歯みがきが辛い妊婦さん必見! サンスターが妊娠期のオーラルケアをテーマにセミナーを開催
妊娠期は、つわりなど特有の症状で歯みがきや歯科健診が辛くなる半面、むし歯や歯周病になりやすい時期。上手なケアのポイントを知っておきたいものです。3月1日に開催されたサンスターのメディアセミナー「女性ホルモンの変化と口腔環境の変化~妊娠期のオーラルケアの重要性~」から、妊娠期の歯の変化やオーラルケアについて解説します。
妊娠中、お口の中の状態はどう変化する?
サンスターは3月1日、「Mouth&BodyメディアセミナーVol.1 女性ホルモンの変化と口腔環境の変化~ライフスタイル別オーラルケア妊娠期編~」を開催しました。
当日は「女性の健康と口腔に関する意識調査」が発表され、サンスター財団の歯科衛生士、平塚江玲奈さんから「女性ホルモンの変化と口腔環境の変化~妊娠期のオーラルケアの重要性~」をテーマに、妊娠期・妊娠前後のオーラルケア行動についてのお話がありました。
平塚さんによると、「妊娠すると体にさまざまな変化が起こります。赤ちゃんを守り育てるためのその変化によって、ママのお口の中はどうしてもむし歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます」とのこと。
たとえば、エストロゲンという女性ホルモンが増えることで歯周病菌が増殖しやすくなり、歯茎の状態が悪くなることがわかっているそう。さらに、妊娠を維持するホルモン・プロゲステロンの影響などでお口が渇きやすくなり、より菌が増殖しやすい環境になってしまうそうです。
そして多くの妊婦さんが実感することとして、つわりの影響で歯みがきがしにくくなります。逆に食べつわりで間食が増えたり、食の好みの変化で急に甘いものを摂る量が増えたりする人も。こうした行動も、むし歯の悪化に拍車をかけてしまいます。
つまり、妊娠中はいつも以上にお口の健康を気づかう必要があると言えそうです。
妊娠中は歯周病にも要注意
上で説明したように、妊娠期は歯周病にかかりやすい時期です。妊娠中にかかる歯肉炎は「妊娠性歯肉炎」と呼ばれています。
エストロゲン増加の影響で歯周病の原因菌が増殖し、歯茎の腫れや出血が起こりやすくなります。そもそも、歯周病のリスク因子のひとつに女性ホルモンがあり、妊娠すると歯周病のリスクが高くなることが知られています。
「出産してからも、生涯にわたって歯周病には注意が必要です。この機会に正しいケアを習慣づけておきましょう」(平塚さん)
妊娠ステージ別のオーラルケア
それでは、妊娠中のオーラルケアはどうしたらいいのでしょうか? 平塚さんがそのポイントを妊娠ステージ別に解説してくれました。
妊娠初期(~4ヶ月)
「つわりで悩む人が多い時期です。歯みがきが難しいときは、無理せずできる範囲で行いましょう」(平塚さん)
【つわりで辛いときのホームケアのポイント】
・体調がいいときにみがく
しんどいときは無理をせず、体調がよいタイミングでみがきましょう。
・顔を下に向けてみがく
唾液が喉に流れて吐き気を催さないよう、下を向いてみがきます。
・ヘッドの小さい歯ブラシを使う
ヘッドが小さめの歯ブラシを使うと、奥歯をみがくときに歯ブラシが奥まであたることがなくなり、嘔吐反射が起きにくくなります。毛束がひとつになったタフトブラシもおすすめです。
・においの強い歯みがき粉は控える
歯みがき粉のにおいが気になったら、無香料のものに変えても。
・奥歯は最後にみがく
奥歯をみがくときは吐き気を感じやすいので、歯みがきが辛くならないように最後にみがきましょう。
・ながらみがきをする
テレビを見ながら、音楽を聞きながらすることで気がまぎれて、ゆっくりみがくことができます。
妊娠中期(4ヶ月後半~7ヶ月)
「安定期に入ったら歯科健診・歯科治療を受けましょう。後期になるとお腹が重くなり、横になる姿勢が辛くなってしまいます。レントゲン撮影や局所麻酔の赤ちゃんへの影響は心配しなくて大丈夫。健診で虫歯などが見つかり、治療が始まると、何度も歯医者さんに通うことも考えられます。安定期に入ったら早めに受診を」(平塚さん)
【妊娠中の歯科受診のポイント】
・母子手帳を持参する
母子手帳に妊娠中の歯の状態を記録するページがあるので持参しましょう。
・無理のない姿勢をリクエストする
治療のためにイスを倒すとお腹が苦しいときは、浅めに倒してもらうなど楽な姿勢をリクエストしましょう。
妊娠後期(8~10ヶ月)
「健診・治療が終わったら、妊娠後期にはていねいなホームケアを心がけましょう。歯みがきは体調がいいときに楽な姿勢で。汚れが残りやすいポイントを効率的にみがくようにしてください」(平塚さん)
【歯みがきの基本をおさらい】
・歯ブラシは1ヶ月で交換する
毛先が開いた歯ブラシでみがくと歯茎を傷めてしまいます。毛先が開いていなくても、毛先が摩耗すると汚れが取れなくなるため、1ヶ月を目安に交換を。
・前歯~歯のまがり角の裏側は歯ブラシを縦に当てる
汚れが残りやすい裏側は、縦みがきでしっかりみがきます。
・奥歯はていねいにみがく
噛み合わせ部分は歯ブラシを小さく動かし、1本ずつ毛先を当ててみがきます。奥歯の裏は、歯ブラシを歯に対して斜めに当てて、歯と歯の間に毛先を入れてみがきます。
「手鏡を見ながら歯ブラシを当ててみましょう。歯の隙間は歯ブラシだけではきれいにできないので、デンタルフロスや歯間ブラシも活用してしっかり汚れを落としてください。さまざまなタイプのデンタルフロスや歯間ブラシが販売されていますが、自分の歯に合ったものを選ぶことが大切です。選び方がわからないときは、歯医者さんで相談してみてください」(平塚さん)
歯科健診とホームケアを合わせて歯を守る
最後に平塚さんは、「日々のケアも大切ですが、それだけでは落としきれない汚れもあります。定期的に歯科健診を受けて歯の状態をチェックし、歯石を除去してもらうなど、歯の専門家と連携することが欠かせません。この機会に定期的な健診を習慣にしましょう。産後しばらくは忙しくて健診を受けることが難しくなりますが、落ち着いたタイミングで再開してください」とまとめて、セミナーは終了しました。
まとめ
妊娠期のお口の変化や、ステージ別のオーラルケアのポイントを紹介しました。妊娠中のオーラルケアも重要ですが、出産後は赤ちゃんのお世話で時間がない中で、歯のケアを続けていかなくてはなりません。さらに、赤ちゃんに歯が生え始めたら子どもの歯の健康も守っていくことになります。妊娠中に自分自身のお口の中の状態とそのケアにしっかり向き合って、生涯歯を大切にする習慣を身につけるようにしたいですね。
(取材・文:佐藤華奈子、構成:マイナビ子育て編集部)