ハードルの高さは男の子以上! 女の子の性器はどう呼べばいい?|おちんちんの教科書#3
体の部分にはそれぞれ名前がありますが、女の子の性器についてはどう呼べばいいのか迷ってしまうものです。
今回は女子の性器の呼び方について、約7000人分の男性器を診察したママ泌尿器科医・岡田百合香先生の著書(『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書 0才からの正しいお手入れと性の話』誠文堂新光社刊)より解説をお届けします。
ハードルの高さは男の子以上 女の子の性器はどう呼ぶ?
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さて、男性器よりも悩ましいのは、女性器の呼び方です。
女性器を示す言葉には「まんこ」がありますが、「おちんちん」「ちんこ」と比べるとこちらのタブー感は桁違い。「おちんちん」は平気な私でも、「まんこ」は口に出すハードルがとても高いです。
過去に岐阜新聞から「子どもの女性器を何と呼ぶか」というまじめなテーマで取材を受けたのですが、その記事がネットニュースに掲載されるやいなや、コメント欄が封鎖される事態となりました。記事自体は、女児を育てる母親が、子どもに性器の洗い方を伝える際に「おまんまん」と言っていたところ、周囲から驚かれた体験をきっかけに呼び方を考察する、という真剣な内容です。
どうして、男女が違うだけでこれほどのタブー感格差が生じているのでしょうか。
女性器がこれほどまでタブー視される背景には、次の2つの理由があると考えられます。
ひとつは、女性器の複雑な構造によるものです。
おちんちん(陰茎)とタマタマ(陰嚢)にはっきり分かれている男性器と違い、女性器を構成するパーツは複雑です。体の前面についているため確認しやすいおちんちんとは対照的に、女性器は鏡を使わなければ自分で見ることすらできません。このわかりづらさが、女性器へのアクセスを困難にしています。
英語の「ヴァギナ」で女性器を表現する人もいますが、ヴァギナは膣部分だけの言葉ですから、女性の外性器全体を表す言葉としては正確ではありません。
もうひとつの「まんこ」がタブー視される理由は、ジェンダー的な問題です。
「まんこ」という女性器の名称は、現在「エロ用語」として日本社会に定着しています。
男性の性的欲望の目線で使われる機会だけが極端に多く、女性自身が純粋な体の名称として使いづらくなっているのです。
女性にとっては自分の体の一部に過ぎないのに、人前で口にすると世間からは「下品」「いやらしい」「はしたない」とみなされる。女性に純潔や貞淑を求め、「知らなくていい」と無知を促してきた日本文化の風潮が、女性から「性に関する言葉を口にする機会」を奪っているとも言えます。「まんこ」は複雑な構造を持つ女性器全体を表すという意味ではよい言葉なのですが、いかんせん染みついた「エロ用語感」が強すぎます。
「エロ」くない女性器の呼び方を
これらの事情を踏まえた上で、女性器のタブー感を変えていくための解決策には次の2通りの方法があります。
ひとつは、本来の意味としての「まんこ」を日常語として取り戻すこと。多くの人が堂々と、ごく普通に使用することで、本来の日常語へと浄化させていく方法です。
もうひとつは、女性器を意味するまったく新しい言葉を採用すること。
英語には女性の外性器全体を示す「バルバ(vulva)」という言葉があります。この単語であれば日本における「いやらしさ」にまだ侵されていませんので、新しい選択肢のひとつになりえるでしょう。
「おまた」「おまんまん」のようにそれぞれが呼びやすい名前を使うのもいいですね。
タブー視せず、フラットに向き合える呼び方を一緒に探していきましょう。
✅ まとめ>>>
女性器は構造の複雑さとジェンダー的な問題でタブー視されやすい
フラットに呼べる女性器の名称をみんなで考えていこう
『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書 0才からの正しいお手入れと性の話』(著:岡田 百合香、誠文堂新光社刊)より一部抜粋、再編集