【新生活】親は忙しく、子供は思い通りには動いてくれない…親子の生活リズムを整えるには?
春は子供の入園や入学、親の異動などによって生活が変化し、そのリズムも乱れがち。親子ともに悪影響がないか心配になりますね。そんなときはどうしたらいいのか、森戸先生に聞きました。
仕事も子供も思い通りにはならない
保育園やこども園、幼稚園に入園したり、小学校に入学したり、4月は新生活が始まる時期です。最初の頃は、親子ともに慣れない生活に疲れてしまいがちですよね。
そんなとき、とても気になるのが子供の生活リズムだと思います。食事、入浴、睡眠などを毎日早めの時間に規則正しくすると、確かに親子ともにペースをつかみやすく、疲れにくく、体調も崩しにくくなるでしょう。それに子供が早く寝てくれると、親はとても助かりますね。
問題は、大人は仕事などのやむを得ない事情で帰宅時間が遅くなる場合が少なからずあること、また子供は必ずしも親の思う通りにスムーズに行動してくれないことです。
保育園や学童などに迎えにいって、買い物をして帰宅して夕食を作って食べさせ、お風呂に入れ、保湿や歯みがき、寝かしつけをして……という全行程を終えるには時間がかかります。18時に仕事を終え、19時に迎えにいくなら、たとえ買い物は宅配にし、夕食は作り置きを食べても、寝かし終えたら21時を過ぎますね。
さらに子供がなかなか帰りたがらない、食事を食べない、お風呂に入らない、歯みがきをしない、「大好きなお母さんやお父さんともっと遊びたい、話をしたい」「楽しいから、まだ起きていたい」と思って寝てくれなかったりすると、就寝時間はもっと遅くなるでしょう。
でも、仕事の終わる時間を自由に決めることができるとは限りませんし、子供はまだ発達の途中であり、それぞれの事情があるのですから仕方のないことです。その家庭ごとに可能な範囲で生活リズムを整えるしかありません。
家族ごとに可能な範囲で規則正しい生活を
生活リズムや習慣は、文化にも左右されるので、何が適切なのかは難しいところです。たとえば、世界17か国で行われた調査によると、日本の子供の平均就床時刻は21時17分、最も夜更かしなのは香港で22時17分、最も早寝なのはニュージーランドで19時28分だったそうです(※1)。
日本ではだいたい21時くらいには子供を寝かせたいという人が多いと思いますが、香港から見たら早いでしょうし、ニュージーランドから見たら遅いわけです。かといって、香港の子供に問題が多いということもないでしょう。
子供(4〜6歳)の睡眠習慣と行動についての研究では、次の2群を比べたものがあります(※2)。
○A群:B群の条件に当てはまらない子
○B群:①21時以降に外出することが週2回以上ある、②布団に入るのが23時以降になることが週4日以上ある。③外出先からの帰宅時間が21時以降になることが週3日以上ある、のひとつ以上に当てはまる子。
その結果、睡眠時間の長短は影響がなかったものの、B群のほうがA群よりも問題行動が多く、遅寝遅起きで生活が不規則であることは問題行動につながり、寝る時間が早く規則正しいほど問題行動が少ないことがわかっています。
ということは、無理なく可能な範囲で規則正しい生活を送ることが大切です。具体的には、多少遅い時間だとしても毎日なるべく同じ時間に夕食を食べ、お風呂に入り、寝かしつけることで規則正しいリズムをつけるのを基本にします。
でも、たまには夕食を外食にしたり、入浴をやめたりして時間を短縮して早く寝かせるのもありでしょう。また特別に就寝が少し遅くなってもいいと諦める日をつくるのも手です。そのくらいなら問題ないでしょうし、親子ともに笑顔で過ごせることが大切だと思いますよ。
※1 Mindell et al. Sleep Med 2010 Mar;11(3):p274-280
※2 神山潤『日本小児科学会雑誌』vol.115.no12 2011 p1870-1879
参照)森戸やすみ『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版社)