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2024年10月26日 16:00 更新

「社会に貢献できていない?」専業主婦の私、共働きのママに引け目を感じてしまい……<子育て心理カウンセリングルーム>

子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、専業主婦の30代女性からのお悩みです。「育児のため仕事を辞めた私。共働きのママに引け目を感じて……」というその困りごととは。

カウンセリングルームロゴ

いつも忙しそうな共働きのママ。専業主婦の自分は、社会に貢献できていない?

現在専業主婦です。娘の幼稚園では専業主婦の方はほとんどおらず、共働き家庭が多いです。
私もたまたま結婚出産等の事情で今は仕事をしていないだけなのですが、他の忙しそうなお母さん達を見ると、自分だけ社会に馴染めていないというか、貢献していない気がしてしまいます。
他の方と比べるのはよくありませんが、専業主婦のお母さんたちと立ち話をしていると、仕事をしているお母さんたちがサーッと走りながら帰って行き、優雅でいいわねみたいな視線も気になります。
付き合いがあるので立ち話もせず帰るわけにもいかず、悩んでいます。
(33歳・女性・専業主婦)

■家族構成:自分32歳、夫33歳、長女4歳、長男1歳
■お困り度:★★☆☆☆☆☆☆☆☆

※写真はイメージです

今回の相談者さんは、もともと働いていて今仕事をしていないものの将来的に復職する計画なのかなとお察ししました。

もともと社会に出て社会に貢献して生きてきたという思いから、今専業主婦でいるご自分のことをどこかで、周りの働くお母さんよりも低く見てしまっているところがあるのかなと思います。結婚出産する前の働いていたご自分のイメージから、今仕事をやめ専業主婦として育児をしているご自分のイメージにうまく適応できずにいるとも言えるかもしれません。

働いているお母さんが幼稚園に多く皆忙しそうにしておられ、優雅でいいわね、というささやかな嫌味を含んだ(ように思える)視線が飛び交うこともまた、相談者さんの心をかき乱してしまわれるようですね。

出産などに伴い、仕事をやめるか否か、やめた場合いずれ復職するか否か、復職する場合元の職場に戻るか別の職場を探すか、働き方もフルタイムかパートか、などなど選択を求められる場面はたくさんありますよね。相談者さんもきっと、その選択でたくさん悩み、仕事をやめて子育てに専念しようという思いから専業主婦を選ばれたのだと思います。

『働く女性』から『子育てをする専業主婦』へと社会的な役割を変化させることは、なかなか大変なことです。働いていた過去の社会的役割の良かった面ばかりが目についてしまい、専業主婦という新しい役割の良くない面ばかりが見えてきてしまうのは、人が変化する時に起きる自然な現象です。

まずは、どうして今専業主婦をしているのか? 何を優先したくて仕事を辞めたのか? もし今仕事を始めたら何が得られて何が失われるか? ご自分が今専業主婦をしている理由を改めて思い出してみましょう。共働きよりもメリットがあると考えて相談者さんは専業主婦を選ばれたのだと思いますから、専業主婦である故のプラス面も意識的に思い出してみてください。

また、もし今自分が復職すると考えてみたら不安なことやストレスになりそうなこともあるのではないでしょうか? 今また『専業主婦の母親』から『共働きで子育てする母親』に役割変化をしようとなると、それにもまた新たなストレスや不安がついてくるはずです。

今後お子さんが少し成長し、相談者さんの中で働くことによるメリットの方が大きいなと思えるタイミングがきたら、復職する選択をすることもあるかもしれません。その時は逆に、専業主婦だった自分の良かった点や、共働きをしながら子育てをすることへの不安が目についてしまうこともあるかと思います。人生の中で社会的役割を変化させる際は常に、こうしたせめぎ合いに悩むことは避けられないことだと思います。

上手に変化を乗り越えられるように、その時々で、何を優先してどのような選択をしていくかに自信を持って生きていくことができると良いですね。

(文:臨床心理士亀井紗代子/うららか相談室)

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