
息子を抱えたまま混み合ったバスに乗車。高校生たちの明るい優しさに触れて #「ありがとう」を伝えたい
混雑したバスに荷物と子どもを抱えた状態で乗車するのは、力のある男性でも一苦労があります。今回は、50代の子連れパパが混雑時のバス車内で遭遇したという、心温まるエピソードを紹介します。
息子を抱っこし荷物をかかえて乗車したバスは、大混雑

3歳の子どもを連れて、バスに乗って出かけたときのことです。
その日、バスの中は非常に混雑していて、とても席に座れる状態ではありませんでした。
お出かけで眠くなってしまい、歩くのがやっとな状態の子どもの手を引っ張っていざ乗ろうとしましたが、周りに迷惑をかけてしまいそうだったので、その場で抱きかかえて乗り込むことに。
荷物と子どもの重みで、男の私もさすがに手こずってしまい、もたついてしまったため、乗車してからもなんとなく周りの目線が気になりました。
手すりにつかまれるポジションにたどり着き、今にも寝落ちしそうな子どもを抱っこしたまま、約30分かかる目的のバス停までなんとか我慢して立つんだと覚悟を決めました。
高校生の集団の1人が「おい、立て!」

目の前の座席と通路には数人の高校生がいて、ちょっとやんちゃそうな見た目や言葉遣いに、私も自分の学生時代を思い出しました。あのころだったら「ヤンキー」という呼び方をしたかもしれません。
そのときです。
その集団のうちの男の子の1人が「おい立て!」と仲間にけしかけ、私に「どうぞ」と声を掛けてくれたのです。
さすがに遠慮して「大丈夫だよ、ありがとう」と返答しましたが、彼らは「おじさんは良くても子どもが窮屈だよ」と譲らず、さっと立って席を譲ってくれました。
お礼を言って席に座ると、もともと人懐っこいタイプの我が子が目をあけて、高校生たちに向かって笑顔で「ありがとう」と言いました。
すると最初に声を掛けてくれた男の子は……。

「おお、チビ偉いなぁ、ありがとう言えるのか。このお兄ちゃんたちとは大違いだな」と友達を冷やかして大爆笑。
さらに彼は、「ありがとうが言えたらそれで充分だ。キミの将来は保証されましたぁ!」と言ったのです。
またそこで彼らは大笑いで、今度は周囲の方々もつられてクスクス笑っていました。
明るく優しい学生さんたちの健やかさに、私は涙腺が少し緩んでしまいました。あの時の学生さんたち、本当にありがとうございました。
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※本記事は、編集部に寄せられた実際のエピソードを元に再構成しています。