【医師監修】妊娠35週、体内の変化は︖ ⽇常⽣活で気を付けたいこと
妊娠28週からは「妊娠後期」と呼ばれています。今回は妊娠35週にスポットライトを当て、この時期に起こる体の変化のほか、必要なことや注意点をお伝えします。
妊娠35週ってどんな時期︖
妊娠35週は妊娠9ヶ⽉の最終週に当たります。お腹の赤ちゃんはずいぶん大きく育っていることでしょう。この時期、それまで頻繁に感じていた胎動の回数がちょっと少なくなり、赤ちゃんがおとなしくなったような印象を受ける人がいるかもしれません。
妊娠36週ごろになると、赤ちゃんはお腹の中で頭を下にした姿勢(頭位)をとるようになります。すると赤ちゃんの頭がママの骨盤に入り込むようになり、動きが制限されるため、胎動の数が少し少なくなったと感じる可能性があるのです。
ただし、このころの赤ちゃんがまったく動かなくなるというわけではありません。それまでに比べて急に胎動が減ったなど、いつもと違う気がしたら、かかりつけの医療機関にまずは電話で相談してみましょう。
妊娠35週に体内で起きる変化
妊娠週数が進むにつれ、ママのお腹の中では⽬まぐるしい変化が起こります。それだけでなく、ママの⼼⾝にも変化が⽣じます。ここでは妊娠35週に起こる体の変化を詳しく⾒ていきましょう。
⾚ちゃんの変化
この時期の赤ちゃんは身長が約45cm、体重が2,000g超にまで成長しています[*1]。ちょうど白菜1個分くらいの重さです。皮下脂肪が増えるため皮膚に張りが出て、見た目はだいぶ赤ちゃんらしくなり、爪も完成します。またこの頃にはお腹の中で20分おきくらいに眠ったり起きたりを繰り返すようにもなります。
ママの変化
子宮底長(恥骨から子宮の上端までの長さ)は28~32cmになり[*2]、みぞおちよりも高い位置に子宮がせり上がってきます。
いよいよもって他の臓器が圧迫され、「胃が苦しくて⾷事が取れない」「呼吸が苦しい」「しょっちゅうトイレに行きたくなる」「尿漏れしてしまう」といった悩みも増えてくるでしょう。ストレスや辛さがピークに達するかもしれません。
我慢し過ぎず、辛いときは主治医や助産師に伝えて、アドバイスをもらいましょう。また、まだ正期産ではないものの、陣痛がきて出産がはじまる可能性も決して少なくありません。出産の準備は早めに整えておくとよいでしょう。
妊娠35週に必要なこと
貧血に要注意
この頃の妊婦さんは2つの種類の貧血に注意が必要です。
ひとつは血液が薄まることによる貧血(水血症)です。この時期、ママの体内を巡る血液の量(循環血液量)は最も多くなり、妊娠していない時期と比べて約40%増加するといわれています[*3]。しかし増加している成分の多くは液体である血漿(けっしょう)です。そのため、結果として血液が薄まった状態になり、貧血になりやすい傾向があります。
また赤ちゃんの発育にともない、ママの血液中の鉄分が赤ちゃんに移行することから、母体の鉄分消費量が多くなり、鉄欠乏性貧血にもなりやすいといえます。
妊娠中の鉄欠乏性貧血では多くの場合、無症状と言われていますが、急に疲れやすくなった、めまいがするなど思い当たる症状があれば健診の際、主治医に伝えて鉄剤を処方してもらうなどするとよいでしょう。
軽いストレッチや運動で心身をリフレッシュ
医師から安静を指示されていない限り、妊娠中であっても運動はしたほうがよいとされています。ストレッチや運動を行い、血流が良くなると、マイナートラブルがやわらぐこともありますし、ストレスの解消にもつながります。
引き続き適度に体を動かして、心身のリフレッシュをはかりましょう。
妊娠35週の疑問
おりものの量が増えてきたけど、⼤丈夫?
妊娠するとエストロゲンというホルモンの分泌量が増加します。その結果、粘液が増加するため、おりものの量が増える傾向にあります。一般的には妊娠週数が進むほど、水っぽいおりものが増えていきます。気になる場合は下着をこまめに替える、おりものシートや尿漏れ用パッドを使うなどして対策しておきましょう。
ただし中には感染症によっておりものが増えている場合も考えられます。悪臭がする、白っぽくてポロポロしている、黄色や黄緑色、かゆみがあるなど、いつもと違うときは、主治医に相談しましょう。
そのままにしておくとお産の進みや赤ちゃんに影響するおそれもあります。恥ずかしがらずに相談するようにしてください。
逆⼦が直らない…どうなるの?
逆子(骨盤位)の多くは出産までに自然に頭位(頭を下にした位置)になります。しかし、中には予定日が近づいてきても逆子の状態が続くこともあります。その場合は以下のような対応がとられます。
妊娠30~35週頃までは自然に直るのを期待
妊娠30~35週までは基本的に自然な変化を期待します。いわゆる逆子体操と呼ばれる胸膝位(きょうしつい)や側臥位法(そくがいほう)などの胎位矯正を指示されることもありますが、これらについては早産の傾向がある場合は行えず、また有効性が実証されていないため、最近はあまり行われなくなってきています。
妊娠36週に入ったら出産方法を選択
妊娠36週になっても逆子の状態が続く場合、経腟分娩(自然分娩)にするか帝王切開にするか、出産方法が決定されます。逆子の場合、破水しやすかったり、へその緒の圧迫や脱出が起こりやすかったり、陣痛が弱すぎてお産が長引いたりといった異常が起こりやすいため、帝王切開を選択することが多いのですが、赤ちゃんの状態や医療機関の体制によっては経腟分娩が可能なこともあります。
なお、これも状況によってですが妊娠36週に、医師がお腹の外側から赤ちゃんを回転させる外回転術を行って、胎位の調整を試みることもあります。外回転術や逆子の経腟分娩を行うかどうかは医療機関によって異なるため、詳しくは主治医に確認してみましょう。
まとめ
出産の時期が着々と近づいてきています。赤ちゃんがお腹の中で過ごす期間も残りわずかとなってきました。いつ陣痛が来ても⼤丈夫なように準備を整えて、落ち着いた気持ちで⾚ちゃんを迎えられるようにしておきましょう。
(文:山本尚恵/監修:齊藤英和先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます