【医師監修】妊婦健診の経腹エコーはいつから? 経腟との違いとは
ドラマなどで、妊婦がおなかを出して超音波検査を受けているシーンを目にすることがありますが、「なんで私はおなかからじゃない?」と思った妊娠初期の方、ご安心ください。妊婦健診で最初から経腹エコーを行うことはあまりありません。ではいったいいつごろから経腹エコーを行うのでしょうか。
エコー検査とは
超音波(エコー)検査といえば、妊婦健診で行われるものというイメージが強いのですが、妊婦健診以外でも、臓器の状態を確認するために行われます。
被曝せず検査できるエコー検査
超音波とは、人の耳には聞こえない高い周波数の音域のこと。これを用いて内臓から返ってくる反射波を画像化するのがエコー検査です。妊婦健診では、超音波を当てることで子宮の状態などのほか、胎児の状態を調べます。X線検査やCTと異なり、胎児が放射線に被曝する心配がありません。
妊婦健診では経腹と経腟の2種類
エコー検査にはいくつか方法がありますが、おなかに機器を当てて検査する方法は「経腹エコー」と呼ばれます。 また、腟内にプローブという棒状の検査機器を入れて検査する方法は「経腟エコー」と呼ばれます。
経腟エコーと経腹エコーの違い
妊婦健診での経腟エコーと経腹エコー、どのような使い分けがなされているのでしょうか。その性質の違いについて説明します。
妊娠初期に行われることが多い経腟エコー
経腟エコーは内診台に乗り、腟の中にプローブを差し込んで検査を行います。経腟エコーは周波数が高く、腟に近いところがきれいに見えるのが特徴です。妊娠していないときや妊娠初期の観察に適していますが、妊娠中期以降に子宮頸管長測定や前置胎盤などの診察でも経腟エコーを行います。
経腹エコーがメインになるのは妊娠中期以降
経腹エコーは診察台にあおむけになり、おなかの上からプローブをすべらせるようにして検査を行います。こちらはおなか全体を観察することができ、また深いところまでよく見えます。妊婦健診以外でも、経腟エコーでは届かない大きな子宮筋腫や卵巣腫瘍などの診察にも使います。
ただ、皮下脂肪が厚かったり皮膚に傷があったりする場合、骨盤に近い部分などでは見えにくいという特徴があります。
経腹エコーは主に妊娠中期以降に行いますが、施設によってはそれより早い時期から経腹エコーを行うケースもあります。
妊婦健診の時期とエコーで確認すること
妊婦健診で行うエコー検査は、赤ちゃんの様子が見られるので楽しみにしている人も多いことでしょう。しかし、検査で確認するのは赤ちゃんだけではありません。エコー検査では時期ごとに、下記のようなことを確認しています。
妊娠初期(妊娠15週まで)
・正常妊娠かどうか
(子宮腔内に胎嚢を確認)
・胎児が生きているか
(心拍動を確認)
・胎児の数はいくつか
(双子などの多胎か、またその場合は赤ちゃんを包んでいる膜[絨毛膜、羊膜]や胎盤などの数も確認)
・妊娠週数はどうか
(胎児の大きさ[頭殿長:CRLや児頭大横径:BPD]から計測)
・胎児に大きな形態の異常はないか
(胎児の頭、頸、胸、腹、手脚を観察)
・母体の子宮や卵巣に異常はないか
(子宮・卵巣の形態、子宮筋腫や卵巣腫瘍などの疾患の有無を確認)
など
中期~後期(妊娠16~35週)
・赤ちゃんが正常に発育しているかどうか
・子宮頚管長の測定 ※経腟エコーで行う
・羊水の量
・胎盤や臍帯の確認
経腹エコーを受けるときの服装は? 内診台にはあがる?
先ほども説明しましたが、経腟エコーでは内診台に上がり、腟の中にプロープを入れて検査を行います。しかし、経腹エコーではおなかを出してそこにプロープを当てて行うため、内診台ではなく、フラットな診察台に横たわる形で行うことが多いです。
診察台の上でおなかを出しやすい服装を
経腟エコーの場合は、下に履いている服を全て脱がなければいけませんが、経腹エコーの場合は、下はパンツやタイツ、ショーツを鼠径部まで下げ、上は胸までたくし上げます。
服装に関しては、パンツタイプのオールインワンだと検査の際に不便かもしれません。上下分かれた服を選ぶ、ワンピースの下にレギンスやタイツを履く、という妊婦さんが多いようです。なお、妊娠中期以降でも場合によっては経腟エコーを行うことがあるので、脱ぎ履きしにくいパンツなどは避けたほうがいいでしょう。
まとめ
妊婦健診で行う超音波検査には経腟エコーと経腹エコーがあります。経腹エコーは、診察台などにあおむけに寝た状態でおなかにプロープを当てて検査する方法で、妊娠中期以降に行うことが多いです。時期や観察部位などによって適した方で検査しますので、不明点があれば医師や助産師にたずねてみましょう。
(文:今井明子/監修:浅野仁覚 先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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