反抗期の息子に困る親が知っておきたい3つの対処|余計ひどくなるNGな対応【心理カウンセラー解説】
「息子の反抗期に手を焼いている」「年頃の男の子の扱いが意外と難しい…」という話をよく耳にしますが、親はどのように対応すればいいのでしょうか。今回は自身も子育て中の父親であり、児童養護施設で小学一年生から高校三年生までの子どもたちと長く生活を共にしていた経験を持つ、臨床心理士の石堂達也先生に事例を交え解説いただきました。
<<<この記事でお伝えすること>>>
✅ 男の子の反抗期の特徴って?
✅ 息子はなぜ反抗する?
✅ 親はどう接すればいい?
✅ 実は逆効果な対応って?
✅ 気になるゲームやネットのトラブルへの対処法は?
✅ 息子の反抗期、成功事例が知りたい!
小さい頃は素直で可愛らしかった息子が、思春期を迎えたあたりから反抗的で手がつけられない…そんな相談を受けることがよくあります。いったい私の子育ての何がいけなかったのだろう?そんな悩みを持つ親御さんにむけて、反抗期の息子とうまく関わっていくための対処についてご紹介したいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
文:臨床心理士 石堂達也/うららか相談室
男の子の反抗期、それはなぜ起こる?
口を開けば暴言を吐き、こちらの話しかけには「うざい…」と不貞腐れた態度をとる息子。攻撃的で物に当たるのは日常茶飯事。
「もういい加減にして!」と子育てに疲れ切った親御さんは、あなただけではありません。反抗期は子育ての期間の中で一番対応が難しい時期です。まずは反抗期について知っていきましょう。
反抗期とは?
子供の精神発達の過程で、大人からの指示に対して拒否し、反抗的な行動をとることの多い時期を反抗期と言います。
反抗期は一般的に大きく分けて二度あると言われており、一度目はいわゆるイヤイヤ期と呼ばれ、幼児期にかけて自我の芽生えから起こるもので「第一次反抗期」と言われます。
そして二度目は小学校高学年から中高生くらいまでの、思春期と言われる時期に起こる「第二次反抗期」があります。この時期は身体的な成長と精神的な成長のバランスが崩れ不安定になる時期です。
また、これらの間に「中間反抗期」がある場合もあります。
今回の記事では、第二次反抗期をメインに解説します。
反抗期はなぜ起こる?
何を話しても反抗的な態度が返ってきたり、無視して部屋に引きこもったりと反抗期の息子が示すパターンは多様です。
そんな反抗的な態度は親からすると理解できないかもしれません。しかし、それは子供自身も同じように、自分のことが理解できないのです。ホルモンバランスの変化という身体的成長と、学校等の社会の中でいろんな人と自分を比較し成長する心理的成長とのバランスが崩れて、意味もなくイライラして過ごすのが反抗期なのです。
あなたの子育てが間違っていたから反抗期が起きる、というものではありません。特に母親からすると、異性の息子のことはよく分からない存在でしょう。
反抗期の男の子への上手な親の接し方・対応
理解ができない反抗期の息子に対して、
「いったいどのような対処をとればいいの?」
「ちゃんと叱った方がいいのか? それとも放っておいたらいいのか?」
「宿題もしないでずっと携帯でゲームをする息子を見ているだけで腹が立ち、親としての自信がなくなってくる」
……といったような相談が、非常に増えています。この章では、反抗期の息子に取るべき3つの対処法についてお伝えします。
【1】適度に距離を置く
反抗期の息子を見ていると、
「宿題したの?」
「いつまでゲームしているの?」
などと、ついつい口を出したくなることと思います。
「もししなかったらどうするの?」
と不安になる親御さんも多いかと思いますが、しなかったら学校の先生に叱ってもらってください。この頃に経験する失敗は必要な失敗であると考え、息子の責任だと割り切り、適度な距離を置くことが大切です。
【2】肯定的な言葉がけをする
息子が余りにも理不尽な態度を取る場合、否定的な声がけをしてしまいたくなるかもしれません。しかし、否定的な声がけばかりしていると、自己肯定感が低下し、ますます反抗的になってしまいます。
「学校で疲れてるんだね。ゆっくり休んで」
「あなたなりにいろいろ考えてるんだよね」
などできるだけ肯定的な言葉がけをすることで、自信がつき、親を信頼してくれることにもつながります。
【3】してはいけないことをした時は、きちんと叱る
先に適度に距離を置くことが大事と書きましたが、してはいけないことをした時は、きちんと叱ることが大切です。この時期の息子は、人を傷つけることやお金を盗むことなどのしてはいけないこともする可能性があります。その時に、親は毅然としてダメなものはダメだと叱ってあげることが必要です。
やりがちだけど逆効果!反抗期男子にNGな対応
次に、反抗期の息子に取ってしまいがちだけれども、実は逆効果となるN Gな対応にについて紹介します。
NG① 過干渉になる
反抗期の息子はとにかく干渉されることに腹を立てます。それがどんなに正論であっても無性に腹を立てるのです。
「宿題したの?」
「いつまでゲームしているの?」
と、ついつい息子の行動に干渉してしまいたくなる気持ちはわかりますが、ぐっと我慢して、見守るようにしましょう。
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関連記事:ヘリコプターペアレントとはどんな親?子への過干渉リスクをチェックリストで診断【心理カウンセラー監修】
NG② 人格を否定する
反抗期の息子に対して、
「このままではろくな大人にならないからね!」
「あなたみたいな性格だと誰も友達になってくれないよ!」
といった台詞がつい頭に浮かび、勢いのままに吐き出してしまいそうになります。しかしそれはNGです。
反抗期は一時的な状態であり、この時に言われた人格を否定するような言葉は、反抗期が終わっても残り続けてしまいます。感情的に発した言葉であっても子供は、「親はそういう風に俺を見ているんだな…」としつこく頭に残ってしまうため、人格を否定するような言葉はかけないようにしましょう。
NG③ 放置する
手がつけられない息子に対して、
「完全に放置して好きなようにやらせたらいいんだ」
という極端な対応も、実はよくありません。
完全に放置された息子は
「自分のことなんてどうでもいいんだな…」
と拗ねてしまうことや、悪いことをしても親は無関心で何も言ってこない、と思われてもいけないのです。適度な距離で見守りつつ、必要な時にはきちんと介入してあげましょう。
ゲームやネットの扱いによるトラブルへの対処法は?
反抗期の息子と親との間で最近急増しているのが、ゲームやインターネットの扱いによるトラブル。今や小中学生でスマートフォンを持つ子供が珍しくなくなってきた社会で、ゲームやネットとの付き合い方は大きな課題です。では、そんなゲームやネットの問題に対して親はどのような対処をすればいいのでしょうか?
ゲームや携帯を取り上げるのはNG
一日中ゲームや携帯を触り続ける息子に対して、多くの親御さんは危機感を持ち、取り上げるべきではないかと考えてしまいます。しかしその行動はNGです。
息子にとってゲームやスマホはどのような存在なのかを考えることが大事です。不用意に取り上げてしまうことで親子の関係性がすべて崩れてしまう可能性があります。ゲームやネットとの付き合いはこれから先も続くので、「自分でコントロールさせる」という方法が大事です。
ゲームの話題は親子の関係作りに最適
ゲームの話題なんて食卓に持ち込まないでほしいという親御さんは案外多いものです。しかし、ゲームやネットを関係作りのための道具と割り切って、息子の話に乗ってみましょう。息子に「話の分かる親だな」と思わせることが重要です。何も分からない親ではなく、話の分かる親となら、ゲームやネットのルール作りも前向きに話し合うことが可能です。
<事例>息子の反抗期、親たちはこう切り抜けた
日々カウンセリングをしていると、反抗期の息子を持つ親御さんからの相談を受けることがあります。ここではそんな親御さんたちがどのようにして関わりうまくいったのかをご紹介したいと思います。
※事例は個人が特定されないよう部分的に内容を変更しています。
[事例1] 中学受験を控えた小学生の息子をもつ母親Aさん
相談者は中学受験を控えた息子をもつAさん。息子は小学校5年生までは真面目で優しい男の子でしたが、6年生になり「中学受験なんてしない。」と急に荒れだし毎日暴言暴力。塾には行かなくなり、学校も休みがちになってしまいました。
そこでAさんは自分を振り返り、期待を押し付けて、勉強をさせようと躍起になっていたことに気づきました。Aさんは勉強をさせるというアプローチから、一緒に遊ぶという関わりに変えていったことで、息子の反抗は収まり、ちゃんと甘えられるようになり、気持ちを切り替え、受験に挑戦することが出来ました。
反抗期の息子がプレッシャーにつぶされて甘えきれてないというところに気づけて、うまく対処できた例でした。
[事例2] ゲームばかりする中学生の息子をもつ母親Bさん
相談者は中学生の息子をもつBさん。息子は学校には行くが、帰ってきたらずっとゲームをしており、こちらの声かけにはいつも反抗的。勉強のことを指摘すると暴言や物にあたり、いつもイライラしてお互い疲弊している様子。
そこでBさんは息子を理解するために同じゲームを始めてみました。すると少しずつ息子はゲームの話を始め、ゲーム内での人間関係が心の拠り所なっており、学校での人間関係がうまくいっていないことを話し出しました。
親子で人間関係について話合うきっかけを作り、反抗期の息子は穏やかに親を信頼するようになっていきました。息子の味方になるにはどうすればいいのかを実践しうまく対処できた例でした。
まとめ
反抗期の息子は、常に親に対してイライラし、理不尽に攻撃的になり反抗してくることも多いです。ですが、反抗期は、身体的・心理的発展の過程で発生する自然な反応です。あなたの子育てが原因で反抗期が訪れた訳ではないということを、心に留めておいてください。この記事を読んでいただいているということは、あなたは息子に対して無関心な親ではなく、愛情を持ち息子のために何かをしたいと思える素晴らしい親なのです。一人で抱え込んで途方にくれないでください。きっとあなたの息子に合う対処の方法は見つかるはずです。どんなテクニックであろうと根底に愛情がなければ通用しません。愛情をもって反抗期の息子に接していきましょう。
(文:うららか相談室 石堂達也/構成:マイナビ子育て編集部)
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