小学3~6年生の4割以上が生成AIを日頃から使用、子どもに生成AIを使ってほしい保護者は6割を超える
文章や画像を自動で作り出してくれる生成AIが登場し、世の中に急速に普及しています。そうしたなか、子どもの教育という観点に立った時に、どう生成AIと向き合っていくべきかと悩む親もいるのではないでしょうか。そこで、小学生とその保護者の生成AIに対する意識を、ベネッセホールディングスが行った調査から見て行きたいと思います。
小学3年~6年の子どもとその保護者、1,032組に調査
小・中・高校生の向けの通信教育講座「進研ゼミ」などを運営するベネッセホールディングスでは、昨年7月に文部科学省が発表した「初等中等教育における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を踏まえて、この1年で小学生やその保護者の生成AIに対する意識に変化があったのかを探ることを目的に、「生成AIの利用に関する調査」を実施しました。小学3年生から6年生の子どもたちとその保護者1,032組が対象となっています。今回はその調査の中から、生成AIを「知っている」と回答した小学生233名と保護者542名に、生成AIについて詳しく尋ねた結果を見ていきます。
4割以上の子どもが日頃から生成AIを利用
ChatGPTなどの生成AIを子どもがどのくらい使っているかを聞いた設問では、「よく使っている」が16%、「時々使っている」が28%と、日常的に使用していると回答した子どもは44%でした。さらに、「試しに使ってみたことがある」26%を足すと、7割の子どもが生成AIの利用経験があることがわかりました。
なお、昨年の同じ調査と比べてもほぼ同様であり、この1年間では利用経験にあまり変化がないようです。
6割以上の保護者が子どもの生成AI利用に肯定的
子どもが生成AIを利用することについて保護者がどのように感じているのかを聞いた設問では、「積極的に使ってほしい」が14%、「少し使ってみてほしい」が52%で、子どもの生成AI利用に肯定的な意見を持つ保護者が6割以上いることが分かりました。ちなみに昨年の調査からは約10ポイントアップしています。
一方、「あまり使ってほしくない」20%、「まったく使ってほしくない」が4%と、否定的な意見を持つ保護者は24%でした。
子どもの生成AI利用に肯定的な理由
前問で子どもの生成AI利用に対して肯定的に考える理由には何があるのでしょうか。
「積極的に使ってほしい」「少し使ってみてほしい」と答えた理由として、最も多かったのが「新しい技術の活用力を養うよい機会になりそうだから」で、35%がこう回答しています。次いで「子どもが新しい興味に出会えそうだから」22%、「自分で考える力が伸びそうだから」13%が続いています。
子どもの生成AI利用に否定的な理由
では、子どもの生成AI利用に対して否定的に考えるのには、どんな理由が挙げられるのでしょう?
「あまり使ってほしくない」「まったく使ってほしくない」と回答した理由として最も多かったのが「自分で考えなくなりそうだから」で48%で約半数にのぼりました。そのほか、「自分で書いて表現することをしなくなりそうだから」が23%、「情報の正誤の判断がつかなさそうだから」「子どもにとって不適切な内容に出会ってしまいそうだから」がいずれも12%などとなっています。
「自分で考えなくなりそうだから」が生成AIに否定的な理由のトップにあがる一方で、肯定的な理由のひとつにも「自分の考える力が伸びそうだから」(13%)があるのは興味深いでしょう。
約9割の子どもは「生成AIを使いたい」
では、子どもたち自身の意向はどのようなものなのでしょうか。
子どもたちにどのくらい生成AIを使ってみたいかを聞いた設問では、「たくさん使いたい」が28%、「少し使ってみたい」が60%と、合わせて9割弱の子どもが「生成AI」の利用を肯定的に捉えているようです。
生成AIの活用方法、「好きなことを調べる時」がトップ
生成AIの利用に対して肯定的な回答をした子どもと保護者を対象に、どのような時に生成AIを使いたいかを聞いた設問を見てみます。
まず、子どもで最も多かったのが「好きなことについて調べる時」で54.1%、次いで「学習での疑問解決」48.3%、「調べ学習(自由研究など)での情報収集」44.9%が続いています。
一方、保護者も「好きなことについて調べる時」が最も多く51.4%、次いで「調べ学習(自由研究など)での情報収集」43.3%、「学習での疑問解決」42.7%が続いています。
子どもと保護者の回答に差が生じているものとしては、「文章を書いたりまとめたりする時(作文や読書感想文など)」で子どもの36.6%が使用を希望していますが、保護者は20.7%と16ポイント近くの開きがありました。また、「アイディアを探したり考えを広げたりする時」に関しては、子どもより保護者の方が割合が多くなっています。
使う時に大事なこと、プライバシーや情報の正確性が上位に
最後に、生成AIを使用する時に大事だと思うこととしては、どんなことが挙げられるでしょうか? 回答結果を見ると、子どもも保護者も同様の意見であることがわかりました。
各項目の中でも9割前後と特に割合が高かったのは、「個人情報は入力しない」と「正しい情報かどうかを確かめる」でした。前者は子どもが94.9%、保護者が88.9%、後者は子どもが90.5%、保護者が90.2%となっています。生成AIの利用における安全面への注意が特に重視されているといえます。
*数値は「とても大事だと思う」「まあ大事だと思う」の合計数
まとめ
業務効率化のためにChatGPTを導入する企業が相次ぐなど、利便性に期待が集まる生成AI。その利用が小学生の間にも広がっていることが、今回の調査結果で明らかになりました。それに対して保護者の大半は肯定的に考えているようです。一方で、子どもの思考力や表現力にマイナスとなるのではないか、と心配する親の意見も見られました。実際、生成AIは多様な活用が期待できる反面、誤情報の拡散やプライバシー、著作権の侵害といった懸念も指摘されています。今後も新しい情報が出されていくことが予想されますから、常に情報をアップデートしながら、生成AIと付き合っていくことが大切でしょう。
(マイナビ子育て編集部)
調査概要
■生成AIの利用に関する調査2024/ベネッセホールディングス
調査対象:小学校3年生~6年生とその保護者1,032組
調査期間:2024年6月24日~26日