【医師監修】妊娠検査薬で薄い線は陽性?線が薄く出る原因と蒸発線の見分け方
妊娠検査薬を使ったとき、判定窓に出た線がはっきりと陽性を示す色ではなく、「薄い」ことがあります。こういう場合は、妊娠しているのかどうか判断に困りますね。今回は、妊娠検査薬で薄い線が出る理由と判断の仕方などについてまとめました。
妊娠検査薬に薄い線が! これは陽性? それとも陰性?
妊娠の初期には、妊娠を維持する働きのある「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンが受精卵から分泌されます。
このhCGの一部は分泌量が増えると尿の中にも出てくるので、それを検出して妊娠しているかどうかを検査するのが「妊娠検査薬」です。ただ、ときには検査をして判定窓に線が出ても、薄くて陽性かどうか判断に迷うことがあります。
「陽性の可能性あり」と判断
各妊娠検査薬の説明書を見ると、メーカーの推奨する時期に使用したならば、判定窓に出た線が薄くても「ピンクや青などその製品で陽性の場合出る色だった場合」は、「陽性」と判定するようです。
メーカーによっては製品の公式サイトで、Q&Aのコーナーを設け、判定線が薄い場合の取り扱いについて解説しているところもあるので、事前に確認しておくといいですね。
判定線が薄いうえ、色もほとんどわからなくて判断が難しいときは、数日~1週間後に再検査をしてみてください。その結果、色のはっきりわかる濃い線が出ているようなら妊娠していると考え、早めに産婦人科を受診して確かめてもらいましょう。
検査薬を放置してたら薄い線が! これも陽性?
各妊娠検査薬の説明書などには、判定が出るまでの時間は「10分以内」が目安と書かれていることが多いようです。ただときには、尿をかけてしばらく何の反応も出なかったのに、検査薬を置いておいたら徐々に判定窓にうっすらとグレーの線が現れてきた、ということがあります。
これは「蒸発線」と呼ばれるものです。
蒸発線であれば、陽性ではない
蒸発線は、尿をかけた薬剤の部分から水分が蒸発し、尿中の成分が残ってしまったために周囲より色が濃くなっている状態です。蒸発線は尿中のhCGに反応したものではないので、「陰性」と判断します。蒸発線の多くは、判定に必要とされる時間をだいぶ過ぎてから現れるようです。
妊娠検査薬は、正しく使用すれば高い精度で妊娠しているかどうかわかりますが、蒸発線以外にも、妊娠していても検査薬を適切な時期に使用しなかった場合などでも正しく判定されないことがあります。
---------------------------
時間が経ってから陽性反応について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠検査薬で時間が経ってから陽性……妊娠の可能性は?
関連記事 ▶︎妊娠検査薬の蒸発線とは
妊娠検査薬の線が薄く出る3つのよくある理由
検査薬の判定線が薄くなるのは、hCGの検出量が少なかった場合と、逆に多すぎた場合があります。また、使用期限切れの妊娠検査薬を使ったときにも、薄い線が出ることがあります。
1. hCGが少なかったから
「判定線が出たのに薄い」という事態はなぜ起こるのでしょうか。その理由としてまず考えられるのは、「hCGの量が少なかった」場合です。hCGの量が少なくなる原因には、以下のようなものがあります。
・生理開始予定日を間違えているケースも含めて、推奨される時期より早くフライング検査をした
・検査前に水分を多量に飲むなどで、尿が薄くなってしまった
・受精卵は一度着床したが完全ではなかったため、妊娠が継続しなかった
・ごく最近に流産していたため、体内にhCGが残っていた
・不妊治療でhCGを含む排卵誘発剤などのホルモン治療を受けている
2. hCGが多すぎたから
判定線が薄くなるのはhCGの量が少ないときだけでなく、逆に「hCGが多過ぎる」ときにも起こります。
「胞状奇胎」の場合、hCGの分泌量は非常に多くなります。胞状奇胎は、胎盤を作る絨毛細胞が異常に増えて、水ぶくれのようになって子宮内に充満した状態になる異常妊娠です。
また、正常な妊娠でも、前回の生理より約2ヶ月以上過ぎたころ(妊娠8週ごろ以降)、hCGが大量に分泌されることがまれにあります。
こうした理由でhCGが大量に分泌されると、検査薬が正しく反応せず、陰性と判定されたり、判定窓に薄い線しか出ない可能性もあります。
3. 検査薬の使用期限が切れていた
妊娠検査薬は薬剤を使用しているので、使用期限が切れているときにも薄い線が出るなど正しい結果が得られないことがあります。これは、検査薬の薬剤が変化したり劣化したりすることが原因です。これは、直射日光の当たる場所や冷蔵庫など、薬剤の劣化を早める場所に放置していた妊娠検査薬を使っても起こる可能性があります。
一般的な妊娠検査薬の使用期限は、たいてい製品の外箱の記載を見ると確認することができます。また、個包装の検査薬は、袋に記載されていることもあります。
市販の妊娠検査薬の使用期限は、多くが「3年(36ヶ月)以内」となっていますが、中には「25ヶ月」「30ヶ月」などのものもあります。メーカーや製品ごとに異なる場合があるので、検査薬を購入するときや使用する前には、必ず使用期限をチェックして期限内のものを使いましょう。
正しい結果を得るために! 妊娠検査薬の使い方
妊娠検査薬は、妊娠している場合はかなりの高精度で陽性の判定が出ます。ただしそのためには、使用時期や使用方法など、製品ごとの注意を守って正しく使うことが基本です。
妊娠検査薬を使うタイミング
市販の妊娠検査薬のほとんどは、「生理開始予定日の1週間後以降」の使用を推奨しています。通常タイプの妊娠検査薬を使って正しい判定を得るには、尿中hCGの濃度が「50IU/L(尿1L中にhCGが50IU)」に達していることが必要で、そうなってはじめて「陽性」の判定が出ます。
妊娠すると、hCGは生理開始予定日から1週間経てば十分に分泌されて50IU/Lに達しますが、それ以前にフライング検査をしてしまうと、hCGの量が少なすぎて正しい判定が出にくくなります。
妊娠検査薬は、推奨使用時期なら妊娠している場合にはまず間違いなく陽性の判定が出ると言われているので、時期はできるだけ守って使いましょう。
---------------------------
検査薬の使用時期について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠検査薬は最短でいつから?フライング検査と正しい使い方
関連記事 ▶︎妊娠検査薬は生理予定日当日に使える?
市販の妊娠検査薬の選び方
妊娠検査薬はいろいろなメーカーから販売されていますが、日本国内の承認審査を通ったものであれば、基本的にどれを選んでもいいでしょう。たいていの製品が、正しい使い方をすれば「99%以上の確率で妊娠判定ができる」としていますから、値段や製品によって精度が変わるわけではありません。
ただし、使用方法の詳細は、製品によって微妙に違う部分もあります。実際に使うときは、前もって説明書をよく読んでおくことが重要です。
妊娠検査薬の正しい使い方
正しい使い方のポイントは、「適切に保管された使用期限内のもの」を「メーカーが推奨している時期」に「説明書にある使用方法を守って」使うことです。
おすすめは朝一番の尿
妊娠検査薬は1日のどの時間帯に使用してもいいのですが、できれば「起床後すぐの尿」を使用するのがおすすめです。このときの尿は1日で一番成分が濃いので、hCG濃度も高いと考えられるからです。たくさん水分を摂った後は、尿が薄まりhCG濃度も低くなるので、判定線がはっきり出ないことがあります。
こうしたことも知ったうえで、自分の都合がよく適切と思われるタイミングで検査をしましょう。なお、妊娠検査薬に使う尿は、長時間放置せずに採尿後できるだけ早く使います。尿は時間が経つと、雑菌が繁殖するなどで正確な判定が出ないことがあるからです。
説明書をよく読んでから使おう
なお、尿にひたす時間(判定が出るまでの時間)が製品ごとに異なったり、「尿をかけた妊娠検査薬は水平にした状態で判定を待つ」といった条件があるなど、独自の注意点がある製品もあります。
使用前には説明書をよく読み、使い方とともに判定の際の注意事項も確認しておきましょう。
結果がよくわからない場合は産婦人科で受診を!
妊娠検査薬は、受診しなくても陽性の場合は妊娠の可能性の高いことがわかり、とても便利なものです。ただし、使用時期や使い方が正しくないと、判定も正しく出ない場合がよくあります。
判定線が薄いなど結果が確実かどうかわからないときには、数日~1週間後に再検査してみるか、産婦人科を受診して検査を受け、診断してもらいましょう。
なお、妊娠検査薬で陽性が出た場合でも、正常な妊娠か(子宮外妊娠 /異所性妊娠でないか)を病院で確認する必要があります。異所性妊娠であれば卵管破裂などのリスクも生じるので、生理開始予定日から1週間後〜次週(妊娠5週ごろ、遅くとも6週)を目安に受診しましょう。
---------------------------
病院に行く時期について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠したかもしれない!初診のタイミングはいつ?
まとめ
妊娠検査薬を使用したとき、判定窓に出た線が薄いと陽性と思っていいのか迷ってしまいますね。うっすらとでも製品ごとに決まった色がついていれば、陽性で妊娠している可能性が高いのですが、はっきりしないときには少し時間をおいてから再検査をしてみるときちんと判定されることがあります。
ただ、妊娠検査薬は生理開始予定日の1週間後以降に正しく使えば、基本的には正確な判定が出るはずです。もし、再検査をしても判定線が薄いなど自分では判断できないときには、早めに産婦人科を受診して相談してくださいね。
(文:村田弥生/監修:窪麻由美 先生)
※画像はイメージです
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます