助産師解説!乳首に血豆!<体験談>水疱・白斑・傷|授乳の乳首トラブル対処法
母乳育児をしていると、乳首に痛みなどのトラブルはよく起こりますが、赤ちゃんに吸われているうちに、「乳首に血豆」ができてしまったらどうすれば良いのでしょうか。助産師の坂田先生に具体的な対処法を解説してもらいます。
<アンケート>母乳育児で「乳首トラブル」はあった?
母乳育児中に乳首にトラブルが起こったママはどのくらいいるのか、アンケート調査で聞きました。
<アンケート>「約4割」のママが乳首トラブルを経験
アンケートの結果、全体のおよそ4割のママが母乳育児中に乳首トラブルを経験していたことがわかりました。
乳首トラブルのなかで最も多かったのは「痛み」で、次に「傷ができた」「血豆ができた」などが続きました。
※マイナビ子育て調べ 調査期間:2021年11月10日~2021年11月17日 調査人数:94人(21歳~40歳以上の女性)の回答より抜粋
※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。
<体験談>痛い!辛い!乳首トラブル
おしえてようこ先生!乳首トラブルへの対処法
授乳していて乳首に血豆などのトラブルが起きた場合は、どう対処すれば良いのでしょうか。
血豆や水ぶくれができた!
乳首に血豆や水ぶくれができてしまった場合、痛みも辛いですが「そのまま授乳して赤ちゃんが飲んでしまっても大丈夫なのか」心配になりますね。
つぶれそうだけど、そのまま授乳してもOK?
乳頭に血豆があっても、そのまま授乳して構いません。
ですが、血豆ができているということは、赤ちゃんが深く吸着できていないなどの問題があります。
適切な抱き方・含ませ方ができているか確認をし、授乳をしてくださいね。
乳首トラブルがあるときの対処法
「血豆」「水ぶくれ」「白斑」「傷」「痛み」など、乳首にトラブルがあるときの対処の基本を紹介します。
授乳でできた乳首トラブルの手当てと対処法
・直接授乳できないほど痛みがひどい場合は、薬剤師などに相談したうえで鎮痛剤を服用するか搾乳する
・乳首に母乳を塗る
・ラノリン(ランシノー、ピュアレーンなど)、馬油などの保湿剤を塗る
・授乳していないときは「ブレストシェル」を使い、衣服とこすれないよう保護する
・保湿作用のある「乳首用創傷被覆材(ハイドロジェルパッド)」で、乳首を保護する
・白斑ができた場合は、温めるなどしてふやかしてからやさしく取り除く
・赤ちゃんの「おっぱいの飲み方」や「抱っこの仕方」を再確認する(方法は後述)
授乳中にも安全に使用できる種類の鎮痛剤はあります。ただ、服用する前に薬剤師などに授乳中であることを伝え、アドバイスを受けてから使用してください。
母乳には殺菌・保護作用があるので、傷の悪化予防や治りを早める効果が期待できると言われています。また、ラノリンなどの保湿剤を乳首に塗ったあと服を着る際は、保湿剤を塗った上からラップを当てるとより効果的です。ただ、感染の原因になる可能性があるので長時間ラップを当て続けるのは避けましょう。
乳首用創傷被覆材(ハイドロジェルパッド)は、水分を含んでいるので患部が乾燥せず、早く治すのに役立ちます。ただし、これも細菌などの感染があるときに使用するとかえって悪化させることがあるので、心配なときは専門家に相談してから使用するようにしてください。
白斑(乳口炎)ができたときの対処についてくわしくは、下記の記事を参照してください。
こんなときは助産師や母乳外来に相談して
「痛みが強い」「搾乳できない」「授乳が辛い」「なかなか治らない」などのときはひとりで我慢せず、母乳に詳しい助産師や母乳外来に遠慮なく相談しましょう。
保湿剤やブレストシェル、ハイドロジェルパッドなどの使い方はもちろん、自分ではなかなか気づけない赤ちゃんの「おっぱいの飲み方」や「抱っこの仕方」の確認もしてもらえます。
乳首の傷があまりにもひどい時は、直接授乳ではなく、搾乳で対応することをアドバイスされることもあります。いずれにしても専門家に相談したほうが安心です。
乳首のトラブルの原因で一番多いのは、
不適切な抱き方や含ませ方です。
自分がどのように抱っこをしているかやラッチオンの状態は自分では確認しづらく、なかなか気づけない人も多いです。
授乳中、乳首に血豆ができるのはなぜ?
授乳で、血豆など乳首にトラブルが起こる場合は、実は赤ちゃんの「おっぱいの飲み方」や「抱っこの仕方」に問題があることが多いです。
「無理な飲み方」で乳首トラブルに
赤ちゃんがおっぱいを飲む際は、乳首だけではなく「乳輪まで」深くくわえることで効率よく母乳を吸えるようになります。
これがうまくできていないと、乳首に過度な負担がかかり、痛みが出たり切れて傷ができたり、場合によっては血豆ができることもあります。
赤ちゃんがおっぱいに吸い付くことを「ラッチオン」と言いますが、正しいラッチオンができているかどうかは以下の点をチェックすることで確認できます。
正しいラッチオンのポイント
・ママの乳首は、赤ちゃんの口の中で舌ではなく「口内の上のほう」に向かっているイメージ
・赤ちゃんの下あごはおっぱいに触れていて、鼻はふさがっていない
・吸い付いているとき、赤ちゃんの下くちびるは外側にめくれている(内側に巻き込んでいない)
トラブルを防ぐ上手な抱っこの仕方
正しいラッチオンで授乳するためには、授乳の際の「抱っこの仕方」も重要です。
授乳の際の抱っこのポイント
(膝の上に授乳クッション、その上に赤ちゃんを置くとラク)
・赤ちゃんの鼻と乳頭の位置が合っている
(口の端からおっぱいを含んでいない)
・赤ちゃんの顔も体もママのほうを向いている
・赤ちゃんとママのお腹が密着している
・赤ちゃんの体全体を支えられている
効果的なマッサージはあるの?
また、おっぱいが張りすぎると乳輪までむくんでしまい、赤ちゃんがうまく吸いつけないことがあります。
そんなときは、「授乳前に乳輪のむくみをとるマッサージ」をしてみましょう。
乳輪のむくみをとるマッサージ
2)痛みを感じない程度にしっかりと、乳房の奥に向かって垂直に圧をかける
3)1分以上圧迫を続ける。指の位置を変えて、乳輪全体に行う
※爪は短くし、手指をよく洗ってから行います
※乳首の付け根からだいたい乳輪の範囲内に圧をかけます
※乳首や乳輪を直接触ると痛い場合は、ガーゼなどの上から行ってもOK
まとめ
授乳で乳首に血豆ができたときの対処方法について解説しました。血豆だけでなく、痛みや傷、水ぶくれ、白斑など、授乳していると起こることがある乳首のさまざまなトラブルは、ここで解説したように赤ちゃんのおっぱいの含み方や授乳姿勢によって起こることが少なくありません。
痛みがあるとついつい乳首にばかり意識が行きがちですが、トラブルが起きたときこそ、授乳の仕方をチェックしたいものです。どこがおかしいのか自分ではなかなか気づけないこともよくあるので、自分なりに工夫しても改善しないときは一人でなんとかしようとせず、母乳外来などで専門家に相談してくださいね。
(文:坂田陽子先生/構成:マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます