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2026年07月12日 10:01

「小1プロブレム」を軽減する手助けに。年長さんがひと足早く“1年生”を体験する、千葉県松戸市の入学前支援イベントをレポート

全国的な課題「小1プロブレム」に対応

小学校に入学した子どもが、生活環境や学習スタイルの変化に戸惑い、不安を感じたり学校生活に適応できなかったりする「小1プロブレム」。文部科学省も幼児教育と小学校教育の円滑な接続を目指し、「幼保小の架け橋プログラム」を展開して対策を進めている全国的な課題となっています。

千葉県松戸市はこの課題を解消するため、県内に先駆けて就学移行支援事業「わくわく!小学校体験ルーム♪」を展開。子どもたちが実際の小学校で授業や学校生活を体験することで、不安を和らげる取り組みです。

今回はさらに、保護者向けの「小学校入学前家庭教育講座」と連携し、同日に親子で入学準備ができるプログラムとして実施されました。

年長さんが、ひと足早く「小学生」を体験!

今回の取材会場となったのは、松戸市立馬橋北小学校。参加したのは新松戸幼稚園・ふじ組の園児32名と保護者29名です。教室に入った子どもたちは、少し緊張した表情を浮かべながらも、小学校の様子に興味津々。保護者も子どもたちを見守りながら、未来の新1年生に思いを馳せているようでした。

<1時間目:生活科>給食はどう作られているの?

最初の授業は生活科の時間。元小学校校長で現在は松戸市の職員として幼保小連携に携わる小林さんの進行でスタートしました。

「では、1時間目を始めます。姿勢よくしましょう! 背中ピンッ! お、かっこいいいいですね。素晴らしいです」(小林さん)

元小学校校長とあって、子どもたちの心をつかむのもあっという間の小林さん

1時間目開始のあいさつを終えると、小林さんから「今日は給食について勉強したいと思います」と授業の内容が伝えられました。

ここからは、馬橋北小学校の栄養職員・中里さんにバトンタッチ。中里さんは、動画を使用しながら、学校給食がどのように作られているのかを紹介しました。

馬橋北小学校の栄養職員・中里さん

馬橋北小学校では1日に460人分の給食を作っているそうで、給食室で大きな鍋を使って調理する様子の動画が上映されると、子どもたちは興味津々。給食が多くの人の手で作られていることを学びました。

その後は、小林さんによる野菜クイズ。「ケチャップを作るときに使う野菜は?」「ウサギや馬が好きな野菜は?」などの問題に、子どもたちは元気いっぱい手を挙げて答えていました。

かぼちゃのカードを手にする小林さん
正解がわかった子どもたちは、元気よく「はいっ!」と挙手
小林さんからの3つのヒントを頼りに、黒板に貼られた野菜の写真から正解を選ぶ

<2時間目:体験>給食当番、算数セット、ランドセル体験に挑戦!

続く2時間目は、「給食当番」「算数セット」「ランドセル」の3つのグループに分かれて体験活動です。それぞれの体験を覗いてみました。

ブカブカの白衣姿がかわいい! 給食当番体験

給食当番体験では、小学校で実際に使用する白衣と帽子を身につけ、配膳に挑戦しました。子どもたちはおもちゃの食べ物を使い、「配る人」と「もらう人」に分かれて体験。白衣を着るのに少し手こずる場面も見られましたが、配膳役になった子どもたちは真剣な表情で取り組んでいました。一方、給食を受け取る役の子どもたちも、こぼさないよう慎重にトレーを机まで運び、すっかり小学生気分です。

白衣のボタンを掛け違えないように、全集中!
写真手前のバゲットサンド以外は、松戸市職員による手作り! 布製のおにぎりや毛糸の焼きそばなど、どれもおいしそう
小さな手でトングをしっかり握って、上手に配膳

その様子を見守っていた男の子の保護者は、「白衣が大きいなと思いました。でも、何とかひとりで上手に着られて安心しました」と、わが子の成長した姿に目を細めていました。

実際に触れてみた! 算数セット体験

算数セット体験では、入学後に実際に使う算数セットの中身をチェック。箱を開けると、「こんなものが入っているんだ!」と目を輝かせた子どもたち。ブロックを並べて数を数えたり、時計の針を動かしたりしながら自由に触れていきます。教科書だけではない、小学校の学びの世界を体感していました。

補助の先生から「時計を3時に合わせてみましょう」と声がかかると、一生懸命針を動かしていた女の子。そのまなざしは真剣そのもの!
ブロックを並べて数を数える学習も、遊びの延長のようで楽しそうに取り組んでいた

「重い!」ランドセル体験にびっくり

体験に使用されたランドセル

園児たちにとって、小学生のお兄さん・お姉さんが背負うあこがれの象徴ともいえるのが、ランドセル。

ランドセル体験では、中に何も入っていないランドセルと、おもり入りのランドセルを背負い比べ。「重たい!」「軽ーい!」というにぎやかな声とともに、どこか気恥ずかしそうに背負っている子どもたちの姿がかわいらしくて印象的でした。

ウキウキした様子でランドセルを背負っていた子どもたち

さらに防犯ブザーを鳴らす体験では、大きな音に子どもたちもびっくり! 先生からしっかりとレクチャーを受け、防犯ブザーの使い方を学んでいました。

防犯ブザーの紐の抜き方を教えてもらう子どもたち。紐が固くてなかなか抜けない!

ランドセル姿を見守っていた女の子の保護者は、「まだ体が小さいのでランドセルも大きく見えますね。でも上手に背負えていました」と笑顔を見せていました。こちらのご家庭では、まだランドセルを購入していないそうで、「紫やピンク、水色などいろいろ好きな色があって迷っているようです」と、入学準備ならではのかわいらしい悩みも教えてくれました。

なお当日は、松戸市の松戸隆政市長も視察し、各体験に参加。子どもたちと交流しました。

ランドセルを背負う松戸隆政市長
※「隆」の字は旧字(右下の生の字の上に一が入る)が正式表記

実際にランドセルを背負った感想を聞くと、「何十年ぶりに背負いましたが、思ったより重かったですね。今はタブレットを持ち歩くので、いろんな保護者の方から『もっと軽くならないか』とご意見をいただくことがあります。そういった意味でも、このランドセル体験ではリアルな重さを感じられて『なるほどな』と実感しました」とコメントし、令和の小学生を取り巻く環境の変化に理解を深めていました。

<3時間目:学校探検>校内をめぐる学校探検へ

慣れない段差に、手すりを使って一生懸命に階段をのぼる子どもたち

3時間目は学校探検です。向かった場所は、図書室。馬橋北小学校で図書室を使用するには、入り口で上履きを脱ぎ、靴箱にしまうところからスタートします。じゅうたん敷きの室内にはたくさんの本が並び、図書委員会が作成したクイズや掲示物も。子どもたちは「ここ楽しそう!」「いっぱい本がある!」と大喜びでした。

図書室に入る際は、入り口で上履きを脱ぐのがお約束
楽しそうな本がズラリ! すぐさま本を手に取って読みだす子も
図書委員会が作った楽しいクイズに挑戦

そのほか、1年生の教室や体育館も見学。行く先々で足を止め、校内のあちこちに目を向けながら歩いていました。

1年生の授業を見学中。ランドセルが置いてあるロッカーや掲示物も気になる?
廊下には「今日の給食」の展示も。この日は揚げパン!

お弁当のあとは、まさかの「宿題」!?

学校探検を終えたあとは、持参したお弁当でランチタイム。友だちと一緒に机を囲みながら楽しそうに昼食をとり、最後は帰りの会へ。

お弁当生活も、残すところあと半年!

帰りの会で小林さんから配られたのは、なんと宿題のプリント! 小学校らしい締めくくりに、子どもたちからは「宿題、知ってる!」「お姉ちゃんが持って帰ってくるよ!」といった声があがり、これから始まる学校生活への期待を膨らませているようでした。

宿題と言っても計算や漢字ドリル的なものではなく、ひとりでできる項目に色を塗る、というもの。「おきがえができる」「くつをきれいにそろえられる」「じぶんとかぞくのなまえがいえる」など、入学準備として必要な項目が書かれていた

保護者は家庭教育講座で入学準備

一方、保護者は子どもたちの体験授業を参観したあと、別教室で「小学校入学前家庭教育公開講座」を受講しました。

講座を受講する保護者

講座では、「小学校の1日の流れ」「入学前に身につけておきたい生活習慣」「家庭での関わり方」など、保護者が抱えやすい疑問についてスライドを使用して解説。職員が、一つひとつ丁寧に説明していきました。

脳科学者の川島隆太先生が監修した松戸市の幼児家庭教育パンフレット。子どもに必要な食事、睡眠、遊び、コミュニケーションといった情報にプラスして、川島先生が脳科学の視点からも解説している
新1年生は、新しい環境に慣れることで精一杯。市では「なるべくなら、4月に新しい習い事を始めたり、家庭内のルールを変えたりしないで」と呼びかけていた
メモを取りながら真剣に耳を傾ける保護者

すべてのプログラムが終わったところで、3人の保護者に今日の感想を聞いてみました。

「野菜クイズで、小林先生から『先生が出す3つのヒントを最後まで聞いてから手を挙げて答えましょう』と言われ、しっかり守れていた様子を見て、ちょっぴりお姉さんになった気がしました。保護者向けの講座では、脳科学の話がとても興味深く、ああいう機会があるといいなと思いました」

「子どもが小学校の机とイスに座ってチャイムが鳴った瞬間、『わっ!』って顔をしたんです。子どもにとって『小学校に入学する』というぼやっとしたイメージが、くっきりしたものに変わったんじゃないかなと思います。入学すると保護者が教室の中に入る機会が少ないと思うのですが、雰囲気を実感できるだけでもありがたい取り組みだと感じました」

「家では割とおとなしめで、モジモジしてるような子なのですが、野菜クイズが始まったときに『ハイ! ハイ!』と手を挙げていて、あんなにやる気に満ちている姿に驚きました。勉強面ではひらがな大丈夫かな、算数大丈夫かな、と心配でしたが、『まったく準備をしてこなくても、こちら側が教えますよ』と言ってもらえたので、安心しました」

多くの保護者が子どもの成長を実感するとともに、入学への不安も和らいだ様子でした。

小学校入学への不安を“楽しみ”に変える取り組み

最後に、松戸市長に今回の取り組みについてお話を伺いました。

「本プログラムは、子どもたちに学校は楽しいところ、ワクワクするところだと感じてもらうことが目的です。今まで保護者向けの講座は希望する市内の園で開催していましたが、家庭・園・学校がより連携しながら子どもたちの成長を支えていく必要があると考え、子どもたちの体験と保護者向け講座を組み合わせた現在の形を今年からスタートしました。今後は、松戸市の子どもたちと保護者の方にできるだけ多く参加していただきたいと考えています」(松戸市長)

インタビューに答える松戸市長

子どもの様子を見守りながら、親も学べる松戸市のこの取り組み。保護者のコメントにもあったとおり、子どもたちの入学への期待を育むと同時に、保護者の不安にも寄り添う機会になっていることがわかりました。

入学前の親子にとって心強い取り組みとして、これからさらに多くの地域に広がっていってほしいと感じました。

松戸市子育て情報サイト『まつどDE子育て』/千葉県松戸市
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kosodate/matsudodekosodate/index.html

(取材・文:マイナビ子育て編集部)

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