共働き夫婦 共働き夫婦
掲載
2026年10月02日 10:31
更新
2026年10月02日 13:29

育休は一度に取らなくていい? 会社員兼ショップライダーの父親が選んだ“4分割育休”のリアル #男性育休、取ったらどうなった?

育児休業を経験したパパに話を聞くインタビュー連載「男性育休取ったらどうなった?」。今回は、総合ショッピングサイト「au PAY マーケット」の運営会社で営業として働く一方、スノーボードのショップライダーとしても活躍中というアクティブパパが登場。本人曰く、「多忙で多動な」パパ育休のリアルと両立の工夫を伺いました。

パパが4回に分けて育休を取得した中田ファミリー

今回のパパ
中田 将生さん(仮名)/34歳/auコマース&ライフ株式会社 MD推進本部ストア営業部所属

●ご家族
妻:美里さん/35歳/保育園・園長
長女:七菜ちゃん/4歳
次女:実菜ちゃん/1歳
※ご本人とご家族のお名前は仮名です。

●中田家のパパ育休
2025年夏〜2026年冬にかけて、育休を計4回取得。帝王切開後の妻のサポート、長女のケアなど、家庭のサポートが必要な時期に合わせて、それぞれ1〜2週間の休業を取得した。中田さん自身は総合ショッピングサイト(au PAY マーケット)を運営する「auコマース&ライフ」で営業として働きながら、スノーボードのスポンサー企業を持つ現役のライダー(ショップライダー)としても活躍中。

パパの在宅勤務の日のタイムスケジュール(現在)

■「第一子の時は育休取得されていませんでしたよね?」

── 中田さんが今回、育児休業を取得しようと決めた背景を教えてください。

中田さん  妻が第二子を妊娠したと分かった瞬間から「上の子(当時3歳)を見ながらの新生児のお世話は、どう考えても妻一人では手が回らない」という思いが夫婦の間にありました。ただ実際、産後にどうするかは具体的には決まっておらず……。
きっかけとなったのは、出産祝い金の申請でした。弊社では子どもが誕生する際に一律のお祝い金を受け取ることができるのですが、妻の妊娠中に申請したところ、労務の担当者から連絡をいただいたんです。そこで「中田さん、第一子の時は育休を取得されていませんでしたよね。育休制度や分割取得についてご存じですか?」と、個別のオンラインミーティングをセッティングしてくれました。
会社に男性育休の取得事例が多いのは知っていましたが、私自身は少し抜けているところがあって、当時は男性育休について知識が追いついておらず……(笑)。その個別MTGで「制度がこう活用できますよ」「こういう分割取得のやり方がありますよ」とゼロから手取り足取り丁寧に教えていただくことができ、本当に助かりました。教えてもらった情報をすべて妻に伝え、夫婦の話し合いの結果、育休を取得することを決めました。

── 会社全体として、男性の育休取得を後押しする土壌があったのですね。

中田さん まさにウェルカムな雰囲気でした。私の所属するauコマース&ライフは、2025年度の男性育休取得率は100%を達成しています。上司やチームメンバーに4分割で取得したい旨を相談した際も、嫌な顔ひとつされず「子育て、しっかり頑張ってこいよ!」と笑顔で温かく送り出してもらえました。

「定期的に長女と2人で出かけています。この写真は最近あらかわ遊園へ遊びに行った時のもの。初めて自分よりも大きな動物に触ってご機嫌でした」(中田さん)

■妻の負担の波に合わせた「4分割取得」の絶大な効果

── 中田さんが育休を一括ではなく、「4分割」で取得されたのは、どのような理由からですか?

中田さん  妻の体調や子育ての状況に合わせて取得するほうがいいと考えたからです。結果として、家族にとっても仕事にとっても大正解でした。長期間職場を離れるわけではないので、1回の離脱期間が1〜2週間程度で済みます。そのため業務の引き継ぎのハードルが非常に低く、顧客や同僚への影響を最小限に抑えながらスムーズに対応できました。

── 具体的にはそれぞれいつ取得されたのでしょう?

中田さん  まず1回目は妻の入院中と帝王切開で傷ついた身体の回復をサポートするために、夏の出産前後に取得しました。そして秋冬に2回目と3回目を取りましたが、それは主に長女のメンタルケアのためでした。そして、4回目は妻の復職の直前に取得しました。

── 育休を取得して良かったですか?

中田さん もちろんです。私は会社員として働く傍ら、実はスノーボードのショップライダーとしても活動しています。その影響でとくに冬場はイベントや大会、レッスンなどで土日の予定が埋まりがちになります。
「土日にパパが不在になる分、平日にしっかり家にいて家庭を支えてほしい」という妻からのリクエストもあったので、とくに冬の時期に平日しっかり家庭に取り組めたことは本当に良かったなと思っています。

「娘たちをパパ・ママ、2人で寝かしつけした際の一枚。寝相も同じで、姉妹だなーって笑いました!」(中田さん)

■パパっ子大作戦!長女と2人きりで過ごした最高の夏休み

── 1回目の育休(約2週間)は、美里さんの出産と重なるタイミングだったとのことですが、どのように過ごされましたか?

中田さん  妻が帝王切開での出産だったため、入院中の約1週間強は、私と当時3歳の長女の完全な「2人暮らし」でした。
当時の長女は完全に「ママっ子」だったんです。賢い子なので「ママは赤ちゃんを産みに行くんだよね。頑張って」と頭では理解しつつも、パパと2人きりで過ごすことに少し不安そうな表情を見せていて……。「よし、この期間にパパにしかできない体験をさせて、パパっ子に変えてやろう!」と心に決めました。

── どんな作戦を決行したのですか?

中田さん とにかくアクティブに外へ連れ出して思いっきり遊びました。 遊園地に連れて行ったり、大きな公園へ行ったり、ボウリングに連れて行ったり。
私自身、幼少期から水泳をやっていてジュニアオリンピックに出場した経験があります。なので、夏場の市民プールに連れて行って、遊びながら泳ぎのコツを教えてあげたりもしました。
娘はとても喜んでくれていました。「ママには内緒のパパとの秘密だよ」なんて言いながら2人で絆を深めたあの時間は、私にとっても娘にとっても一生の宝物になりましたね。
退院後は妻が帝王切開の術後の痛みで起き上がるのもやっとの状態だったので、私が家事全般と長女の食事・身の回りの世話をすべて担当し、妻には次女への授乳と身体の回復に専念してもらいました。

「大好きなサイゼリヤでテンションMAXの長女。2人にご飯を食べさせるのはパパの仕事。次女が暴れるのを抑えつつ、頑張りました!」(中田さん)

■15分寝かしつけの極意と「1日1笑い」

──復職後の家庭の関わり方を教えてください。  

中田さん 基本的に19時以降は残業をせずピタッと業務を切り上げるようにして、娘たちと過ごす時間をしっかり確保しています。弊社は下の子が小学校一年生になるまで週1出社で週4日はリモートできるので、助かっていますね。夜は私が寝かしつけをすると、いつも15分くらいで寝てくれます。

──それは早いですね! どんなコツがあるんですか?

中田さん 音楽と抱っこの組み合わせです。長女のときは新生児の頃から私の大好きなMY FIRST STORYの『I'm a mess』を、次女には今流行りのM!LKの『好きすぎて滅!』を子守唄として聴かせています。
立って抱っこしながらその曲を流すと、1曲終わる頃にはスッと眠りに落ちてくれます。娘2人を順番に抱っこして、1人あたり約7〜8分、2人合わせても15分以内で寝かしつけが完了します。上の子は自分で布団で寝ることも増えましたが、まだまだ抱っこも嬉しいようです。

── 日頃、お子さんたちと接するときに意識されているモットーはありますか?

中田さん 娘だけではありませんが、家族に対して、「1日1笑い(いちにち・ひとわらい)」を絶対に起こすことをマイルールにしています。「毎日必ず1回は全力で笑わせるぞ」と決めていて、帰り道に「今日はどんな手で笑わせてやろうか」と本気で考えているくらい(笑)。
次女はまだ1歳なので、高く持ち上げてタカイタカイをしたり、くすぐったりすればキャッキャと喜んでくれます。一方で、4歳の長女はちょっとしたおバカなボケが大好きなお年頃なので、わざとズボンをTシャツのように頭から被って「あれ〜? 着られないぞ〜?」と真顔でとぼけてみたり、丸めたティッシュを鼻息で「フンッ!」と飛ばしてみせたり。
ちなみに、妻が大好きなアイドルのモノマネを家で披露して、妻からも笑いを取っています。「全然似てない!」と容赦なくツッコまれますが、それでも笑ってくれるので家庭内は常に明るいです(笑)。

「シルバニアファミリーにハマっている長女。暇な時間を見つけては一人で遊んでおり、パパが入ろうとすると怒られます」(中田さん)

■「良き指導者」で圧倒的に器が大きい妻

── 寝かしつけが終わったあとはどうされるのですか。

中田さん 妻は仕事と園長業務で体力を使い果たしているので、子どもと一緒に21時半には寝てしまいます。
私はじっとしていられない性格で、家の中でウロウロしているとうるさいらしく、妻から「やるべき家事を全部やってくれたなら、夜は自由にしていいよ!」と公認をもらっているんです。だから、夜な夜な大好きな車のメンテナンスをしたり、時には友人に会いに出かけたり。もちろん、翌朝7時にはきちんと起きて子どもの朝食を作りますけどね!
週末も、日曜日には趣味の草野球を2時間ほどやらせてもらい、その前後は家族と過ごします。その代わり、妻が美容室などに行くのも自由ですし、「大好きなアイドルのライブに行きたい!」というときは、私が喜んで丸一日ワンオペを引き受けます。お互いに自分の好きな時間を尊重し合えているので、ストレスが溜まりません。

──中田さんのお話を伺っていると、ご夫婦の信頼関係が本当に素晴らしいですね。

中田さん 妻には本当に頭が上がりません。妻は保育園の園長という責任ある役職を務めていますが、家庭内でも最高の「良き指導者」であり、人間としての器が圧倒的に大きいんです。

自分が若い頃から野球や水泳、スノーボードなどスポーツばかりやってきて、少しやんちゃした時期もありました。でも、20代半ばで年上の妻と出会ったとき、これまでのお付き合いしてきた人たちとは価値観がまったく違いました。「生きて無事に帰ってきてくれるなら、何をしていてもいいよ」と、私を完全に信頼して束縛を一切しなかったんです。

── 今の中田さんがいるのは、美里さんの影響が大きいんですね。

中田さん 妻のおかげです。私が子どもっぽい性格なので、妻は「扱いやすい」と言っていました(笑)。「褒めたら、想定以上のことを頑張ってくれる」と……(笑)。

── もともと家事が得意なタイプではなかったんですか?

中田さん 結婚して10年くらいですが、昔は家のことに関しても「歯磨き粉が切れてるよ」「トイレットペーパーがないよ」と口で指摘するだけの無頓着なタイプでした。でも妻から「気づいた人間がやればいいんじゃない?」とサラッと言われてハッとしたんです。「確かに、自分がその場で替えれば数秒で終わる話だ」と気づかされ、そこから行動が変わりました。
今では、洗濯物を畳みながら「あ、長女の肌着が小さくなってるな」「靴下やオムツが減ってきたな」と自然に気づいて、言われる前に自分で買い足しておくようになりました。妻から「買ってきてくれたんだ、ありがとう!」と感謝されることもさらに増え、夫婦の絆は2人目が生まれてから間違いなくさらに良くなりましたね。

「娘たちの保育園のお祭り行事で長女のダンスを観覧しました。大きな音で鳴る音楽に次女はびっくりして、私のシャツをギュッとしてました(笑)」(中田さん)

■出産の過酷さを知り、奥さんを心から労ってほしい

── 育児の経験は、お仕事にも活きていますか?

中田さん 活きていますね。弊社が運営している「au PAY マーケット」への新規出店を開拓する営業において、企業の代表者の方々と商談する際、子育ての話題は最高のアイスブレイクになります。
さらに「米粉でできた口に入れても安全な粘土」「真ん中からワンタッチで開く授乳用下着」「すらっと見える機能的なマタニティウェア」など、リアルに家庭で役立った育児グッズの知見が身についたことで、ベビー・キッズ用品やアパレルを扱う企業様に対して、生活者目線での深い提案ができるようになり、実際の成約実績にも繋がっていますね。

── 最後に、これから男性育休を検討しているご家庭にメッセージをお願いします。

中田さん 世の男性の中には、出産という出来事の「本当の過酷さ」をまだ想像できていない方が少なくないと個人的には思います。正直に言えば、第一子のときは私もコロナ禍で立ち会えず、あまり想像できていませんでした。
でも、下の子が生まれて帝王切開の術後に麻酔が切れ、激痛と吐き気でベッドから身動き一つ取れず「きつい……」と絞り出すように呟く妻の姿を目の当たりにしたとき、「こんな命がけの思いをして我が子を産んでくれたんだ」と心の底から衝撃を受けました。もし男性が同じ痛みを味わったら、気絶してしまうんじゃないかと思います。
これから子どもの誕生を迎えるパパたちには、ぜひ産院の新生児室に並ぶ赤ちゃんたちを見てきてほしいんです。「ここにいる赤ちゃんと同じ数だけ、命がけで命をつないでくれたお母さんたちがいる。その中の1人が自分の妻なんだ」ということを、ぜひ想像してみてください。
きっと育児を「きつい」「だるい」と義務感で捉えるのではなく、命がけで頑張ってくれた奥さんを全力で労い、支えられると思います。
そして、限られた子どもの幼少期をパパ自身が全力で楽しむ! 1週間でも1ヶ月でも、まとめてでも、分割しながらでもいい。ぜひ一歩を踏み出して、家族を支えるかっこいいパパになってください!

(取材・文:江原めぐみ、イラスト:ぺぷり)

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-