妊娠34週のママの変化・赤ちゃんの発育まとめ「34週の壁」って?今やるべき7つのこと【医師監修】
妊娠34週目はおなかの赤ちゃんの平均体重が2,000gを超えてくるころです。肺の機能が完成し、赤ちゃんは外の世界でも自力で呼吸ができるようになりますます。とはいえ、このころの出産はまだ早産にあたり、避けたいもの。無理をせずに過ごしつつ、入院の準備など万が一の事態にも備えておきましょう。
妊娠34週ってどんな時期?
赤ちゃんの平均推定体重は2,156g[*1]。この頃の赤ちゃんの体重は一週間に150g前後増えていくので、ママの体への負担感は今まで以上に増していきます。引き続きできるだけ無理をしないようにしましょう。
妊娠34週に体内で起きる変化
赤ちゃんの変化|肺の機能が完成! ただしまだ早産の時期
この時期には全身に皮下脂肪がつき、老人のようにしわだらけだった顔にも丸みが出てきます。また、皮膚をおおっていた産毛が減り、肌の色は半透明から赤ちゃんの肌色に近づいてきます。赤ちゃんはママのお腹のなかで睡眠と覚醒をくりかえしており、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の区別もあります。
このころには肺サーファクタントという、ヒトが肺呼吸をするために必要な物質が十分に分泌されるようになり、肺の機能が完成します。もしこの時期に生まれたとしても赤ちゃんは自力で呼吸ができるため、生存率は正期産(37週以降42週未満)で生まれた場合とほぼ変わりません。
早産児の中でも生まれる時期によってそのリスクは異なります。早く生まれるほど健康上のリスクが高く、34週以降で生まれた場合は問題なく育つ確率が高くなるのです。これを「34週の壁」と表現する人もいるようです。
ただ、新生児期の合併症などのリスクが正期産児に比べると高いため、この時期の出産もできるだけ避けたほうが良いとされています。
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早産と正期産について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎切迫早産とは?なりやすい人の原因と症状
関連記事 ▶︎正期産はいつから?出産を控えて知っておきたい4つのこと
ママの変化|胎動で肋骨周辺が痛むことも
どんどん成長が進む赤ちゃんの重さに耐えきれず、 腰痛に悩まされる妊婦産も多くいます。坐骨神経痛はおしりから太ももの後ろ、ときには膝下まで痛みが走り、歩くのも困難になることがあります。これは、腰から足先まで伸びる坐骨神経が大きくなった子宮に圧迫されるなどして起こります。
肋骨の周辺などが痛む肋間神経痛が起こることもあります。妊娠後期になり、お腹の中が狭くなった赤ちゃんが手足を肋骨の下あたりまで伸ばすことにより起こる痛みです。赤ちゃんの位置が変わると痛みはなくなりますが、胎動次第ではママは呼吸ができないほどの痛みを感じることもあります。
むくみで手足がしびれたり、靴が入らないこともあります。幅広の靴や、歩きやすい運動靴を選ぶようにしましょう。
妊娠34週に必要な7つのこと
1. 無理せず過ごす
この時期は、頻尿や尿漏れ、動悸など、さまざまなマイナートラブルに悩まされます。お腹の中で急速に育つ赤ちゃんを大切にするために、日頃から無理のない生活を続けるのはもちろん、何か変化があったとき、大丈夫かなと思うときは、まずは電話で状態を話すなど、遠慮せず医療機関に相談するようにしましょう。もちろん、2週間に1度の妊婦健診は必ず受けましょう。
2. 産休・里帰りに際し、手続きなどを再確認する
あとひと月と少しで出産予定日を迎える妊娠34週。出産の準備で忘れていることはないか、再確認しておきましょう。
出生届、乳幼児医療費助成、児童手当、健康保険
出生届は生まれた日を含めて14日以内に、パパ、ママ、同居者などが出生地、本籍地または届け出た人の所在地の市区町村役場に届け出ます。乳幼児医療費助成や児童手当も申請窓口は同様に地方自治体ですので、事前に一度、住所のある自治体のホームページなどで手続きについて確認をしておきましょう。
また、生まれた子は両親どちらかの扶養として健康保険に加入することになります。国民健康保険なら自治体で、それ以外は勤務先の健康保険組合や共済組合での手続きになります。申請方法を事前にチェックしておきましょう。
産休・育休、出産手当金、出産育児一時金、休業中の税金、里帰り時の移動準備
このころにはそろそろ産休(産前休業・産後休業)に入るママもいるでしょう。産前休業は産前6週間(予定日を含めて42日間、双子以上なら14週間)、産後休業は産後8週間(出産の翌日から56日間)です。産休後に育児休業を申請する場合も、勤務先での手続きが必要なので、仕事の引き継ぎとともに手続きについて確認しておきましょう。なお、育児休業の申出期限は、法律で休業開始予定日の1か月前までと定められています。
産前産後休暇が無給の場合、健康保険組合から休業1日につき、日給の3分の2相当額の「出産手当金」が支給されます。これは健康保険組合に申請しますが、職場で手続きができます。
「出産育児一時金」は仕事を持つ・持たないにかかわらず、加入している健康保険組合から出産費用の一部(2019年で42万円まで)が支払われます。受け取り方法により手続きは異なります。医療機関に直接支払われるのでママは出産費用と出産育児一時金との差額だけを支払えばよい「直接支払制度」を利用する場合、医療機関に保険証を提示・代理契約を結びます。健康保険組合への事前申請は不要です。
一方、直接支払制度を導入していない小規模な医療機関で出産予定でも直接支払制度同様、差額の支払いだけで済む「受取代理制度」を利用する場合は、健康保険組合への事前申請も必要です。この場合、予定日の2ヶ月前を過ぎたら、医師の証明のある申請書を健康保険組合に提出します。
なお、上記のように医療機関に出産育児一時金が支払われることを希望しない場合は、産後になってから健康保険組合に申請したうえで支給を受ける方法もあります。
産休・育休中の住民税の支払い法、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の支払いの免除申請についても、職場で説明してもらいましょう。
里帰り出産の場合、産休に入るタイミングの34~35週に移動する人が多いでしょう。移動のときに体に負担がかからないよう、休憩をしながら余裕を持って移動できるよう計画をたて、交通機関の座席指定なども済ませておきましょう。
3. 前期破水に注意する
前期破水とは陣痛が始まる前に破水することです。前期破水は、
・子宮内の細菌感染や羊水過多や多胎妊娠などで子宮の壁が過度に伸びること
・子宮頸管の異常
などにより引き起こされると考えられています。
妊娠後期には水っぽいおりものの量が増えたり、膀胱が圧迫されたりして尿漏れをすることもあるため、これらと前期破水を間違えることもあります。ちょろちょろと水分が流れ、止まらないときは、尿漏れでなく前期破水の可能性があるので、かかりつけ医を受診しましょう。
なお、通常、腟内は酸性に保たれていますが、破水の場合はアルカリ性の羊水が腟内に流れ込んでいるので、成分を調べればだいたいの場合は診断がつきます。破水ならば9割が24時間以内に陣痛がくるとされており、そのまま入院になります[*2]。
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破水について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎破水とは?早期破水・前期破水の違い&主な2つの原因と症状
4. 早産の兆候を見逃さない
切迫早産とは、子宮収縮(お腹のはりや痛み)が規則的に、何度も起こり、子宮の出口(子宮口)が開いて赤ちゃんが出てきそうな状態になることです。お腹の張り、痛みが続くときはかかりつけ医を受診しましょう。
切迫早産と診断されたら、医師の指示に従い、いつもよりは少し安静にして過ごしましょう。
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切迫早産について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎切迫早産とは?なりやすい人の原因と症状
関連記事 ▶︎子宮頸管が短い場合の早産との関係と対策
5. 腰痛対策をしよう
①背中を壁に密着させて立つ
②腰のくびれのところを壁に押し付けて息を吸いこむ
腰痛対策で代表的なのが「キャットストレッチ]で、ヨガの猫のポーズと同じです。
① 四つん這いになって背中をまっすぐにのばす
② 息を吐きながら、おへそを見るようにして背中を丸める
③ ゆっくり息を吸いながら背中を反らせる
湿布は妊娠後期には使ってはいけないものがあるので、自己判断せず、医師に相談してください。
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妊婦の腰痛対策について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊婦の腰痛の原因と4つの対処法!効果的なストレッチとは?
関連記事 ▶︎臨月のひどい腰痛に効くストレッチ!陣痛と腰痛の違いは?
6. 肌の保湿をする
妊娠線とは、妊娠中に短期間で急激に体重が増え、皮膚が引っ張られてできるくぼみや線です。
色はピンク、赤、黒、青または紫や肌より明るいものもあり、腕、お尻、胸、太ももなどにもできます。妊娠期以外でも急激に太ったときや皮膚にストレスがかかったときにできるため、総称して「ストレッチマーク」「肉割れ」とも呼ばれます。
妊娠線を完全に防げるわけではありませんが、自分の皮膚に合ったオイルを塗るのは乾燥しがちな皮膚のケアとしてもいいでしょう。妊娠線は時間とともに自然に薄くなっていくので、あまり気にしないようにしましょう。
なお、お腹の中央に縦に伸びた黒っぽい線は正中線(せいちゅうせん)といって妊娠線とはまた別のものです。生まれつき、男女どちらにもあります。こちらは妊娠でお腹が大きくなり、ホルモンバランスが崩れてメラニン色素が増加することによって、色が濃くなることがあります。出産後、ホルモンバランスが落ち着けば、色も薄くなっていきます。
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妊娠線について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠線を消す方法は?効果的なセルフケアと医療機関での治療
関連記事 ▶︎妊娠線がかゆい!原因と効果的な2つの対策・予防法
関連記事 ▶︎おしりの妊娠線
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7. 急な出産への備えを再確認
妊娠9ヶ月まで順調であったママでも、まだ早産となるリスクはあります。急な出産に備えて、準備は万全にしておきましょう。出産したら誰に知らせるか、入院先や里帰り先でも必要な連絡先がすぐわかるようにリストをつくっておくとよいでしょう。また、入院時の持ち物はすべてそろっているかチェックしておきしょう。
まとめ
だんだん、出産が現実味を帯びてくるころです。体のほうは腰痛をはじめ負担が大きくなりますが、
できるだけ無理をせず、ゆったりと過ごすようにしましょう。出産の準備を整えつつ、料理が大変な日は宅配にするなど、手を抜くことも必要です。
(文:山崎ひろみ/監修:太田寛先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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