【2022年5月】絵本のプロが選ぶ 0~5歳年齢別おすすめ6冊『かお かお どんなかお』ほか
東京は神保町にある絵本専門店「ブックハウスカフェ」が全面協力! プロが選ぶおすすめの絵本をセレクトして、毎月紹介します。
0歳向け
『あかちゃん あかちゃん』(作・絵:おおの たろう/大泉書店)
「あかちゃん あかちゃん」「ふああ」大きなあくび。
「あかちゃん あかちゃん」「へっくちゅん」くしゃみが出ちゃった。
「あかちゃん あかちゃん」「うっうっうっ」……。
目まぐるしく成長していく赤ちゃんのキュートな仕草がいっぱいな赤ちゃん絵本です。
シンプルな線だけで赤ちゃんのふとした仕草を愛らしく表現していて、「わかるわかる!」と頷いちゃうお母さんお父さんも多いはず。絵をよく見てみると、泣いている赤ちゃんの肌の色は、ほかの絵よりもうっすら赤みがかっていて、細かいところまで再現しているのがわかります。
繰り返し出てくる「あかちゃん あかちゃん」の呼びかけは、今お腹にいる赤ちゃんにも、生まれてきた赤ちゃんにもぴったり。「赤ちゃんの仕草を忘れたくない!」という大人の方にもオススメです。「あかちゃん あかちゃん」を「〇〇ちゃん」とその子の名前に変えて読むと、またひと味違った楽しみ方ができそうです!
1歳向け
『かお かお どんなかお』(作:柳原 良平/こぐま社)
顔に目が二つ。
鼻は一つ。
口も一つ。
口がぱっと開いた楽しい顔。目じりが下がった悲しい顔。泣いた顔には涙がぽたり。さてお次はどんなお顔かな?
目を丸くしたり、口をへの字にしたり、眉毛を下げたり……描き方をちょっと変えただけで違った顔に見えるのがとっても不思議。著者は、サントリー社のトリスウイスキーのキャラクター「アンクルトリス」の生みの親である柳原良平さん。切り絵で表現されたユーモラスな表情の数々は「かお」が大好きな赤ちゃんも思いっきり楽しめます!
読み聞かせるときには、ぜひ絵本の表情を真似しながら読んでみてください。自然と表情にあった声が出て、よりいっそう赤ちゃんにも表情や感情が伝わるはず。楽しい、悲しい、困ったなどたくさんの表情を知ることは、気持ちを表す言葉を知るきっかけにもなります。赤ちゃんから言葉を覚える年齢の子どもたちまで楽しめますよ。「この顔はどんな気持ち?」とクイズにしたり、「今はどんな気持ち?」と質問したり、読み方いっぱいの一冊です。
2歳向け
『へんなかお』(作:大森 裕子/白泉社)
クマです。ねぇねぇみててね。「べぇ~~」へんなかお。
シマウマです。ねぇねぇみててね。「いーーっ」へんなかお。
カエルです。ねぇねぇみててね。「ぷくぅ~」へんなかお。
次々と動物たちがへんなかおを披露します。最後はきみの番。ねぇ、へんなかおしてみせて!
子どもも大人も一緒に笑っちゃう! 変な顔が大得意な動物たちが次々に登場して、わたしたちを楽しませてくれます。この絵本のアイデアのもとは、作者の大森裕子さんの息子さんの顔芸。保育園の先生に朝あいさつをするときに息子さんが変な顔をすると保育園の先生も変な顔で返してくれたんだとか。「へんなかお」でコミュニケーションが取れているのを見てこの絵本が誕生したそうです。
もしかすると、ちょっとした会話に変な顔を取り入れればみんなが笑顔になっちゃうかも!? 最後のページにはミラーシートが付いています。ぜひ絵本を読みながらお父さんお母さんや兄弟、友達と一緒に、動物たちに負けないくらいの「へんなかお」をしてみましょう!
3歳向け
『おでこはめえほん(2) はくぶつかん』(作:鈴木 のりたけ/ブロンズ新社)
博物館へようこそ。世界中の珍しい品々を順にご覧に入れましょう。カンブリア紀の海にいた古代生物アノマロカリスや白亜紀にいたトリケラトプス、氷河期にいたケナガマンモスなどなど。いろいろな時代の珍品をおでこにはめて、みんなで大変身してみよう!
閉じた状態を見るとなんだか不思議な形。でも開いてびっくり! 絵本をおでこにあてて楽しむ「顔ハメ看板」ならぬ「おでこはめ絵本」です。博物館に保管されている5億年以上前の古代生物や150年前のイギリスの貴婦人、さらには50年前の特急列車など、過去から現代までのありとあらゆるものになりきって読んでみて。
さらに「読み手」と「はめ手」を替えて何度も楽しめる、大人数でも盛り上がること間違いなしの一冊です。鏡の前で読んだり、写真に撮ったりと「絵本を読む」だけじゃない遊び方ができます。何歳でも遊べるので、兄弟がいるご家庭へのプレゼントにもオススメです!
4歳向け
『こんな かお、できる?』(作:ウィリアム・コール、絵:トミー・ウンゲラー、訳:こみや ゆう/好学社)
夜なかなか寝てくれないフランシス・マックジーは、ママとパパの悩みの種。ある晩、パパは「こんなかお、できる?」のゲームを思いつきます。
「まずは怒った顔をしてごらん」
するとフランシス、眉をしかめて睨みをきかせます。
「よくできました!では次。嬉しくて幸せな顔。」
するとフランシスは両手を突き上げて、ぴょんぴょん飛び跳ねます。
「よくできました!じゃあ次はね……」パパがどんどん出すお題に、フランシスもノリノリです。「ゲームはおしまい。そろそろ寝る時間だ」というパパに「あと1回」とお願いするフランシス。パパが最後に出したお題とは……。
寝る前には子どもたちのテンションが上がらないように、静かなお話や眠くなるような絵本を選ぶ方が多いのではないでしょうか。でも、まだまだ遊びたい子どもたちは少し物足りない様子。そんなときは『こんな かお、できる?』 がぴったり。
ベッドやお布団の中で体(顔)も頭も使って遊んでいたら、いつの間にか眠たくなっちゃうはず。お話の最後には「おやすみ」が言えるようなラストが待っています。まだ起きていたいという子どもたちと、ぜひ新しい「おやすみ絵本」を試してみてくださいね。
5歳向け
『かおかけちゃうよ』(作:エド・エンバリー、かき文字:横山直子/偕成社)
四角や三角、丸などの単純な図形を輪郭に、―・●■など組み合わせて顔のパーツを加えていくと、何通りもの顔が描けちゃう! 子どもと一緒に楽しめるお絵かき絵本です。
この絵本では描き方の順番も教えてくれるので、真似するだけでOK! ぜひお子さんと一緒にチャレンジしてみてください。お誕生日カードやお手紙などに手書きのイラストを添えられたらいいなぁと思ったことがある大人にもオススメです。
「しあわせなかお」「こまったかお」など日常使いできそうな顔から、「うぬぼれやさん」や「せすじがぞーっとしたかお」など滅多に描くことはないけれど描けたら嬉しい顔まで幅広く紹介されています。さらにコックさんや吸血鬼、イヌやネコ、ウマなど動物の顔もあるので、お気に入りの顔を練習したり自分流にアレンジしたりと、親子で楽しいお絵かきタイムを過ごしてみてください。
まとめ
今月は「顔」に注目して絵本を選んでみました。
普段は意識することは少ないですが、表情は人と人とのコミュニケーションにおいて重要な役割をしているんだなと思います。
マスク生活で表情が伝わりにくい今だからこそ、身近な人といろいろな顔で遊んでみてくださいね。