
【医師監修】出産予定日を超過しても陣痛がこないときは?リスクと対応<体験談>
出産予定日を過ぎても赤ちゃんが生まれてこない……そんなとき、どこまでなら安心して待っていてよいのでしょうか。また予定日を超えた場合、どんなリスクがあるのでしょうか。予定日を超えたお産について解説します。
出産予定日を過ぎても陣痛が来なかったら?

妊娠すると教えてもらえる「出産予定日」。妊娠中は、その日がだんだん近づいてくるのを、ワクワクドキドキしながら待つことになります。
でも、出産予定日を過ぎたのに、陣痛が来ずお産が一向に始まらない場合は、「いったいいつになったら生まれてくるのか」と不安に。こういう場合はどうすれば良いのでしょうか。
あまり焦らず産院の指示に従おう
出産予定日を過ぎたのに陣痛がまだ来ない場合、まずはあまり焦らないでください。そして、主治医の指示に従いながらその時を待つようにしましょう。
妊婦健診は、妊娠36週になって「臨月(妊娠10ヶ月)」に入ると、それまでの隔週から「週1回」に増えます。その後、出産予定日の週が終わるまで週1のペースで受診することになります。
赤ちゃん・ママともにきちんと様子を確認してもらえる大事な機会なので、臨月以降はとくに「妊婦健診は指示を受けた日に必ず受ける」ようにしてください。
予定日から2週間までなら「正期産」
そもそも「出産予定日を過ぎたイコール心配な状態」というわけではありません。「出産予定日は妊娠40週0日」ですが、これはあくまで目安です。
「妊娠37週~42週未満」の間のお産を「正期産」といいます。そして「42週以降」のお産は「過期産」といいます。
なお、全妊娠の「約8割」が正期産になると言われています。
出産が遅れるとどんなリスクがあるの?


予定日を過ぎてからの出産にはどんなリスクがあるのでしょうか。
妊娠42週を過ぎると赤ちゃんが危険になることも
妊娠42週になってもお産が始まらない場合は、「羊水が濁ったり(羊水混濁)」「正常範囲より少なくなったりする(羊水過少症)」ことが増えます(場合によっては、42週以前に起こることもあります)。
妊娠10ヶ月に入ると、羊水の量は徐々に減り始めます。羊水は赤ちゃんや臍の緒にとって、子宮が収縮したときのクッション代わりにもなるので、羊水が正常範囲より少なくなりすぎると陣痛が来た時に臍の緒が圧迫されやすくなり、赤ちゃんの体調が悪くなってしまう恐れがあります。
そのほか、赤ちゃんが胎内で育ち過ぎて巨大児になってしまうことも。いずれにしても、過期妊娠では赤ちゃんに危険が及ぶ可能性があるため、赤ちゃんの様子に細心の注意をはらっておく必要があります。なお、日本における過期産の割合は約1% [*1]といわれています。
出産予定日を超過したときの対応


出産予定日を過ぎても赤ちゃんが生まれてこない場合は、産院では以下のような対応がとられます。
1.出産予定日が正しいかどうか、再確認する
妊娠初期のCRL(赤ちゃんの頭からおしりまでの大きさ。頭殿長)またはBPD(頭の横幅。児頭大横径)、最終生理開始日、基礎体温などをあらためてチェックし、出産予定日が正しく計算されているかどうかを確認し直します。
2.赤ちゃんの体調が良好かどうか、定期的に検査をする
ノンストレステスト(NST)で胎児心拍を測ったり、羊水減少がある場合は羊水の量を検査したりして、赤ちゃんの体調を細かく確認します。
こうした検査を週に1~2回行い、状態によっては管理入院になることもあります。
3.分娩誘発を行う
子宮頸管の軟らかさ(熟化)の状態を確認し、それに応じて分娩誘発や熟化の促進などを行います。子宮頸管が十分に軟らかくなって、子宮下部が伸びることで子宮口が開き、赤ちゃんは生まれてくることができるようになります。
ただし子宮頸管の状態にかかわらず、赤ちゃんの状態に問題ないことがわかっていれば、積極的に分娩誘発はせず、経過観察を行う場合もありますし、内診所見や超音波検査、胎児心拍数モニタリングなどを用いて、いろんな角度から分娩誘発のタイミングを考慮することもあります。
さまざまな状況を考慮しながら、母子ともに安全なお産となるように配慮して医療措置を行っていきます。
<体験談>出産予定日を過ぎたとき、どうだった?


出産予定日を過ぎてからのお産を経験したママの体験談を紹介します。
※マイナビ子育て調べ 調査日時:2020年4月1日~4月7日
まとめ


出産予定日を大幅に過ぎた場合、赤ちゃんの状態によっては経腟分娩を希望していても帝王切開になるなど、思い描いたバースプランとは異なる結果になる場合もあります。
ただ、そういった場合は、なにより母子の健康や命を優先したうえでベストと考えられる方法が選択されるのだということは頭に入れておきましょう。
赤ちゃんに会える日は本当にすぐそこまで来ています。良いお産になることを願いながら、心も体も準備を万全にしておきましょう。
(文:山本尚恵/監修:浅野仁覚先生)
※画像はイメージです
[*1]メディックメディア「病気がみえる vol.10 産科 第4版」P.186
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます