現在の厳しい日本経済を反映? 増やしたいのは「自由な時間」より「収入」という人が55%で多数派に
働き方にも多様性の尊重を求める向きが広まっている昨今。仕事に求めるものもさまざまとはいえ、ほとんどの人にとって共通するのは、仕事による収入が生活の糧になっているということでしょう。物価高などで家計が厳しいなか、仕事に対して収入面をより優先する人が増えているようです。
内閣府が毎年行っている「国民生活に関する世論調査」。生活についての意識や家族・家庭についての意識などを調べるものですが、今回は令和5年の最新調査の中から、人々の仕事に対する意識はどうなのかをお伝えしたいと思います。
働く目的|「お金を得るため」が6割超
「働く目的は何か」を聞いた設問で、最も多かったのが「お金を得るために働く」で64.5%の人がこれを挙げています。次いで「生きがいをみつけるために働く」(12.8%)、「社会の一員として、務めを果たすために働く」(10.8%)という結果でした。
これを前回調査(令和4年)と比較すると、1ポイント以上の変化があったものとしては、「お金を得るため」が1.2ポイント増加し、「生きがいをみつけるために働く」が1.3ポイント減少しています。
また、性別で見ると、「お金を得るため」「生きがいをみつけるため」を選択した人は女性の方が多く、「自分の才能や能力を発揮するために働く」「社会の一員として」は男性の方が多い傾向が見られました。
理想の仕事|「収入が安定している」がトップ
次に「自分にとって理想の仕事とは何か」を聞いた結果がこちらです。「収入が安定している仕事」を選んだ人が62.2%で最も多くなっています。さらに「私生活とバランスがとれた仕事」(55.2%)、「自分にとって楽しい仕事」(54.2%)が続いています。安定的な収入を得られなければ、現在や将来の生活に不安をかかえることになりますから、安定性を第一に考えている人が多いようです。
自由時間か収入か|収入を増やしたい派が過半数に
最後に「自由な時間と収入、どちらを増やしたいか」を聞いた設問の回答を見てみると、まず、自由な時間を選択した人は「自由な時間をもっと増やしたい」(12.9%)、「どちらかと言えば自由な時間をもっと増やしたい」(27.9%)、合わせて40.8%でした。一方で、「収入」を選択した人は、「どちらかと言えば収入をもっと増やしたい」(42.4%)、「収入をもっと増やしたい」(12.8%)、合わせて55.2%と半数以上となりました。
前回調査(令和4年)と比べても大きな変化はありませんが、「自由時間」を選択した人の割合が1.1ポイント減少した一方で、「収入」を選択した人の割合は1.5ポイント増加しています。
また、性別で見ると、女性の方が「自由時間」より「収入」を選択した人の割合が多い傾向にありました。「自由時間」は男性43.5%に対し女性38.4%、「収入」は男性53.9%に対し女性56.5%となっています。
まとめ
長引いたコロナ禍や円安、物価上昇といった今の状況を反映するかのように、仕事に求めるものとして収入面のプライオリティがやや高まっている様子がうかがえました。また、自由時間よりも収入を増やしたいと考える人の方が多いこともわかりました。とくに女性は男性よりも、収入を増やしたい人が多いですが、ここには男女の賃金格差などの問題も関係しているかもしれません。程度の違いはあるでしょうが、経済的な不安を抱える人が少なくないと想像できる結果といえるでしょう。
(マイナビ子育て編集部)
調査概要
■「国民生活に関する世論調査/内閣府
調査対象:日本国籍を有する18歳以上の者
調査時期:令和5年11月9日~12月17日
有効回答数:3,076