500キロ離れた産地が共鳴。「宝石のまち」甲府と「めがねのまち」鯖江が手を組んだ理由――TGC発、地方創生の新モデル
4月8日から4月10日までアイメッセ山梨で開催された『山梨ジュエリーフェア2026』にて、初日となる8日、「甲府×鯖江×W TOKYO 連携協定締結式」が行われました。それぞれがコラボして取り組む『「つくる」プロジェクト』についての展望が明かされました。
TGCでブレイクした「宝石のまち」甲府と「めがねのまち」鯖江
ものづくり産業の発展を志し、かねてよりタッグを組む「宝石のまち」山梨県甲府市と「めがねのまち」福井県鯖江市ですが、両自治体には共通点があります。
それは、W TOKYOが運営する「東京ガールズコレクション」をプラットフォームに、若者への認知度向上を目的としたプロモーションに取り組んできたこと。三者はこれまで、持続可能なものづくり産地の実現に向け、密にかかわってきました。
そんな三者と各市商工会議所を含めた五者が、『山梨ジュエリーフェア2026』開催初日の4月8日、連携協定を締結しました。
連携協定の概要は、「『つくる』をテーマに課題解決に取り組み、連携して取り組むことで相乗効果を期待し、未来を担う若者に積極的な情報発信を行うことで、産業と若者を軸とした地方創生の新たなロールモデルとなるよう取り組んでいくこと」だといいます。
それぞれ締結書に署名をしたのは甲府市長の樋口雄一氏、鯖江市長の佐々木勝久氏、株式会社W TOKYO代表取締役社長村上範義氏の代理である同社地方創生管掌で株式会社TGC Social lab代表取締役の田嶋康弘氏、甲府商工会議所会頭の野口英一氏、鯖江商工会議所会頭の加藤団秀氏です。
署名後、甲府・樋口市長から鯖江市との関係について「それぞれの地域が誇る『ものづくり』の強みを生かし、地方創生のロールモデルを目指すことを昨年9月の東京ガールズコレクションで発表した」と説明がありました。
今回はそんな鯖江市のほか、「甲府市商工会議所、鯖江市商工会議所、そして東京ガールズコレクションを運営するW TOKYOを加えた五者で、それぞれが持つ知見と力を集結し、地方創生を推進していく」と誓います。連携締結したことにより、「両市の地場産業の発展がよりたしかなものとなり、地域の魅力向上と経済の活性化に繋がる大きな一歩を踏み出した」と話しました。
具体的には、甲府市は「宝石のまち」、鯖江市は「めがねのまち」、というブランド価値をさらに高めながら、「産業が抱える担い手不足や魅力発信の課題解決を図り、関係人口の拡大に繋げたい」という目的があるといいます。
一方で鯖江・佐々木市長はW TOKYOとのかかわりについて、2009年に初出展した東京ガールズコレクションがきっかけとなり「全国どこに行っても『鯖江と言ったらめがねだね。福井と言ったら鯖江だね』と言っていただけるまちに、なんとか成長することができた」と振り返り、「W TOKYOさんがお持ちのすばらしい発信力に乗せていただき、私たちの『めがねのまち 鯖江』が出来上がったと言っても過言ではない」と話します。さらに2023年からは、芸能事務所LDH JAPANとコラボした「めがねのまちさばえ応援プロジェクト」を立ち上げたそうです。
そして昨年から連携を深めてきた甲府市との関係について「奇跡」と表し、「私どものまちは6万7,000人ほどのたいへん小さなまちですが、人口減少や若者の流出に非常に苦慮しているところです。これが進むと産業の衰退にも繋がりますし、後継者問題や事業継承問題ということにも繋がります」という課題が、連携締結を結ぶ背景になったといいます。
見据えるのは「世界」。「日本全体を取り戻していくひとつのステップになるのでは。私たちの取り組みが、地方創生のロールモデルになっていくと確信しています」と力強く語りました。
続いて甲府商工会議所の野口会頭が、「500キロ離れたところとの連携は極めて珍しいし、楽しみ」と期待感をあらわにし、鯖江商工会議所の加藤会頭から両市の共通点を紹介。「鯖江には約300のめがねファクトリーがあり、それぞれネジ1本などパーツごとにさまざまな工場で作っているのが、さばえのめがね」だという一方で、甲府市との交流により「宝石も同じだ、と聞きまして。まさに似た者同士。いいとこどり」と、相乗効果を期待します。
地方の“ものづくり”が総インプレッション40億超え
最後に、W TOKYOの田嶋氏が「(両市の)仲人役」と自己紹介し、東京ガールズコレクションについて「ファッションイベントというイメージをお持ちかと思いますが、ひとつのプラットフォームとしてさまざまなものを発信したり、体験の価値を作ったり」する場であると解説。その効果は圧倒的で、甲府市も参加した今年3月のステージのオンライン配信視聴者が「約500万人で、SNSの総インプレッションは40億を越える」だといいます。
そんなW TOKYOは現在まで、50以上の自治体と地方創生プロジェクトを進めてきたといい、甲府市と鯖江市も「ものづくりという文脈でかかわってきた」と話しました。
今回の連携には相乗効果を期待しているといい、「地方産業のプラットフォームになるような役割を東京ガールズコレクションが果たしていきながら、相乗効果を生めるような取り組みをしていきたい」と意気込みを語りました。
今後はどんな展開があるのでしょうか。
樋口市長は、甲府市には宝石のほかに「ワインの産地、フルーツ王国という側面もあり、地場産品を広く発信することで、これからの担い手である次世代に主役になってもらう、そういったことが可能な連携協定だと思う」「そのファーストランナーである、メガネのフレームシェア9割を超える鯖江市さんと密な連携を組ませていただいたことで、私たちのポテンシャルが上がる」と期待を寄せます。
一方の佐々木市長はこれからの展開について「言えないことがいっぱいある」といい、連携協定の締結によりいっそう胸ときめくコラボが行われるのではないかという期待感が高まりますね。
両市と東京ガールズコレクションとの取り組みから、目が離せません。
(取材・文 有山千春)
