【医師監修】夜泣きはいつからいつまで? 新生児・乳児の夜泣き開始時期
周囲の大人は大変な思いをする赤ちゃんの夜泣き。いつごろ始まるのが普通で、いつまで続くのでしょうか。ここでは夜泣きの一般的な開始時期と続く期間をまとめました。夜泣きの見分け方や泣き止まないときの対処なども紹介します。
夜泣きがいつからはじまるのか……ドキドキしてしまうママ・パパも多いですよね。夜泣きをしない子もいるので、最初から心配しすぎる必要はありません。でもいざ始まったときにうまく対処するためには、適切な知識を持っておくことが大切ですよ。
赤ちゃんの夜泣きはいつから?
個人差が大きいのですが、「赤ちゃんの夜泣き」は一般的に次のような時期に始まることが多いと言われています。
多いのは生後半年以降。もっと低月齢で始まることも
夜泣きは「生後6~11ヶ月」の赤ちゃんで多く見られます。早い子では3ヶ月ごろから始まることも[*1]。
ただ、実は医学的に「夜泣き」のはっきりとした定義はありません。一般的には、夜にある程度まとまって眠るようになってから起こる、「夜間の泣き」のことを指します。
そのため、「夜間に泣く」ということは同じでも、赤ちゃんに「夜泣き」を起こしている原因は実はいろいろあると考えられます。たとえば、「低月齢」では、新生児期の「こま切れ睡眠」からある程度まとまって眠るパターンに移行中であることによって、睡眠が不安定になり夜泣きすることがあります。
また、生後半年からそれ以降では、「〇〇しないと眠れない」という寝かしつけの習慣が原因となって夜泣きをする子がでてきます。さらに、「歯が生え始める」ことによる不快感が夜間の睡眠を妨げ、泣くこともあります。同じころには、親と離れるのを怖がる「分離不安」も出始めるので、ひとりで眠るのを泣いて拒否するかもしれません。それ以降の赤ちゃんでも、体や心の成長が著しい時期であるがゆえの睡眠トラブルはよくあるものです。
とはいえ、赤ちゃんがもって生まれた気質はさまざまですし、心身の発達のスピードもその子によって異なります。また、日々の生活リズムや生活環境は家庭ごとに異なります。ですから、夜泣きをするようになるかどうかや始まる時期は赤ちゃんによって大きく異なります。
新生児の夜泣きは夜泣きじゃない⁉
新生児はまだ昼夜の区別がなく、逆転している子もいます。まだまとまって眠ることもできず、「1~2時間の覚醒」と「1~4時間の睡眠」を繰り返しています[*2]。
また、夜間に限らず、赤ちゃんの泣きは生後2~3週間から増え始め、生後1~2ヶ月ごろピークを迎えることがわかっています[*3]。
つまり、新生児が夜に泣きやまない場合は夜泣きというよりも、この時期は睡眠に関係なく泣きの多いことが関係しているのかもしれません。たまたま夜の起きているタイミングで泣きが始まった状態ということです。
昼夜の区別は低月齢のうちに徐々につき始め、生後2~3ヶ月ごろにはその区別がはっきりとして、生活リズムが整っていきます[*2]。
これって夜泣き? 夜泣きか見極めるには
では赤ちゃんが夜に泣いたとき、どうすれば夜泣きかどうかわかるのでしょうか。
おむつが濡れていないかチェック
まずはおむつが汚れていないかチェックして、お尻が気持ち悪くて泣いていないか確かめましょう。
寝言泣きの可能性も
赤ちゃんは寝言で泣くこともあります。このときに声をかけたり抱っこしたりすると、赤ちゃんを起こしてしまい、かえって泣かせることになってしまいます。
眠っていた赤ちゃんが泣いてもすぐには反応せず、泣き止むのを少し待ってみてください。突然大声で「ギャー」と泣くこともありますが、寝言泣きであればすぐに泣き止みます。
体調不良など他に原因があるかも?
体調不良やほかの原因で泣くこともあります。体調が悪く赤ちゃんがぐったりしているときは病院を受診してください。
お腹に空気が溜まっているのが苦しくて泣くことも、空腹で泣くこともあります。特に「生後2~3週間、6週間、3ヶ月ごろ」は赤ちゃんが急成長する時期[*4]なので、それまでの授乳量では急に足りなくなって空腹で泣くかもしれません。
そのほか、歯ぐずりやおむつかぶれ、服がきついなどの可能性もあります。また暑い・寒い、うるさい、明るすぎるなど環境に原因がないかもチェックしてみてください。
夜泣きはどれぐらい続く?
赤ちゃんが泣き続けていると、一体どのくらい続くのか、このまま泣かせていていいのか心配になりますね。
夜泣きが続く時間には個人差がある
赤ちゃんの夜泣きは個人差が大きいものです。抱っこをしたりおむつを換えたりするうちに泣き止んで寝つくこともありますが、中にはほぼ一晩中泣いてしまう子も。逆にほとんど夜泣きをしない赤ちゃんもいます。
夜泣きが止まないときの対処法
夜泣きが止まないときは、生後5ヶ月頃までの赤ちゃんの場合は、以下のような対処法を試してみてください[*5]。
(1)1~2分様子をみる
(2)おむつ、空腹、体調、室温など、泣く理由が見当たればそれに対処する
(3)「ねんねだよ」などと静かに声をかけてから、胸のあたりをトントンしたり、頭や手足をなでる
(4)泣き止まないなら、座ったまま抱っこしてみる
(5)まだ泣き止まないなら、抱っこして歩くなどして、ゆらゆら揺らす
(6)それでもダメなら授乳する
それぞれの段階は数分が目安です。あまり長時間粘って、最終的に抱っこや授乳での寝かしつけになると逆効果になることもあります。注意してください。
生後3ヶ月以降は、寝かしつけのためだけの抱っこや授乳は、上記の(1)~(3)でおさまらない場合に限って行うようにし、少しずつ控えていきましょう。生後6ヶ月以降は、夜泣きを根本的に解決するためには、生活習慣を整えた上で「ネントレ」が必要なケースもあります。
なお、何をやっても泣き止まないというときもあります。理由もわからず泣き続ける赤ちゃんの相手をするのは辛いですよね。イライラしたら、赤ちゃんが安全なことを確認してから、10~15分くらい、赤ちゃんから目の届く距離で少し離れてみましょう[*6]。赤ちゃんの相手は長丁場になることも多いもの。リフレッシュして親の気持ちを回復させることだって大切なことです。
ちなみに、夜泣きの対処法では、ベビーカーや車に乗せて外に出るという方法もよく聞きます。大人にも気分転換になり、実際泣き止むことも多いですが、本来夜は外出する時間ではありません。赤ちゃんには夜はベッドやお布団で過ごす時間だと教えてあげられるのが理想です。ですから、この方法は毎日の習慣にはしないように注意してください。
夜泣きはいつまで?何歳で終わる?
夜泣きはいつまで続くのか、終わる時期も気になりますね。
夜泣きは1~2歳で終わることが多い
夜泣きが終わる時期も個人差がありますが、1歳を過ぎると少なくなり、3歳過ぎにはほとんど見られなくなります[*7]。1~2歳が夜泣きのおさまる目安です。
何も対処しないと長引く可能性も
これまで説明してきたように、夜泣きは赤ちゃんの個性や心身の発達状況による個人差が大きいものです。
でも、赤ちゃんの睡眠習慣をできるだけ適切な状態に近づけるサポートはできます。「朝は決まった時間に起こす」「日中にたくさん体を動かす」といった生活リズム作りをしないでいると、睡眠が不安定な状態が続き、夜泣きが長引いてしまう可能性もあります。
赤ちゃんの生活リズムの整え方や寝かしつけ方のコツについて、詳しくは下記の記事を参照してください。
夜泣きを長引かせないために
空腹や暑い、寒いなどの理由ではなく、眠たくて泣き続けているだけなら「眠るまであまり構わずにしばらく様子を見る」のもひとつの方法です。
数々の研究から、こうした夜泣きにできるだけ構わないようにする方法は、一時的に悪化する場合もあるものの、何かする場合と比べて一番早く夜泣きが改善することがわかっています[*8]。
赤ちゃんが泣いても、寝言泣きの可能性もあるのですぐには反応せず、そのまま自力でまた眠りにつくかどうか少し待ってみましょう。それで泣きやまない場合も、眠い赤ちゃんをあまり刺激しないように、対応は最低限に心がけます。対応するとき、照明はなるべくつけないようにしましょう。
生後6ヶ月ごろになったら、赤ちゃんがひとりで寝られる練習として「ネントレ」を試してみてもいいでしょう。ネントレについて詳しくは下記の記事を参照してください。
まとめ
夜泣きが始まる時期や続く期間は個人差が大きいもの。ひどい子もいれば、ほとんどしない子もいます。一般的には6ヶ月~11ヶ月によくみられ、1~2歳で落ち着くことが大半です。いつまでも続くわけではないので、家族で交代して対応するなどして、この大変な時期を乗り越えましょう。また、夜泣き改善のために、朝起きる時間や日中の活動内容を月齢ごとに見直して、赤ちゃんが成長段階に合った生活リズムで一日を過ごせるようにサポートしてあげてくださいね。
(文:佐藤華奈子/監修:森田麻里子先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:子どもの心の健康問題 ハンドブック, 124p
[*2]厚生労働省:未就学児の睡眠指針
[*3]厚生労働省:赤ちゃんが泣き止まない
[*4]水野克己:これでナットク母乳育児, p.58, へるす出版
[*5]森田麻里子・星野恭子:医者が教える赤ちゃん快眠メソッド,ダイヤモンド社, 2020
[*6]教えて!ドクター 赤ちゃんが泣き止まない
[*7]厚生労働省:子どもの心の健康問題 ハンドブック, 124p
[*8]足立淑子:「ママと赤ちゃんが夜よく眠れるように」妊娠中からの親教育, 小児保健研究 第70巻 第2号,2011(147~150)
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます