【医師監修】妊娠29週にしておきたいことは? 胎児の成長と注意点
妊娠28週以降は「妊娠後期」と呼ばれています。今回は、妊娠8ヶ月の2週目である妊娠29週にスポットを当て、この時期に起こる赤ちゃんや体の変化のなどと注意点、また、この時期にやっておくとよいことについてお伝えします。
妊娠29週ってどんな時期?
赤ちゃんがぐんぐん大きくなってくる
妊娠29週の赤ちゃんの平均体重は1,313gです[*1]。出産時には体重は2,500~4,000gになるので[*2]、このあと出産までの約10週の間に赤ちゃんの体重は2倍~場合によっては3倍にも増えることになります。赤ちゃんがぐんぐん大きくなっているということを実感する数字ですね。
赤ちゃんの変化
この時期の赤ちゃんはほとんどの臓器が完成に近づいています。手の爪がのびてきたり、まぶたができたりと細部も成長しており、ママの体の外に出ても自力で呼吸出来るよう肺の準備も着々と進んでいます。また、29週から出産に向けて、赤ちゃんは皮膚が厚みを増す時期で、脂肪や筋肉もどんどん増えてくるのです。
ママの変化
29週になるとお腹が大きくせり出してきます。しゃがむのがつらくなったり、靴ひもを結ぶのが難しくなります。階段などでは、お腹がじゃまになって足元が見えにくくなりますから、手すりを使うなど、十分に注意しましょう。
また、体重もどんどん増えてきます。普通の体型(BMI18.5以上25未満。BMI=体重kg÷身長mの2乗)の人では、妊娠期間を通じて、7〜12kgの体重増加が適当とされており、この時期の毎週の体重増加は0.3kg~0.5kgにもなります[*3]。
あまり急激に体重を増やすのは母体にも赤ちゃんにもよくなく、体重の増加を気にする妊婦さんは多いと思います。ただ、極端に食事制限するのも同様に良くありません。妊娠後期には1日の摂取エネルギーを、妊娠前に比べて450kcal増やすことが推奨されています(妊娠前のエネルギー摂取量の目安は成人女性では一日2,000kcal程度です/身体活動レベル「ふつう」の場合)[*4]。これを目安に、あまり神経質になりすぎないで、注意していくようにしましょう。
妊娠29週にしたい2つのこと
育児グッズをそろえる
お産になってあわてないように、この時期になったら必要な育児グッズをリスト化しておきましょう。何が必要か、何が足りないかがひと目で分かって便利です。すべてを買いそろえなくても、ベビーベッドのように使う期間が限られているものはレンタルすることも選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
育児グッズには、母乳・ミルクグッズ、おむつ関連、お風呂用品、ベビーベッド・寝具、お出かけ時に便利なもの、赤ちゃんウエアなどがあります。赤ちゃんが生まれると、親戚や産院からギフトでもらうこともあります。今ではネットショップを含めて、多様な手段で買い物ができますので、家にいながら少しずつ準備しておけると良いですね。
そろそろバースプランを決めておこう
あなた自身がどのようなお産をしたいのか、バースプランとして書き出してみましょう。お産には誰が立ち会うのか、無痛分娩を選択するかなど、お産に向けてのポイントを書き出してみましょう。出産後赤ちゃんと同室で過ごしたいとか、自然な分娩がしたいなど、あなたのお産に対する希望も書き出してみましょう。
ただ、「どう産むか」より大切なのは「ママと赤ちゃんの命を守るお産」であること。希望がある程度まとまってきたら、そのバースプランを考慮して施設を選びましょう。出産の施設には、産婦人科診療所、周産期専門病院、総合病院、助産院などがあります。一生に何度もあることではないので、できるだけ後悔のないよう、情報を集めて考えるようにしましょう。
妊娠29週の注意点2つ
このころは羊水の量がピークになるころ。羊水は赤ちゃんの肺の成長を助けたり、外部からの衝撃をやわらげる、赤ちゃんの動けるスペースを確保して筋肉や骨の発達を促す、といった働きがあります。
このころの羊水は、そのほとんどがなんと赤ちゃんのおしっこでできています。赤ちゃんは自分のおしっこからできた羊水を飲み込んで、またおしっことして出しているのです。といっても飲み込んだ羊水中の老廃物はへその緒を通じてママの体に運ばれるので、羊水に老廃物は含まれません。ご安心を。
羊水の量は妊娠30週前後に800mL程度と最大になり、妊娠40週をすぎたころから出産まで間に少しずつ減っていきます[*5]。ほとんどの妊婦さんでは心配ありませんが、ときに羊水の量に異常のみられることがあり、それには以下のような状態があります。
羊水過多
妊娠の時期を問わず羊水量が800mLを超える場合は羊水過多とされます[*5]。羊水の量はかつてはお腹に穿刺して調べていましたが、今ではお腹の上から超音波検査をして推測します。羊水過多では、急激な子宮や腹囲の増大、体重増加、呼吸困難、頻尿などの症状が出るようになります。子宮底長が大きな場合は羊水過多の疑いがあります。
原因は赤ちゃんがおしっこを過剰に出してしまうこと、羊水があまり飲めなくなってしまうこのといずれか、または両方です。また、お母さんの糖尿病から引き起こされることもありますが、原因が特定できないことも少なくありません。軽度・中度の場合は自然に治ることもよくあります。程度によっては羊水を抜く治療が行われます。
羊水過少
羊水が100mL未満の場合は羊水過少と診断されます[*5]。この場合も、超音波検査により羊水の量を推測します。
羊水過少の原因には、お母さんの妊娠高血圧症候群、膠原病など、赤ちゃんの腎臓や尿排出機能の障害、胎児発育不全などがあり、胎盤の異常によっても起こります。羊水過少も原因がわからない場合がよくあります。妊娠後期の羊水過少は前期破水や胎盤機能が落ちていることが原因となっている場合が多いと言われています。
これまでに引き続き、2週に一回の妊婦健診を欠かさず受け、異常があれば早期に見つけてもらうことが大切です。
まとめ
妊娠後期になると、いよいよ出産も間近になります。今後、どんどん大きくなるお腹を大切にしながら、体調管理にはより⼀層気を配っていきましょう。妊婦健診は妊娠24週(妊娠7ヶ月)からは2週間に1回、36週(妊娠10ヶ月)からは毎週となります。欠かさずに健診を受けるようにしましょう。
(文:館野公一/監修:齊藤英和先生)
※画像はイメージです
[*1]正常妊娠の管理, 日産婦誌, 2011. N96
[*2]病気がみえるvol.10 産科 第3版, p392, メディックメディア, 2017.
[*3]厚労省 妊娠前の体型を考慮した望ましい体重増加量 を考慮した望ましい体重増加
[*4]「日本人の食事摂取基準 2015 年版」(厚生労働省)
[*5]病気が見える産科141p
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます