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2026年04月04日 11:31 更新

【専門家が解説】「子どもの矯正歯科は手軽」の落とし穴! 親が知っておきたい小児の矯正歯科治療の正しい知識

2026年3月26日、日本臨床矯正歯科医会はプレスセミナー「小児矯正歯科トラブル ―歯科業界の課題と蔓延る誤解―」を開催しました。セミナーでは、副会長の大澤雅樹先生と会長の土屋朋未先生が登壇。子どもの歯並びや小児の矯正歯科治療に関する誤解やトラブルの背景、保護者が知っておくべきポイントについて解説しました。

小児の矯正歯科治療の相談は年々増加中。背景にある“誤ったスタート地点”

セミナーの冒頭で大澤副会長は、矯正歯科の専門家集団である同会の活動について紹介。5年以上の臨床経験と厳格な審査を経て入会が認められる全国組織であることを説明しました。

続いて示されたのは、厚生労働省のデータに基づく矯正歯科の患者数の推移。少子化が進む中でも、5〜19歳の矯正患者数は増加傾向にあることが明らかになりました。

歯科矯正の患者数

また、同会が設置する「矯正歯科何でも相談」には、年間250件前後の相談が寄せられており、小児の矯正歯科治療に関するものも多数あるといいます。大澤先生は相談が減らない背景として「最初に選んだ歯科医院が適切でなかった可能性がある」と指摘し、消費者の正しい知識と判断の重要性を強調しました。

「矯正歯科何でも相談」の相談推移

続いて登壇した同会の土屋会長は、近年の歯科業界の変化について言及。歯科医院の数はコンビニより多い一方、人口減少による患者の取り合いが激化。専門コンサルやメーカーの勧めによってビジネスモデルを見直し、「矯正歯科」「小児矯正歯科」を標榜する医院が急増している点や、「いとも簡単に歯並びを治せる」と思わせるような治療器具の広告が増えてきている現状について説明しました。

今だからこそ加熱する、メーカーやコンサルの勧め

さらに、「実は“矯正歯科”と看板を掲げるのに、専門教育は必須ではありません。歯科医師であれば誰でも標榜できるのです」と土屋先生。2025年の調査では、この事実を知っていた人はわずか2割にとどまり、矯正歯科治療を検討している多くの人が“専門の矯正歯科医”と“標榜医”の違いを知らずにいたことが明らかになりました。

小児の矯正歯科治療、よくある誤解

①「子どもの矯正歯科治療は簡単?」「早ければ早いほどいい?」

「子どものうちに矯正歯科治療を始めた方がいいと聞いたけど、大人より簡単なの?」「顎を広げれば歯並びは整う?」「子どものうちに整えれば、大人になってからの治療は不要?」——こうした保護者からの質問に対し、土屋先生は「すべてが“YES”とは限りません」と語ります。

矯正歯科治療は、相談→検査→分析→診断・治療計画立案→治療→保定という流れで進みます。

特に小児矯正(第一期治療)は、歯並びを整えることが目的ではなく、顎の成長をコントロールし、永久歯が正しく生えるための“土台作り”が主な目的です。

「成長期における子どもの矯正は、決して簡単ではありません。だからこそ、まずは信頼できる専門の矯正歯科医に相談してほしい」と土屋先生は語ります。

②「拡大装置で顎を広げれば安心?」

セミナーでは、拡大装置を使った治療に関する相談事例も紹介されました。例えば、乳歯列期から拡大治療を始めたものの、歯列が広がりすぎて上下の歯が咬み合わなくなったケースや、拡大治療を受けた結果、受け口が悪化してしまったケースなどが報告されました。

小児矯正に関する相談事例②

「拡大装置は、適切な診断と目的があって初めて効果を発揮します。見た目だけで判断して“今のうちに広げておけば安心”というのは危険です」と土屋先生は警鐘を鳴らします。

子どもが矯正歯科治療を始める“適切なタイミング”とは?

子どもの矯正歯科治療の開始時期は、一般的に前歯が永久歯に生え変わる6〜7歳ごろが矯正相談をするのに適したタイミングとされています。

まとめ

「早ければ早いほどいい」というわけではなく、成長の度合いや不正咬合の種類によっては、経過観察が適切な場合もあります。大切なのは、専門的な診断を受けたうえで、最適な時期を見極めることです。

保護者が知っておきたい「矯正歯科選び」のポイント

セミナーでは、保護者が矯正歯科を選ぶ際の注意点についても触れられました。特に重要なのは、以下の3点です。

①「矯正歯科」と標榜していても、専門教育を受けていない場合がある
②治療開始前に、必ず検査・診断・治療計画の説明を受けること
③相談=即治療ではない。納得してから治療を始めることが大切


「“相談したらすぐ装置を入れられた”という声が寄せられることもありますが、私たちは必ず検査と診断を経てから治療を始めます」と土屋先生。保護者が安心して矯正治療を受けさせるためにも、丁寧な説明と信頼できる医師選びが欠かせません。

まとめ

矯正歯科治療は、単に歯並びをきれいにすることが目的ではなく、成長に合わせて顎や口腔機能を整え、将来の健康な噛み合わせを育むための医療です。成長期の矯正には多くのメリットがある一方で、誤ったタイミングや方法で始めてしまうと、かえってトラブルを招くこともあります。

同会の公式サイトでは、保護者の不安や疑問に応えるため、「矯正歯科何でも相談」を設置しています。子どもの歯並びや矯正に関するお悩みがある人は、ぜひ一度公式サイトをのぞいてみてはいかがでしょうか。

日本臨床矯正歯科医会
https://jpao-sm.org/

(取材・文/マイナビ子育て編集部)

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