しんどう小児科医院 進藤静生先生｜子どものサインに目を向け、早い段階で心の病気を治療したい

「頭が痛い」「お腹が痛い」、でも原因が見つからない場合、専門の病院に診てもらうために紹介状が必要になります。医院では心理外来を取り入れ、自然な流れで心の不調を打ち明けやすい環境を整えています。

お子さんの心の不調に気がつくのは通常の診療で、お子さんの「頭が痛い」や「お腹が痛い」などの症状を通じての場合も多いですね。おかしいなと感じてお母さんに尋ねてみると、お子さんが泣き出してしまうこともあるんです。学校や家庭の問題、母親の過干渉などが原因で子どもがストレスを感じ、症状が出てしまうんです。そういう視点で診察していると、早い段階でアプローチできると思います。

今は非常勤で来ていただいている3人の臨床心理士がいます。基本は事前予約制ですが、通常の診察をしていて必要を感じた場合は「カウンセラーがいるので次回話を聞いてもらいましょうかね」と自然な流れでカウンセリングの予約を取ることもできます。

大学病院や関連病院時代には虐待などの症例も診てこられた進藤先生。小児科医としての対応だけでなくスタッフ全員でサポートする大切さを深く理解されています。

アメリカでは子どもたちが怖がってしまうため、小児科医は白衣を着ないんです。医院では私も白衣は着ていません。そのかわり、キャラクターのネクタイとシャツで子どもたちには向き合うようにしています。親御さんやアメリカの友達からのいただきものを合わせると、ネクタイは70〜80本くらいはありますね。

これまでの診療の中で、髪の毛をむしって食べる子がいました。お腹を痛がるといって母親が連れて来られたのですが、髪の毛の塊が胃の中に詰まってたんです。カウンセリングを受けてみると、母子家庭で母親がストレスで怒ってしまうんですね。子どもだけでなく、お母さんのストレスについてもお話しすることで、徐々に問題は解決していきました。

虐待は家庭内などで、なにかしらの問題を抱えているケースがあります。「いいよ、お母さんがんばってるよ」「お子さんは元気に育ってるよ」と声をかけてあげるだけでなく、小児科医としての対応の仕方があると考えています。虐待対応の勉強会はナース・受付全員で参加して、スタッフ全員同じ目線で家族をサポートすることが大事だと考えています。また、小児科医・産婦人科医・精神科医・行政で構成される「城南区母子育児支援ネットワーク会議」というものがありますが、虐待を受けている子の家庭環境に関する情報は共有して、サポートしなければと考えます。今はどうしてもプライバシー保護の関係で情報が偏ってしまっているのが、今後の課題です。

いまはコロナ禍で思うように外出ができず、家の中にいなければならないのでストレスが溜まるかと思います。子どもは大人の思い通りにはならないものです。最低限、命に関わること以外であれば今のうちに自由にさせてあげて欲しいですね。できるだけ干渉せず、のびのび遊ばせてあげるのが理想かなと思います。

休日には郊外の農園で野菜づくりをしているのですが、子どもたちにも経験させてあげたらどうかなと思います。
自分で作ったものは葉っぱ1枚残さず食べるようになるし、好き嫌いもなくなります。食育にもつながるので、ぜひやってみるといいと思います。

（取材・文：株式会社メディコレ）