【医師監修】子供の肺炎の3つの症状と風邪との違い、受診の目安は?
子育て中のママは、子供の肺炎の症状を把握しておきましょう。風邪だと軽く考えていたら肺炎で入院騒動に発展……なんてケースも少なくありません。「高熱は出る?」「薬で治るの?」「予防法はあるの?」など、ママが知りたい情報をお伝えします。
子供が肺炎になったときの症状
まずは、子供が肺炎にかかるとどのような症状が出るのか知っておきましょう。
そもそも肺炎とは
細菌やウイルスが原因で、鼻や喉などの上気道に炎症が起こると鼻水や咳といった風邪の症状が出ますが、細菌やウイルスが肺にまで到達してしまい、肺に炎症が起こると肺炎となります。
感染症による肺炎にも何種類かありますが、肺炎球菌などによる「細菌性肺炎」、インフルエンザウイルスなどによる「ウイルス性肺炎」、マイコプラズマやクラミジアなどによる「非定型肺炎」の3つに分類されます。
子供の肺炎で見られる症状
肺炎の症状は種類によって微妙に異なります。
・細菌性肺炎の症状
月齢の低い赤ちゃんがかかりやすいのが細菌性肺炎です。赤ちゃんが細菌性肺炎にかかると、高熱、激しい咳といった症状が見られます。そして、呼吸が浅く、速くなります。また、細菌性肺炎は、ウイルス性肺炎に比べて重症化しやすく、呼吸困難になることもあります。一方で、熱は上がらずに呼吸の苦しさや食欲不振だけといったケースもあります。
・ウイルス性肺炎の症状
乳幼児の肺炎でよく見られるウイルス性肺炎は、RSウイルスが原因になることが多く、他にもインフルエンザウイルス、アデノウイルスなども原因になります。風邪と同じように、鼻水、咳などが出て、その後、発熱、頭痛、嘔吐などの症状が出てきます。
・非定型肺炎の症状
一般の細菌とはタイプの異なる病原微生物によって起こるのが非定型肺炎で、代表的なのがマイコプラズマ肺炎です。マイコプラズマ肺炎は6歳から12歳の子供がよくかかります。2~3週間の潜伏期間を経て、発熱や咳の症状が主に出ます。咳は長引く傾向があるので、注意が必要です。最初は気にならない程度でも、どんどんひどくなります。夜中から朝方に激しい咳が出るのが特徴です。熱が下がっても、咳だけが長く続くケースも報告されています。
子供が肺炎になったときの治療方法は?
子供の軽い風邪なら自然に治ることも多いです。ただ、肺炎をこじらせると咳も長引くので、夜眠れなくなって辛い思いをすることになります。受診の目安が知りたい、と思っているママも多いでしょう。
肺炎の診断方法
医療機関では、肺炎かどうか調べるために胸部X線検査を行うことが一般的です。風邪と肺炎は似ているので、お医者さんも症状だけで判別するのは簡単ではありません。肺炎を発症している場合、レントゲン写真に映る肺が部分的に白くなっています。風邪ではなく肺炎の診断が下されたあと、さらに原因を突き止めるために血液や痰を調べる段階に進みます。血液検査が先に行われ、その後にレントゲン検査をされることもあります。
肺炎の治療方法・薬
子供の肺炎は、種類によって治し方が違います。細菌性肺炎と非定型肺炎では、抗菌薬が処方されます。軽症の場合は自宅で処方された薬を服用して様子を見ますが、重症化している場合は入院して点滴や酸素吸入を施すこともあります。ウイルス性肺炎はインフルエンザウイルスには有効な抗ウイルス薬があるので、それを使用しますが、その他の多くのウイルスには有効な治療法がないので、基本的に対症療法となり、去痰剤などが処方されます。
子供の肺炎の予防法
重症化することもある子供の肺炎。どのように予防すればよいのでしょうか。
肺炎は予防できるの?
肺炎は細菌やウイルスなど病原体に感染することで発症するので、感染しないようにすることが最大の予防策になります。基本的な対策ですが、うがいや手洗いを徹底し、外出する時はマスクを着用しましょう。睡眠不足や栄養不足などで免疫力が衰えているときは、感染もしやすいので、毎日ぐっすり寝て栄養をたっぷり補うことも効果的な肺炎対策です。看病中の家族も用心しましょう。また、有効な予防法として、乳児期のヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)、肺炎球菌に対する予防接種が挙げられます。
受動喫煙に注意
「受動喫煙」によって、子供の肺炎リスクが高まることがわかっています。両親とも喫煙する家庭では、両親ともタバコを吸わない家庭と比べて、赤ちゃん(1歳未満)の肺炎・気管支炎のリスクは2倍になる、という研究結果も出ています。禁煙するのが理想的ですが、もし喫煙する場合は、子供がいない部屋、スペースで吸うなどして受動喫煙に注意しましょう。
まとめ
乳幼児は免疫機能が未発達であるため、肺炎になりやすいです。高熱が続いて咳が激しく出るなど、風邪と似たような症状であっても、症状が改善しなかったり悪化してきたりした場合は、肺炎の可能性も考えて早めに受診しましょう。
※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.02)