離乳食のおやつはいつから?なぜ必要?与え方のポイントと簡単レシピ【管理栄養士監修】
赤ちゃんのおやつと聞いてどのようなものをイメージするでしょうか? クッキーやビスケットでしょうか? 大人のおやつといえば甘いものやスナック菓子が思い浮かぶので、赤ちゃんのおやつも同様のイメージを持たれるかもしれません。しかし、赤ちゃんのおやつはお菓子よりも食事に近く大切な栄養源です。おやつの与え方について解説します。
- 赤ちゃんのおやつはどうして必要なの?
- おやつの役割|食事の1つ
- おやつのタイプ|大人のおやつとは違う
- おやつが必要になるのはいつから? 量は?
- おやつを始める目安|1歳前後から
- おやつのタイミング|食事と食事の中間
- おやつ1回の目安量|食事の1/3~1/4
- 離乳食後期(9~11ヶ月)のおやつ
- 離乳食完了期(1歳~1歳半)のおやつ
- おやつの工夫のポイント|手づかみ食べができる
- 手作りおやつのおすすめ簡単レシピ|離乳食後期
- 簡単りんごのコンポート
- いももち
- バナナとほうれん草のホットケーキ
- 手作りおやつのおすすめ簡単レシピ|離乳食完了期
- 手作りふりかけおにぎり
- くるくるサンドイッチ
- 米粉のチヂミ風おやき
- 市販のおやつはよい? 悪い?
- うまく取り入れればOK
- 市販品を選ぶときのポイント
- 注意点① 表示を過信しない
- まとめ
赤ちゃんのおやつはどうして必要なの?
3回食が始まる離乳食後期以降、特に離乳食完了期になるとおやつが必要になってきます。おやつにはどんな役割があるのでしょうか。
おやつの役割|食事の1つ
赤ちゃんの胃の容量はまだ小さく、消化器官も未熟です。また、食事になかなか集中できなかったりもしますよね。そのため3回の離乳食では必要な栄養を摂り切れない場合があります。
赤ちゃんにとってのおやつはいわゆるお菓子という意味ではなく、補食=「食事で摂り切れなかった栄養を補う食事」として考えます。赤ちゃんのおやつは食事の1つなのですね。
おやつのタイプ|大人のおやつとは違う
おやつのタイプも、大人のイメージするお菓子や甘いものなどとは違います。嗜好品ではなく食事に使うような食品をおやつにしましょう。動いてお腹がすいたときなどにさっと出せるようなおやつを考えておくとよいですよ。
<赤ちゃんのおやつにおすすめの食品>
●さつまいも、かぼちゃなどの野菜を蒸したもの
●果物
●おにぎり
●ヨーグルト
赤ちゃんせんべいなど市販の赤ちゃん用菓子などを利用するのもよいですが、栄養を補う面で考えると少し物足りない場合もあります。使う量は少量にし、果物などほかのおやつと組み合わせたりして、赤ちゃん用菓子だけでおなかがいっぱいにならないようにしましょう。
おやつが必要になるのはいつから? 量は?
では、実際にどのくらいの時期からおやつを始めればよいのでしょうか? 1日のうちで与えるタイミングや量についても具体的に見ていきましょう。
おやつを始める目安|1歳前後から
1歳前後がおやつを始める時期の目安となります。そのころには3回食に進んでいる赤ちゃんも多いでしょう。また、ハイハイやつかまり立ちなどをするようになり、活動量が増える時期でもあります。赤ちゃんの食べ具合や活動性を見ながら3回の食事に加えておやつを与えていきましょう。
ただし、3回の食事で満足しているようだったり、日中に母乳や育児用ミルク飲んでいる場合には、おやつの時間におなかが空いていないこともあります。その場合は無理にあげる必要はありません。月齢よりも赤ちゃんの様子で必要性を判断し、母乳やミルクの間隔があくようなら、その時間におやつを与えてエネルギーを補給するといいでしょう。
おやつのタイミング|食事と食事の中間
おやつを与えるタイミングは食事と食事の中間の時間がよいでしょう。食事の直前におやつを食べると空腹を感じにくくなり、食事が十分に摂れなくなりやすいからです。起床やお昼寝の時間などにもよりますが、午前10時や午後3時をだいたいの目安に1日1~2回、おやつをあげましょう。だらだら食べるようなことがないように注意してくださいね。
もし食事の直前にあげるときには、そのあとの食事の内容を踏まえておやつを考えるとよいですね。たとえば夕食の直前なら、おやつも夕食の一部として食事の献立と一緒におやつの種類を決めます。そうするとバランスもとりやすいでしょう。さつまいもなどを使った、食事で出す料理に近いものがおすすめです。
おやつ1回の目安量|食事の1/3~1/4
1回の量の目安としては食事の1/3~1/4量くらいにし、メインの食事より多くならないように考えましょう。バナナなら1/2本程度、小さなおにぎり1個分など、ほんの数口で終わってしまうような量でも十分です。おやつに合わせて麦茶や、1歳を過ぎていれば牛乳などの飲み物で喉をうるおすと誤嚥(※)の心配も減らせます。
※食べ物が食道ではなく気管に入ってしまうこと
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離乳食後期(9~11ヶ月)のおやつ
■離乳食後期におすすめのおやつ■
蒸かしいも、茹でたにんじん・ブロッコリーなど:離乳食後期は素材そのものだけでも十分。野菜だけでも立派なおやつになります。
野菜を加えた蒸しパンやホットケーキ:野菜をなかなか食べてくれない赤ちゃんでも食べやすくなります。
季節の果物:果物も素材そのもので食べられるのでおすすめです。種類によって食物アレルギーの可能性があったり[*1]、硬すぎたりすることもあるので、加熱をすると食べやすくて安心でしょう 。
ヨーグルト:手軽に食べられるうえ、カルシウムやタンパク質がとれるヨーグルトもおやつ向きの食品ですね。
鉄分の不足が気になるようであれば、鉄分の強化された市販のおやつなどを取り入れてみるのもよいでしょう。
離乳食完了期(1歳~1歳半)のおやつ
■離乳食完了期におすすめのおやつ■
小さなおにぎりやトースト、おやきなど:複数の食材を一緒に摂ることができるメニューにすると簡単に食べられて栄養も摂れるのでよいですよ。
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おやつの工夫のポイント|手づかみ食べができる
食事のときには料理の数が多くてなかなか手づかみ食べのメニューが用意ができないという場合に、おやつは手づかみ食べにするというのもいいですね。
手づかみ食べは片づけや掃除が大変な面もありますが、少しずつ練習していくことで、手づかみ食べで上手に食べられるようになっていくかもしれませんよ。
手作りおやつのおすすめ簡単レシピ|離乳食後期
離乳食後期ごろにおすすめのレシピを3種類ご紹介します。
簡単りんごのコンポート
・りんご 1個
・レモン汁 大さじ1
■作り方
① りんごの皮をむき、7mmくらいの輪切りにしておく
② 耐熱容器に①を並べ、レモン汁をかける
③ ラップをして電子レンジ(600W)で5分加熱し、りんごがしんなりと軟らかくなったら出来上がり
レンジで加熱することで硬いりんごも食べやすくなります。
バターやシナモンなどを加えてトーストすると、大人用の簡単アップルパイに変身しますよ。
いももち
・じゃがいも 中2個(約200g)
・片栗粉 大さじ2
・牛乳 大さじ3
・青のり 少々
■作り方
① じゃがいもは皮をむき一口大に切る。耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジ(600W)で5分ほど加熱し軟らかくする
② じゃがいもが熱いうちにつぶし、片栗粉、牛乳、青のりを加えてよく混ぜる
③ ②を4等分に分けて厚さ1cmくらいの楕円形にする。少量の油(分量外)をひいたフライパンで両面に軽く焼き目がつくように焼く
しょうゆを少量塗ってもおいしいです。お好みでとろけるチーズやコーン、ひじきなどを加えてアレンジすることもできます♪
バナナとほうれん草のホットケーキ
・小麦粉 100g
・ベーキングパウダー 小さじ1
・プレーンヨーグルト 100g
・バナナ(よく熟れたもの) 1本
・ほうれん草 3枚
■作り方
① 耐熱容器にほうれん草と水大さじ1(分量外)を入れてラップをし、電子レンジ(600W)で1分半加熱する。軟らかくなったら水気を絞り細かく刻んでおく
② バナナはフォークなどでつぶしておく
③ ボウルに小麦粉とベーキングパウダーを入れて軽く混ぜ合わせておく
④ ③にヨーグルト、①、②を加えて混ぜ合わせる
➄ フライパンを熱し、④の生地をスプーンですくって流し入れる。全体にポツポツ気泡ができたら裏返して焼く。両面が焼けたら出来上がり
ほうれん草の代わりに小松菜やすりおろしたにんじんなどでも作ることができます。お好みできな粉を加えてもおいしいですよ♪
ベーキングパウダーはアルミニウムフリーのものがおすすめです。
手作りおやつのおすすめ簡単レシピ|離乳食完了期
大人の軽食にもOKな、離乳食完了期向けの簡単レシピを3種類ご紹介します。
手作りふりかけおにぎり
・かつお節 1袋(5g)
・ごま 小さじ1
・青のり 少々
・しらす 大さじ2
・しょうゆ 小さじ1
・砂糖 小さじ1
・ご飯 茶碗2杯分
■作り方
① しょうゆと砂糖を合わせて、砂糖をよく溶かしておく
② ボウルにご飯以外の材料をすべて入れて混ぜ、①を加えてよくなじませる
③ ②にご飯を加えてよく混ぜ、食べやすい大きさに握ったら出来上がり
ふりかけを多めに作っておくと、食事やお弁当のときにも使えて便利です。青のりの代わりに刻みのりを加えても。
大人用には七味やごま油をプラスするとおいしいですよ。
くるくるサンドイッチ
・食パン(8枚切り) 1枚
・さつまいも 1/5本(60g)
・牛乳 少々
・ベビーチーズ 1/2個
■作り方
① さつまいもは皮をむき、電子レンジで4~5分加熱する。軟らかくなったらつぶし、牛乳を少量ずつ加えてのばす(ジャムくらいの軟らかさが目安)
② ベビーチーズは薄くスライスしておく
③ 食パンの耳を切り落としラップの上に置く。①を塗り、その上に②を並べる
④ 手前から食パンをくるくる巻き、巻き終わったらラップで包んで冷蔵庫で少し休ませる
⑤ 食べやすい大きさに切ったら出来上がり
ラップをはがしてそのまま手に持って食べることができます。具材はかぼちゃやジャムでもOK。また、ハムやスライスチーズ、ツナマヨネーズなどもおすすめです。
米粉のチヂミ風おやき
・米粉 50g
・絹ごし豆腐 50g
・水 50ml
・納豆 1/2パック
・キャベツ 1枚
・にら 2本
・桜エビ 小さじ1
・しょうゆ 小さじ1
・ごま油 適量
■作り方
① キャベツ、にらはみじん切りにしておく
② ボウルに米粉、絹ごし豆腐、水を入れる。豆腐をつぶし全体が滑らかになるまで混ぜる
③ ①、納豆、桜エビを②に加えてよく混ぜる。水分や足りないようなら少し足す(分量外)
④ フライパンに少量のごま油を熱し、③の生地を流して薄くのばす。両面こんがり焼けたらしょうゆを塗って出来上がり
納豆の代わりにツナやひき肉でもできます。ねばねばしがちな納豆もおやきにしてしまえば気になりません。野菜は玉ねぎやにんじんなどもよく合います。
大人は酢じょうゆにごま油を加えたタレを付けてもおいしいですよ♪
市販のおやつはよい? 悪い?
赤ちゃん用菓子には「〇ヶ月からOK」と書いてある商品もたくさんありますね。目安になりわかりやすいですが、どんな食べ方でもOKかというとそうではありません。市販品のおやつもポイントをおさえて活用しましょう。
うまく取り入れればOK
基本的に離乳食時期の赤ちゃんに「お菓子」は必要ありません。とはいえ、外出先や移動中にぐずってしまったときなどには、市販品だと手も汚れにくく食べさせやすいですよね。あまり頼りすぎなければ市販のおやつを利用してもかまいません。赤ちゃん用のものは塩分や糖分などにも配慮されているので安心です。
市販品を選ぶときのポイント
市販品を選ぶときは次の3点を意識してみてください。
●月齢や発達段階にあった形状・硬さのもの
●できるだけ食材そのものに近いもの
●添加物や塩分・糖分・油分の多すぎないもの
また、赤ちゃん用のおやつの味を大人が味見しておくこともおすすめします。
注意点① 表示を過信しない
市販品のパッケージには「〇ヶ月から」「乳児用規格適用」などと書いてありますが、過信しないようにしましょう。実際にその製品がその子の咀嚼機能にあっているかどうかは別問題だからです。
「〇ヶ月から」というものは販売会社が独自に判断している基準なので、赤ちゃんによっては硬かったり小さすぎたりし、のどに詰まるなどの可能性があります。また「乳児用規格適用」とは放射性物質の基準値が一般食品よりも低い(厳しい)ことを示すものであり、赤ちゃんにふさわしい硬さや大きさであるという意味ではありません。
表示を過信せず、そのお菓子を赤ちゃんが噛めているか、飲み込めそうかをしっかり確認するようにしましょう。
注意点② ミネラルやビタミンの不足
市販のおやつは種類を選んだりタイミングを考えて、うまく使っていきましょう。
まとめ
補食としておやつを与えるのは離乳食後期以降からが目安です。朝・昼・夕の食事や母乳・ミルクが十分摂れていておなかが空く様子が見られなければ、無理して与える必要はありません。赤ちゃんの様子に合わせて与えましょう。
食事で野菜が足りないと思ったら野菜を使ったおやつにしたり、今日は乳製品を食べていないと思ったらヨーグルトにしたりと、前後数回~数日の食事の内容によっておやつを決めていくとやりやすいですよ。
市販のおやつも量や回数を決めて楽しめるとよいですね。
(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」によると、正しくは「離乳後期」や「離乳完了期」となりますが、本記事ではわかりやすく「離乳食後期」や「離乳食完了期」と表記しています。