分を責めたり、罪悪感をもつ必要はありません。
また、赤ちゃんの泣く頻度・時間、泣き方には個人差があります。1日に10回以上泣く子もいれば、1回以下という子も、夜に長泣きする子もいるのです。これもその子の個性と割り切るようにしましょう。
決して、自分が悪いとか、赤ちゃんがおかしいと思わず、泣いて当たり前と気楽に構えましょう。無理やり泣きやませようとして、強く揺さぶったりすると「乳幼児揺さぶられ症候群」のような危険な事故につながります。これは、赤ちゃんのやわらかい頭が揺さぶられ、脳に損傷を与えてしまうものです。
頼る|一人で抱え込まず、パパや身近な人に任せる
「赤ちゃんが泣くのは誰のせいでもない」ということを、パパや、おじいちゃんおばあちゃんなど周りの人にも理解してもらい、「泣き」の時期を乗り切れるよう協力してもらいましょう。
夜間のミルクやおむつ替えはパパとの交代制にしたり、寝不足が続かないよう、家事を分担してもらったりしましょう。泣きやまないときに夜のドライブで近所を一周するのも、効果があるかもしれません。大切なのはつらい気持ちを一人で抱え込まないこと。パパや身近な人に話し、一緒に工夫してこの時期を乗り切りましょう。
どうしてもつらいときは小児科医や行政の育児相談窓口でアドバイスをもらうのもよいでしょう。肝心なのは、ひとりで我慢しすぎないことです。
まとめ
生まれてすぐの赤ちゃんは短い周期で寝る・起きるを繰り返しているので、夜中に起きて泣くのは自然なこと。授乳やオムツの交換などをためし、それでも泣きやまないときは抱っこやスキンシップなどで安心させてあげましょう。何をしてもダメなときは、一度そばを離れてみるのも方法のひとつ。赤ちゃんは泣くのが仕事と割り切り、気持ちを大きく持って対応しましょう。パパや身近な家族にも応援を頼み、決して一人で抱え込まないでくださいね。
(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:佐藤裕子先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます