豊富な自然体験や生活体験が子どもに良い理由とは?積極性や自己肯定感が何倍にもなる可能性
さまざまな体験をすることが子どもの成長によいということは、誰もがうなずくことだと思います。では、実際にどういった体験がどのような能力に、どれほど影響するものなのでしょうか? 何となく考えていた人も多いかと思いますが、ある調査によると、場合によっては何倍もの違いになるようです。
自然体験や生活体験は子どもの自立にどの程度影響する?
国立青少年教育振興機構が実施した「青少年の体験活動等に関する意識調査」の中で、自然体験や生活体験などが子どもの自立的行動や自己肯定感、探求心とどのような関連があるのかを示したデータがあります。それを見ると、実際に体験の多さによって大きな違いが生まれることがわかりました。
※アンケートのデータは、小学校4~6年生、中学校2年生、高校2年生の回答をあわせて、それぞれの項目でクロス集計を行ったもの
自然体験が多い人は少ない人より積極性が3倍高い
まず、自然体験と自律性との関係を見てみます。自然体験が少ない人では「自律性が高い」割合は49.0%ですが、自然体験が多い人は、67.7%にまで上がっています。
次に、「積極性」ですが、こちらは「自律性」よりも大きな差が見られました。自然体験が少ないと「積極性が高い」割合は18.1%ですが、自然体験が多い場合は「積極性が高い」割合が52.2%にまで増えています。
協調性でも同様の傾向があり、自然体験が多いほど、協調性がある割合が高くなりました。自然体験が少ない場合は27.0%ですが、自然体験が多い場合には63.0%となっています。
自然体験が多いほど探求力も高くなる
また、探求力の強さも、自然体験の多さが関係するようです。自然体験が少ない人の「探求心の高さ」は23.4%でしたが、自然体験が多い人の場合、66.9%でした。
自己肯定感の高さで特に顕著な違いがある
自然体験と自己肯定感の関係
次に、自己肯定感と自然体験、生活体験、お手伝いの経験の多さとの関係を見ていきましょう。どの経験においても、その豊富さが自己肯定感の形成に関係していることがうかがわれる結果となっています。
まず、自然体験ですが、自然体験が少ない場合と多い場合で比べると、「自己肯定感が高い」人はそれぞれ6.9%と29.9%。なんと、4倍以上の差がありました。
生活体験と自己肯定感の関係
また、生活体験が少ない人で自己肯定感が高い割合は4.5%ですが、生活体験が多い人は26.5%に。こちらは5倍以上の開きとなっています。
お手伝いと自己肯定感の関係
お手伝いはどうでしょうか。お手伝いの機会が少ない人では、自己肯定感が高い割合は5.7%であったのに対し、お手伝いの機会が多い人では30.8%でした。
自然体験などが多いほど自立した子どもに育つ
自然体験やお手伝いの機会の多さが、自己肯定感の高さに影響していることが、小学校・中学校・高校生を対象に実施した調査結果でわかりました。外遊びやキャンプなどのアウトドア体験、家族の一員としてお手伝いを任せることが、自己肯定感や協調性、自立心、探求心を養うことにつながっていくようです。
参考
今回の調査で回答者に尋ねた質問項目例は以下のとおり。
「生活体験に関する質問項目」
・ナイフや包丁で、果物の皮をむいたり、野菜を切ったこと
・タオルやぞうきんを絞ったこと
・道路や公園などに捨てられているゴミを拾ったりしたこと
・弱いものいじめやケンカをやめさせたり、注意したこと
・赤ちゃんのおむつをかえたり、ミルクをあげたこと
・小さい子供を背負ったり、遊んであげたりしたこと
「お手伝いに関する質問項目」
・買い物のお手伝いをすること
・新聞や郵便物をとってくること
・靴などをそろえたり、磨いたりすること
・食器をそろえたり片付けたりすること
・家の中のお掃除や整頓を手伝うこと
・ゴミ袋を出したり、捨てること
・お風呂洗いをしたり、窓ふきを手伝うこと
・お料理の手伝いをすること
・ペットの世話とか植物の水やりをすること
「自己肯定感に関する質問項目」
・学校の友だちが多い方だ
・学校以外の友だちが多い方だ
・勉強は得意な方だ
・今の自分が好きだ
・自分には、自分らしさがある
・体力には自信がある
調査概要
■国立青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する意識調査(令和元年度調査)」
調査実施時期:令和2年1月~4月
調査対象:
全国の公立小学校1年生・2年生・3年生の保護者
全国の公立小学校4年生・5年生・6年生とその保護者
全国の公立中学校2年生
全国の公立全日制高等学校2年生
(マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです