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2023年02月27日 10:02 更新

カフェイン、アルコール、ケーキ、辛いものなど…母乳育児中でも楽しめる嗜好品はどれ?

よく母乳育児中はカフェインもアルコールもケーキもダメだと言われますが、本当でしょうか? 母乳育児にもくわしい小児科医の森戸先生に聞きました!

大体の嗜好品はOKだけどタバコはNG

(※画像はイメージです/PhotoAC)

妊娠中は生ものなどの一部の食品は食べられなかったり、子宮が胃を圧迫して食べづらかったりします。ですから、お母さんたちのなかには、産後の飲食をとても楽しみにしていたという方も多いのではないでしょうか。

ところが、産後であっても授乳中だと、一部の人たちから「脂っこいものを食べると母乳がドロドロになる」「和の粗食じゃないと母乳がまずくなる」「飲み物は全てノンカフェインじゃないと」「アルコールは一切禁止」などと言われることがあります。

不勉強な医療者が言うこともあるので、一般のお母さんは信じてしまっても仕方がないのですが、これは根拠のない説。じつは産後は、授乳中であっても、ほとんど全ての食べ物や飲み物、嗜好品がOKなのです。

ただし、唯一ダメなのがタバコ。お母さんがタバコを吸った場合、ニコチンはお母さんの血中より母乳中の濃度のほうが1.5〜3倍も高くなり、授乳すると赤ちゃんは一酸化炭素やアレルゲンを吸入してしまうことになります(※1)。突然死症候群(SIDS)のリスクも上がるので禁煙してください。

一方、同じように絶対にダメだと思われているカフェインとお酒は少量であれば問題ありません。そしてケーキなどの脂肪分の多い食品は特に制限はありません。糖尿病であるとか肥満だとか、お母さん本人に何らかの理由がなければ大丈夫です。一つずつ確認していきましょう。

カフェイン、ケーキは適量で アルコールはできるだけ控える

<カフェイン>
コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェインは、大量でなければ問題ありません。カフェインは母乳に移行しますから、お母さんが大量にカフェインをとって授乳すれば、赤ちゃんが興奮状態になったり、睡眠障害になったりすることがわかっています。

でも一切ダメというわけではなく、アメリカ小児学会によると、コーヒーであれば1日2〜3杯までなら大丈夫。なお、よく母乳が出るハーブティーとか、たんぽぽ茶などが売られていますが、お茶の成分によって母乳がよく出るという医学的根拠はありません。好きな味のノンカフェイン飲料も飲みながら、少量のカフェインを楽しみましょう。

<ケーキなどのスイーツ>
母乳は恒常性が高いので、スイーツを食べても甘くはなりませんし、しょっぱいものを食べても塩辛くはならず、よほど極端な食事をしない限り味も成分も一定に保たれます。また脂肪をたくさんとっても、母乳中の脂肪は増えないこともわかっています(※2)。さらに脂肪の直径は小さく、くっついて大きくなるという性質もないので、血管を詰まらせて乳腺炎の原因になるということもありません。食べたい時に、適度に食べましょう。

<アルコール>
アルコールは分子量が小さいので、母乳に移行しやすいもの。赤ちゃんはアルコールの代謝が遅いため、お母さんが慢性的に飲酒しながら授乳を行うと傾眠傾向、認知能力の低下、成長障害などが起こるリスクがあります。また、アルコールを多く長期にわたって摂取すると母乳量に影響することも。もし飲む場合でも「たまに少量」にとどめ、飲酒から授乳まで2時間以上あけましょう。

例えば、授乳直後にアルコール1単位(日本酒なら1合、ワインなら200ml、ビールなら中瓶1本程度)以下をとった場合、個人差はありますが、次の授乳時(3時間後)には、ほぼ代謝していると考えられます。ちなみに水分を多めに摂ったり、母乳を搾乳して捨てたりしても、母乳中のアルコール量は減らないので意味がありません。
===

辛いものなどの他の食品も、特に制限はありません。ご自身の健康に問題がなければ適度に楽しんでくださいね。

授乳生活は長い人だと3年以上も続くもの。カフェインやスイーツをゆっくり楽しむことがあってもいいと思います。ご自身がリラックスできることをしながら、できるだけストレスを溜めないように過ごしてくださいね。

参照)宋美玄、森戸やすみ『産婦人科医ママと小児科医ママのらくちん授乳BOOK』(内外出版社)

参考文献
※1 British Medical Association Board of Science and Education & Tobacco Control Resouce Center.2004.Smoking and retrospective life.
※2 水野克己、水野紀子『母乳育児支援講座』南山堂

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